私立大学理系生の学費相場と奨学金・教育ローンの借り方

   

私立大学理系の学費の相場、平均額は? この記事では、私立大学理系の学費の相場や、奨学金、教育ローンを使用した支払い方を、専門家が分かりやすく説明いたします。

筆者:元予備校講師、大学受験部部長。現在、年に80以上の高等学校の講話に出講。

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私立大学理系の学費の平均額

入学金 授業料 設備施設費等 合計
私立大学理系 25万6000円 107万2000円 19万1000円 150万1000円
私立大学文系 23万5000円 75万9000円 15万7000円 115万1000円
専門学校 16万9000円 70万0000円 37万3000円 124万2000円
国立大 28万2000円 53万6000円 学校による 81万8000円

私立大学理系の学費の平均額は、上の通りです。入学金が25万6000円、授業料が107万2000円、施設設備費が19万1000円、合計で150万1000円となります。 おおまかに費用を計算するために、以下のように覚えておくと便利です。

  • 入学金  25万円
  • 授業料  110万円
  • 施設設備費  20万円

文科省 2016年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査 ※私立大学理系に、医歯薬系は含みません。 ※2016年度東京都専修学校各種学校協会調査統計部調べ(合算は合計と一致しません) ※文科省令による標準額(国立大)

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私立大学理系生 合格時に必要な費用と国の教育ローン

 私立大学理系では、大学1年生の学費が約155万円(入学金25万円、授業料110万円、施設設備費 20万)かかりますが、支払い時期は入学直前でなく合格時となります。推薦AO入試を使用した場合、高3の秋頃の銀行振込となります。 ただし、多くの大学では、後期授業料の後納制度があります。そのため、授業料の半分を除いた、100万円(25+55+20万円)が実際に準備すべき金額となります。

支払うタイミングは、受験生が高校に在学中ですので、奨学金は利用できません。そのため、この初年度納入金と呼ばれる金額の一部である100万円は、保護者が支払うこととなります。保護者は、貯金があればそれを使用しますが、近年は国の教育ローンを使用するのが一般的です。 国の教育ローン(日本政策金融公庫)

金利 年率1.76%(2018年6月現在)
条件例 子1人=年収790万円(所得590万円)以下
借入 いつでも350万円まで借りられる
返済 翌月から最大15年で返す(子の在学中は利息のみでも良い)

国の教育ローンは、各県にある窓口で相談、申し込み業務を行っているほか、電話相談やインターネット申し込みも行なっています。相談、手続き、審査、振り込みに最低20日間かかります。返済額の確認は、国の教育ローンのウェブサイトにあるシミュレーターが便利です。以下は、シミュレーションの一例です(記事執筆時)。

  • 100万円を5年プランで借りた保護者 → 翌月から月17,800円を5年間で返済
  • 100万円を10年プランで借りた保護者 → 翌月から月9,200円を10年間で返済

※国の教育ローンのほか、祖父母に借りるというケースもときどき聞きます。

私立大学理系生 進学後に必要な費用と奨学金

 私立大学理系に進学した場合、入学金を除いた1年間の学費は約130万円(授業料  110万円、施設設備費 20万)です。1ヶ月あたり約11万円と考えると、計画がしやすくなります。 結論から言うと、7万円を奨学金から、4万円をアルバイトから支払うのがおすすめです。奨学金を借りすぎると返済が苦しくなり、アルバイトをしすぎると学業が苦しくなります。

※奨学金を借りる学の全国平均は、月額6~7万円程度となっています。

大学生が利用できる奨学金は、海外ではもらえるものがメインですが、日本あとから利子をつけて返すものがメインです。ほとんどの大学生は、日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金を借りています。 日本学生支援機構(旧日本育英会) 第2種奨学金(有利子)

金利 年率3.0%を上限として変動(固定0.27%、見直し方式0.01%。2018年3月)。在学中無利息。
条件① 大学、短期大学、専修学校、大学院等の学生
条件② 家計基準(3~4人世帯の給与所得者なら年収1000~1100万円前後まで)+成績が平均以上等
貸与額 月2万〜12万円(1万円刻み)
手続き 高校で5月(秋にもう1度ある場合も)に申し込み、10月に決定。
入金と返済 入学後に借りられる。卒業後に返す。返済期限は、自動設定(延長しても20年)

※第1種は無利子(最高額は、4.5万~6.4万円の範囲内で自動設定) 日本学生支援機構のウェブサイトにあるシミュレーターが便利です。以下は、シミュレーションの一例です(記事執筆時)。

  • 月額7万円を4年間借りた大学生 → 月約1万5305円を37歳頃まで返済

文系大学理系生 アルバイトは「平均」で月に4万円程度がおすすめ

私立大学理系生が、自分で学費を支払うとすれば、月に約11万円。奨学金の月額貸与額の全国平均である、7万円程度分を奨学金、残り4万円程度分をアルバイトで支払うのがおすすめです。 私立大学理系の学生の場合、文系生に比べ研究、レポート、論文執筆が忙しく、アルバイトの上限は、月額「平均」4万円程度です。学年が上がるほど、アルバイトは減らしたほうがよく、以下の点に注意が必要です。

  • 研究やレポート提出が本格化する、3年生以降にアルバイトを減らすことがカギ。
  • そのためには、大学1年生の間や長期休暇に、意識して多めのアルバイトをして行くことがカギになる。
  • 大学の理系では、大学のレベルによっては大学院への進学が非常に多くなる。大学院生活も視野に入れた、マネープランが必要。

※アルバイトで稼ぐ額の全国平均は、月5万円程度。

もらえる奨学金の例 ①(国)住民税非課税・生活保護など。2~4万円/月。各高校数名。 ②(各大学)立教大・東京学芸大・東洋大・神奈川大・玉川大・横浜商大・明光教育研究所・トビタテ!留学JAPAN官民協働海外留学支援制度など
その他の奨学金(例) ①看護師、介護福祉士、保育士。指定施設で働くと返済免除。 ②市区町村(無利子のものも) ③新聞奨学生(かなりハード) 上記の奨学金のなかには、採用数が少ないもののあります。通常は学生支援機構の奨学金を高校在学中に予約しておき、上記の奨学金に当選した場合、日本学生支援機機能の奨学金を減額したり、取りやめたりするケースが多くなります。

私立大学理系生の生活費

私立大学理系生の学費は月に直すと約11万円。学生本人が、奨学金(7万円)とアルバイト(平均4万円)で十分に支払える金額でした。一方、学費以外にかかる生活費はどのような相場になるのでしょうか?

自宅生の生活費 月額4万円(〜6万円)
自宅外生の家賃含めた生活費 月額12万円(〜18万円)

上の金額(4万円、12万円)は、比較的質素な生活の大学生の生活費です。大学理系生は、一般には派手に遊びまわるタイプが少なく、また授業やレポートも忙しいため、上の金額か若干色をつけるくらいで不足はないでしょう。

自宅外生の家賃や生活費の明細は以下の通りです。

  • 家賃 4万円/光熱費1万円/食費3万円/娯楽費1万円/勉学・雑費1万円 /スマホ・通信1万円/その他1万円

学費を本人が払うパターンなら、生活費を保護者が負担すると、バランスが良いでしょう。

※自宅外生で保護者の負担が多すぎて厳しい場合、家賃分を保護者が負担し、生活費分を仕送りとするなどの方法もあります。

私立大学理系生 進学後に必要な臨時出費

学費と生活費(自宅外生は家賃を含む)のほかにかかる費用として、入学後の臨時出費があります。 一般入試受験者や一人暮らしの場合、入学前にかかる費用もあります。一般入試かつ一人暮らしで、5校の受験の場合、合計約50万円となります。

  • 一般入試受験の場合、受験料(私立大は1回3万5000円が相場)や住む地域によっては宿泊費がかかります。
  • 一人暮らしの場合、借家契約16万円、引越7万円、家電8万円がかかります(平均額)。

入学後の大学生の主な臨時出費(平均)は以下の通りです。留学をしないとしても約80万円かかりますので、1年あたり約20万円の備えが必要です。学生本負担する場合、奨学金かアルバイトを毎月1万円程度増やし、長期休暇のアルバイトで8万円を稼ぐとカバーできます。

  • 衣装(入学式のスーツ)3万円/免許25万円/資格スクール17万円/海外旅行14万円 /留学30万円/就活6万円/合宿・旅行5万円/帰省交通費2万円/その他7万円

大学在学中に大学院進学を決意しやすい  大学理系生

文系の大学生と異なり、理系の大学生は大学院への進学を在学中に決意することが多くなります。学内で先輩の様子を見たり、就職関連の情報を入手したりがきっかけです。簡単に言うと、理系の場合、大学院へ進学した方が、就職の条件が有利になることが多いのです。

  • 早大の理工系学部では、卒業生の71.2%が院に進学している(2016年度)
  • 明治大の理工学部では、卒業生の40.0%が院に進学している(2016年度)
  • 東洋大の理工学部では、卒業生の12.2%が院に進学している(2016年度)

このように、超難関大の理系学部では非常に多くの学生が、難関大の理系学部では半数近い学生が、大学院に進学しています。筆者の予備校講師時代の経験では、理系志望の高校生は、院進学を大学進学後に決める傾向があります。そのため、高校在学中に予定がなくても、院進学の費用の想定は必要です。

入学金 授業料 設備施設費等 合計
修士=博士前期課程(2年) 21万3000円 84万7000円 9万0000円 115万0000円
博士後期課程(3年) 20万0000円 70万1000円 8万5000円 99万4000円

文科省 2016年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査

理系の大学院の学費の平均額は、修士課程の初年度で115万円となります。入学金を除く学費は、約94万円前後となり、月額で8万円弱となります。学生本人が負担する場合、アルバイト4万円、奨学金4万円となります。

理系の大学院生の場合、塾講師のアルバイトがおすすめです。とくに高校生も抱えている塾では、物理・化学・数学の指導者は慢性的に不足しており、活躍の場が多く、収入も上がりやすくなります。

就職リスク=奨学金返済不能リスクが低い大学理系生だが、例外も

日本学生支援機構によると、奨学金の滞納者は約16万人います(2016年11月、3か月以上の延滞者)。しかし、理系の大卒生は、就職に関して順調に行くことが多く、返済が滞るリスクは文系に比べ少ないでしょう。月額7万円の奨学金を4年間借りた大学生は、月約1万5300円を37歳頃まで返済することになりますが、正社員なら返済は可能です。

理系大学の卒業生で、奨学金返済がうまく行かないのは、次のようなケースが考えられます。

  • 理学部で学ぶ学生 … 理系は就職が良いと言われますが、おもに工学部に当てはまります。理学は、その名の通り理系科目(物理学、化学、数学など)を専門的に学び研究者を輩出する学部です。企業や大学で研究者の職に就ける人は少なく、中高理科教員が一定の受け皿を果たし、そうでない学生は食品・薬品・環境系企業などの総合職も目立ちます。もし研究とは無縁の仕事に就きイメージと合わない場合、転職リスクが生まれます。
  • 予期せぬ大学院進学 … 高校在学中に大学院進学を決意している人は少なく、大学進学後に検討するケースが多くなります。上述のように、例えば明治大の理工学部では、卒業生の40.0%が院に進学していますが、周囲や先輩の影響を受けてというケースも多いと思われます。
  • かなり低水準の大学出身 … 大学文系では就職活動にインパクトがあるのは日東駒専以上ですが、大学理系の場合、それよりやや下のランクの大学も堅実な就職実績を出しています。しかし余りにもランキングが低い大学では、数学・物理・化学などの基礎の習熟ができていないことがあり、企業評価は下がるとみられます。
  • 組織が合わない場合 … 文系に比べ理系生は、コミュニケーションに苦労をしたり、組織が合わないというケースは散見されます。

以下のような対策が可能です。

  • 進路選択 … 高校在学中に理学、工学の違いをよく調べる。理学系に進む場合、教職や公務員試験を視野に入れる。また、工学との結びつきが深い学科も大学によっては存在。研究者を目指す場合は浪人してでもハイレベルな大学へ。
  • 大学院進学率の調査 … 進学する大学工学部(理学部)の大学院進学率を知っておき、予算のイメージを持っておく。
  • かなり低水準の大学について … AO入試で低倍率で入学できる大学では、数学・理科の基礎が不十分な新入生が多くレベルが落ちている。より上の大学を目指すが、やむを得ない場合、高校在学中に数学・理科を大量に学習しておく(高校の先生か個別指導塾)。なお、工業高校出身者は、普通科高校の数学・理科のカリキュラムに追いついておく。
  • 組織について … 高校、大学在学中に、接客・販売業などコミュニケーションが盛んなアルバイトを経験しておく。

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