古文助動詞の覚え方~意味・接続を歌で即日暗記~

      2017/08/15

古文の助動詞一覧表は、その暗記量に圧倒されますが、助動詞の意味、接続、活用表の暗記を避けてしまうと、古文は100%苦手科目になります。古文助動詞の暗記にはコツがあるのですが、教科書・参考書には、なかなか掲載されません。助動詞の意味・活用表はたったの3系統、接続は歌1曲にまとまります。元・予備校国語科講師が書いています。


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古文の学習は、基礎の確認、文法頻出度1位~20位の順がおすすめです。この記事は、文法頻出度1位~20位を補足する記事です。あわせてご利用ください。

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古文助動詞で覚えるべきことは3種類

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古文の助動詞を学習する際に、覚えるべきことは3種類です。

① 意味 … 過去・完了など。

② 接続 … すぐ上に来る語の活用形(「ず」の上は未然形など、助動詞ごとに決まっている)

③ 活用表 … 未然・連用・終止・連体・已然・命令形の変化の仕方(ず・ず・ず・ぬ・ね・〇、など)

高校の教科書や文法テキスト、あるいは参考書を見ると、助動詞に関して覚えることが多すぎて驚きます。しかし、意味、接続、活用表とも「まず確実に覚えるべきこと」と、後から「少し弱めにつけ加えるように覚えればいいこと」に分かれます。古文助動詞攻略のコツは「優先順位」なのです。

ところが、まずこれを覚えてくださいと伝えると、「どうせ最後にすべて覚えるのなら、いままとめて覚えたい」という方が必ずいます。それは、高校受験までの勉強法です。暗記量が少なく、浅い知識でも記号で選べる問題が多いからです。高校進学後は、そのように「まんべんなく無理やり覚えた知識」は抜けやすく、理解度も甘いため、試験ではうまく活用できないことが多くなります。この記事は、短時間で、正しく効率を追求し、古文を得意科目にしたい方のための記事です。

古文助動詞を短期間で「使える形」でマスターするコツ

家

① 優先順位の高い知識は、家の基礎部分や1階のようなものです。まずこの部分を、完全に固めます。

② 優先順位の高い知識は、ノーヒントで白紙に書けるレベルに仕上げます。

③ 優先順位の低い知識は家の2階のようなものです。多少ゆるい記憶でもかまいません。問われれば答えられる、選択肢を見て選べるというレベルにまず仕上げます。

※この記事は、予備校で10年近く古文を担当した講師(合格実績:東大、大阪大、早稲田大、慶応義塾大、明治大、立命館大大など)が独自かつ確実なノウハウを提示します。よく読んで、理解頂ければ、驚くほど古文が得意になることをお約束します。


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古文助動詞で、まず覚えるべき意味は「時制系」だけ!

富士山

古文の助動詞の意味をはじめからすべて覚える必要は全くありません。たとえば「ごとし」の意味(比況:~のように)が出題されているのを、見たことがありますか? 「走りて坂を下る輪のごとく衰えゆく」(徒然草・一八八段)のように、読めば中学生でも分かるのです。

また高校の教科書で優先度が高い、助動詞「る・らる」(自発・可能・受身・尊敬)は、現代語に残っていますので、張り切って初期に徹底暗記する必要は全くありません。現代語で、目が覚める(=自発)、食べられる(=可能)、悪口を言われる(=受身)、話をされる(=尊敬)と自然に頭に入っている助動詞です。

大学受験やセンター試験での優先順位を考慮して、まず覚えるべき助動詞の意味を絞ると3つしかありません。

はじめに覚えるべき助動詞の意味

過去 き・けり

完了 つ・ぬ・たり・り

推量系(=未来形のようなもの) む・べし・まし>なり・めり>けむ・らむ

過去と完了はすべて暗記しますが、推量系は、受験校のレベルや割ける時間を考え、む・べし・まし・なり・めりに絞ってもよいです。極端に古文が苦手な場合は、まず む、べし に絞っても構いません。

推量系の場合、正式な文法上の意味は、「む」=推量・意志・勧誘・仮定・婉曲(スイカカエ)のようにそれぞれ異なります。しかし、一度に覚えようとすれば、混乱しすぐに忘れ、なかなか使えるようにならず、嫌になってしまいます。まずは、む=will、べし=should、まし=wouldのように、ベースになるイメージをつかむことが大切です。

「過去 き・けり」を覚えてしまえば、あなたも古文で過去を表せます。例えば現代語の「人を見た」なら「人見き」と古文訳すればOKです。しかし「人を見たとき」と書きたい場合、「人見きとき」では通じません。終止形「き」の変身パターンを学ぶのが、「活用表(活用の種類)」です。

古文助動詞で覚えるべき活用表は、3つだけ

これまでの古文学習では、教科書や文法テキストの表紙の裏側などにある活用表を、すべて暗記するという「苦行」を経て古文をマスターするしかありませんでした。しかし、本質をつかむと覚えることは3系統しかないのです。

はじめに覚えるべき助動詞の活用表(活用の種類)

① ず・き の活用表だけは丸暗記

② る・らる・す・さす・しむ・つ は下二段

③ 語尾が「む・り・し(じ)」の助動詞は、四段・ラ変・形容詞型

※完了の助動詞「ぬ」はナ変型です。わざわざ暗記しなくても、ピンときやすいので外しました。

※やや応用ですが、上の表の③例外は「じ・らし・まし」です。いずれも無変化か特殊型ですが、「まし」がときに聞かれるくらいであまり出ませんので、後回しにしてOKです。

【1】ず・き の活用表だけは丸暗記

ハナミズミ

写真:はなみずき

打消の助動詞「ず」、過去の助動詞「き」は、古文中で非常によく使われるため、特殊型の活用になっています。英語でも、tell、go、thinkなどよく使う語が、特殊型の変化(不規則変化)をするのと全く同じです。英語では tell, told, told や go, went, gone などを覚えれば読める文章は、非常に増えます。古文でも、特殊型は、一見面倒ですが、覚えれば読解力は大きく伸びます。

「ず」 … ず・ず・ず・ぬ・ね・○

「き」 … せ・○・き・し・しか・○

これを理解しておけば、現代語の「人を見たとき」(過去時制)を古文で書きたい場合、「人見きとき」ではなく「人見とき」と書けばよいと分かります。

入試問題の長文のなかで、「ける」に傍線が引かれれば、「けり」の仲間ではないかとイメージできます。しかし「し」に傍線が引かれ、これが「き」の仲間だとピンと来る可能性は、活用表を暗記していなければ、ゼロになります。だから特殊型の助動詞は、覚えるべき優先順位が高いのです。

【2】る・らる・す・さす・しむ・つ は「下二段」

現代語の「山が(自然と)見えたとき」を古文で書きたい場合、自発の助動詞「らる」を使い、「山見(らる)とき」と書きます。しかし「らる」は変化(変身)させる必要があります。

全ての活用表を完全に丸暗記すれば誤答はしませんが、英語など時間がかかる教科も多いなか、古文助動詞活用表丸暗記とメンテナンスに時間をかけるのは困難です。しかし、る・らる・す・さす・しむ・つ は「下二段」の原則を知っていれば、試験での対応が可能です。

下二段型は、「え・え・う・うる・うれ・えよ」ですので、らるの「連体形」は「らるる」と分かります。したがって、古文で「山が(自然と)見えたとき」と書きたい場合、「山見らるるとき」と書きます。

※なお助動詞を学習する前段階の、「下二段型」等でつまずいてしまっている方は、以下の記事だけ押さえればすぐに合流できます。

古文文法の勉強法 たった5つのポイント!~入門編~

【3】語尾が「む・り・し」の助動詞は、四段・ラ変・形容詞型

お札

写真:無利子(むりし)の銀行に預けた人

語尾が「む」の助動詞は、四段型です。例えば、推量系の助動詞「む」は、四段型(あ・い・う・う・え・え)の活用です。

ま・み・む・む・め・め

上のように書ければ問題はありません。○・○・む・む・め・○ との暗記を指示されていると思いますが、読解や入試問題を解く上で○の位置の認識が必要なケースはほぼ皆無です。

語尾が「む・り・し」の助動詞は、四段・ラ変・形容詞型、つまり以下のようになります。

・語尾が「む」の助動詞は、四段型。(例)推量系の助動詞「む」=ま・み・む・む・め・め

・語尾が「り」の助動詞は、ラ変型。(例)過去の助動詞「けり」=けら・けり・けり・ける・けれ・けれ

・語尾が「し」の助動詞は、形容詞型。(例)推量系の助動詞「べし」=べく・べく・べし・べき・べけれ・○

※正確には○・○・む・む・め・○/けら・〇・けり・ける・けれ・〇 となりますが、後回しで構いません(問題を解いていくうちに覚えられますし、覚えずに受験を迎えてもデメリットはほとんどありません)。

※「べし」の補助活用(下に助動詞が続く場合)はラ変型になります。べく、べから/べく、べかり/べし/べき・べかる/べけれ/〇 のように無理に覚えなくても、左側はラ変(または補助活用はラ変)と知っておくだけで十分です。例えば、「べくず」は誤りで、「べからず」が正解になります。

(例)

・海を見るようなとき … 海見とき(むの連体形=む)

・海を見たとき … 海見けるとき(けりの連体形=ける)

・海を見なけらばならないとき … 海見るべきとき(べしの連体形=べき)

古文助動詞で覚えるべき接続は1曲歌えればOK

助動詞特別講義

助動詞の接続とはすぐ上に来る語の活用形を指します。例えば「海べきとき」はNG。助動詞べしは、すぐ上に終止形が来ると決まっていますので、「海見るべきとき」と書きます。

接続を覚えるときには、連体形接続を後回しにするのがコツです。連体形接続には、断定・なり、断定・たり、比況・ごとし しかありません。「たり」「ごとし」の出題頻度はかなり低く、「なり」は「なりの識別」を学習するときに必ず覚えるからです。

はじめに覚えるべき助動詞の接続

(未然形接続)む・ず・むず・じ・しむ・まし・まほし る・らる・す・さす・り・り・り

(連用形接続)つ・ぬ・たり・けり・たし・たし・き・けむ

(終止形)らむ・べし・まじ・らし・なり・めり

上の覚え方は「♪もしもし亀よ」の歌にあてはまります。多少音符が余るため「り」「たし」は繰り返しています。

歌い方のヒント

[未]むー・ず・むーず・じー・しむ・まし・まほしー
□□□もー・し・もーし・かー・めよ・かめ・さんよー

[未]るー・らる・すー・さす・りー・りー・りー
□□□せー・かい・のー・うちで・おま・えー・ほど-

[用]つー・ぬ・たり・けーり・たし・たし・き・けむー
□□□あー・ゆ・みの・のー・ろい・もの・は・ないー

[終]らーむ・べーし・まーじ・らし・なーり・めりー
□□□どー・しーて・そん・なに・のろいの・かー

 

※やや応用ですが、もしも、終止形接続の「なり」って推量系(正確には伝聞・推定)か断定の、どっちだったけ?と混乱しまったら、回りを見てください。「べし」「めり」といった推量系のメンバーがいます。ですから、この「なり」は伝聞・推定なのです。

※連体形接続も覚える余力が、あれば最後に どーしてそん なり・たり・ごとしー を加えます。無理して覚える必要はありません。

【まとめ】古文助動詞の覚え方~意味・接続 歌で即暗記~

助動詞の前の単元の「下二段と四段」「サ・カ・ナ変とラ変」「形容詞型」を覚えているという条件(こちらの記事)はつきますが、そこをクリアーできれば、1日で暗記は可能です。これまで多くの方が挫折してきたのが、嘘のようではないでしょうか?

まず優先度の高いことを覚える。すると古文が苦でなくなる。自然と応用も覚えたくなってくる。このサイクルが重要で、はじめから詰め込んで挫折する必要はないのです。

はじめに覚えるべき助動詞の意味

過去 き・けり

完了 つ・ぬ・たり・り

推量系(未来形のようなもの) む・べし・まし>なり・めり>けむ・らむ

はじめに覚えるべき助動詞の活用表(活用の種類)

ず・き の活用表だけは丸暗記

る・らる・す・さす・しむ・つ は下二段

語尾が「む・り・し」の助動詞は、四段・ラ変・形容詞型

はじめに覚えるべき助動詞の接続

(未然形接続)む・ず・むず・じ・しむ・まし・まほし る・らる・す・さす・り・り・り

(連用形接続)つ・ぬ・たり・けり・たし・たし・き・けむ

(終止形)らむ・べし・まじ・らし・なり・めり

古文助動詞を暗記したあなたはこうなる

しずかに

授業や参考書で、手も足も出なかった文法問題がどんどん分かるようになる。

読解のとき、無意識にブレーキを踏んでいた、古文の文末に強くなり、アレルギーが軽減する。

だんだん古文が分かるようになり、最終的には得意になってゆく。

練習問題

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせまに

(問い)「ながめせしまに」の「し」について、次のように説明しなさい。

(  A  )の助動詞「(  B  )」の(  C  )形

 

 

(正解)

・名詞「ま(間)」の上にあるから連体形。

・連体形に「し」が来るのは、せ・○・き・し・しか・○

・終止形が「き」だから、過去の助動詞(き・けり)

したがって、過去の助動詞「き」の連体形となります。

今後の勉強法

助動詞特別講義

現在ご覧の記事は、次の記事の補助となっています。

[助動詞中心]古文文法 頻出ベスト40(前)

この記事をマスターしたら、古文文法 重要度ベスト40(前半)をごらんください。

日本史の学習法はこちら

 

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練習用

この記事を毎日1回はチェックし、時間があるときに下の表をうめましょう。古文は、英語と比較すれば50分の1程度の暗記量です。しかしセンター試験では、英語の4分の1もの配点があります。

はじめに覚えるべき助動詞の意味

過去 【  】・【  】

完了 【  】・【  】・【  】・【  】

推量系(未来形のようなもの) 【  ・  ・  】>【  ・  】>【  ・  】

 

 

 

 

過去 き・けり
完了 つ・ぬ・たり・り
推量系(未来形のようなもの) む・べし・まし>なり・めり>けむ・らむ

はじめに覚えるべき助動詞の活用表(活用の種類)

ず・き の活用表だけは丸暗記

① ず → 【  ・  ・  ・  ・  ・  】

② き → 【  ・  ・  ・  ・  ・  】

【  ・  ・  ・  ・  ・  】は下二段

語尾が【  ・  ・  】の助動詞は、【  ・  ・  】型

 

 

 

ず … ず・ず・ず・ぬ・ね・○
き … せ・○・き・し・しか・○
る・らる・す・さす・しむ・つ は下二段
語尾が「む・り・し」の助動詞は、四段・ラ変・形容詞型

はじめに覚えるべき助動詞の接続

(未然形接続)む・【  ・  ・  ・  ・  ・  】 る・【  ・  ・  ・  ・  ・  】

(連用形接続)つ・【  ・  ・  ・  ・  ・  ・  】

(終止形接続)らむ・【  ・  ・  ・  ・  】

 

 

 

(未然形接続)む・ず・むず・じ・しむ・まし・まほし る・らる・す・さす・り・り・り
(連用形接続)つ・ぬ・たり・けり・たし・たし・き・けむ
(終止形接続)らむ・べし・まじ・らし・なり・めり

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