古文参考書・問題集 センター試験対策のベスト9!

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この記事では、センター試験の対策に適した、古文参考書、問題集を挙げます。筆者は、予備校の国語講師を10年ほど経験しています。

古文単語

古文単語ゴロゴ

古文単語565語を収録した、比較的人気のある単語集です。英単語集に比べ、収録語が少ない印象を受けますが、古文単語は、200語程度から効果を実感できます。565語という収容単語数で、センター試験には十分です。

例えば、名詞のあからめは、「あっ空メール わき見する間に浮気する」のように覚えさせます。彼女のスマホに空メールが届き、彼女が自分を見ていない間に、ほかの女の子に声をかけるイラストが付いています。

うつつ(名) … 打つ打つイチロー、「現実だ」
しるし(名)…  シールしっかり「効き目」「はっきり」「霊験」導師
おこたる(動) … おこたに当たると「病気が治る」
おぼす(動)…  大ボスが「お思いになる」

古文が苦手な人や、センター試験だけに必要な受験生には向いています。現代語との共通点や相違点に注意しながら、言葉の歴史に関心を持って学びたい人には向いていません。

利用方法には注意が必要です。それは、この参考書は、名詞と動詞の暗記にのみ利用して欲しいという点です。例えばゴロゴは、形容詞「こころもとなし」を次のように覚えさせます。

こころもとなし(形)…  所元金なし、「不安だ」「気がかりだ」

センター試験では、次のように出題されます。

センター古文

ゴロゴの利用者は、3番に飛びつきますが、正解は2番です。形容詞、形容動詞は、意味を丸暗記した場合に得点源になりにくく、イメージを押さえ、文脈に沿った訳を考える方向性を求められることが大半です。これは、古文はその方向性の方が効率良く読めるからであり、入試でもイメージを押さえているかどうかが、文脈とともに問われます。

センター試験の古文は、古文学者などが極秘に指名され、作問委員を務めます。作問委員は、1年目は、先輩格の委員の指示のもと、受験生の知識、読解力などを把握し、狙った正解率を叩き出す問題作成を研究します。この背景には、全教科に渡り、センター試験の得点率を6割に調整しなければならないという至上命令があります。もし、ある年度に国語科が平均4割の問題を作問してしまえば、その年の作問委員は、低評価を受けることとなりますので、委員はしっかりと受験生の知識を確認してきます。

例えば、上に挙げた問題で、正解に「不安」の語を含ませてしまえば、ほとんどの受験生が正解となってしまいます。そのため、委員はよく使われている参考書を研究し、不安だの訳語を丸覚えしている受験生を、誤答である3番に誘導します。3番の選択肢は、過ぐしの訳出が、「そのままにする」と完全な誤りになっていますので、不正解です。

ゴロゴを利用する場合は、このようなひっかけがあまり用いられない、名詞動詞に絞ることがおすすめです。形容詞、形容動詞は、古文や例文を5つ程度研究し、自分の言葉でイメージをまとめていったほうが、一見面倒ですが、早道になります。

(分析例)

かしこし(形) … 恐れ多いこと、頭や行いが良いことを示す。
いみじ(形) … very much
きよげなり(形動) … さっぱりとし、きれいな男性、女性、風景に使うほめ言葉。
うれしげなり(形動) … 現代語とほぼ同じ。うれしそうな様子を表す。

なお、分析が正しいか心配な場合は、『マドンナ古文単語』『土屋の古文単語222』など、別の単語集で確認していきます。

マドンナ古文単語230

『マドンナ古文単語230』は、収録単語数が少なく初心者向けの単語集です。しかし、古文は単語数200程度でも大きな進歩があるため、まず1冊を仕上げるという勉強法も有効です。特に、形容詞・形容動詞の学習は、意味を丸暗記した単語数の多さよりも、頻出単語をどこまで深く押さえたかで、得点が動いてゆきます。

名詞、動詞はゴロゴで学習しても構いませんが、形容詞、形容動詞は、『マドンナ古文単語230』のように、丁寧な解説がある参考書を利用します。荻野文子氏の著書は、全般に古文が苦手な人にも、自然に分かりやすく、その魅力を伝えようと努力している傾向があります。古文が苦手になってしまった人にも最適です。

土屋の古文単語222

『土屋の古文単語222』は収録単語数は、マドンナと同じで、初学者向けです。しかし、古文は単語数200程度でも大きな進歩があるため、まず1冊を仕上げるという勉強法も有効です。マドンナ古文単語と比べると、古文が普通または苦手でない、と感じる人向けです。

本を開いたときには、無味乾燥としたイメージを持ちますが、内容は長年の講義で語ってきたことのなかで、何度も繰り返し読んでほしいことを凝縮した内容です。読み返してこそ、価値が生まれてくる参考書です。

土屋博映氏は、古文辞書も編纂にも携わっており、代ゼミの黄金時代を支えた講師です。例えば、をかし、おもしろしの意味に「趣がある」がありますが、このイメージを分かりやすく説明できる国語講師はあまりいません。土屋氏は、趣があるの語感は、欧米人にはなかなか理解されないことを指摘した上で、一輪挿しの花を見て、日本人が思う感覚だと別所で述べています。

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花を一輪挿しするのは、日本人特有の感覚です。欧米人は、幼い頃から花を大量にいけた風景や、それを絵画にしたものを見て育ちますので、一輪挿しの良さ、つまり趣深いという語感を、どうしても理解することができません。

古文文法

富井の古典文法をはじめからていねいに

『富井の古典文法をはじめからていねいに』は、中3~高1前半レベルの古文の知識もあやふや、という人がターゲットです。例えば、四段や下二段の活用表を、1秒以内に自信を持って言い切れない人向けです。基礎から始める分、1冊でセンター試験対策は十分とまでは言えませんが、望月光先生の古典文法講義の実況中継を難しく感じる人には、おすすめです。

インターネット上で、古文文法の基礎を学ぶ場合は、次の記事を参考としてください。

古文の勉強法|予備校講師がゼロから難関大まで完全公開!2週間で「源氏」読解が可能
古文の勉強法は失敗がつきもの。7年間予備校で古文を教えてきた講師がゼロから難関大まで、勉強法を完全公開!2週間で最高峰の「源氏物語」読解が可能になるような方法論です。

望月光 古典文法講義の実況中継

『望月光 古典文法講義の実況中継』は、上下巻の2冊ですが、講義を再現した語り口で収録されており、改行も多いため、想像よりは読むのに時間がかかりません。センター試験の古文問2で出題される、古文文法の知識は、ほぼ押さえることができます。

センター試験は、読解がメインであり、文法の配点が低いように感じるかもしれませんが、文法独立問題のほか、語い問題、または解釈の問題で文法を絡めて聞いたり、文法が決定打になることも多くあり、実質的に20~24%の配点になることが多くあります。

『望月光 古典文法講義の実況中継』は、非常に分かりやすい参考書ですが、読んだだけで覚えられるわけではなく、自分で工夫して知識の確認を行い、問題集で定着させることが、実際に得点を上げるまでには必要です。また、中3~高1前半レベルの古文の知識は、前提として必要です。

なお、文法に関しては、参考書を購入せず当サイトで学ぶことも可能です。

[助動詞・識別]古文重要文法まとめ ベスト40を1日でマスター
古文文法が苦手な方のための、従来より8割少ない時間でマスターできる、古文重要文法をまとめたランキングです(基礎固めは12位まで、MARCHは30位まで、共通テスト・早稲田は40位まで)。識別はじめ、動詞・助動詞・敬語を網羅。驚異的な絞り込みに成功しています。

古文読解

例えば、中学でも高校でも、部活に加入したことがなく、部活が出てくるまんがを読んだこともない人が、部活ネタを理解することは、意外に難しいです。小学生が、部活ネタを理解できるかどうか、考えてみてください。

部活ネタは意外に難しい?

・先輩、後輩とは誰で、どのような関係なのか?顧問とは、何者か。
・練習とは、何をどこでやっているのか?そもそも何のために練習しているのか?
・試合とは何か。練習試合と公式試合とは、どういう意味か。練習試合で負けて泣くことは、なぜないのか。
・公式試合は時間がかかるようだが、そもそもいつやっているののか。
・部活の参加費はかかるのか。

部活ネタを理解するためには、基礎知識が必要です。

古文読解も、練習を始める前に、基礎知識を身につけることが必要です。

・中将、参議とは誰で、どんな仕事をしているのか。
・和歌は、誰がどこで、何のために詠んでいるのか。
・昔の人は、結婚にこだわっているようだが、どのように婚活をするのか。

こういった基礎知識を古文常識と呼びます。

富井の古文読解をはじめからていねいに

『富井の古文読解をはじめからていねいに』は、古文読解の参考書ながら、古文常識(基礎知識)を意識した、貴重な構成です。レベルは基本的ですので、早めに仕上げて、もう1冊取り組む必要はあります。

英文の読解を成り立たせるのは、単語と文法(構文)ですが、古文読解を成り立たせるのは、主に古文常識と文法(構文)です。古文常識は、身分、場所(建物)、生活習慣、恋愛、和歌が特に重要です。古文常識は、通常、専用の参考書を使いますが、理系生など、センター試験対策にあまり時間を取れないという方には、『富井の古文読解をはじめからていねいに』がおすすめです。

マドンナ古文常識

読解用の参考書や問題集と並行して、古文常識を学ぶ場合、『マドンナ古文常識』がおすすめです。古文に強い興味がない人を意識して、古文が多少好きになるように意図して書かれています。センター試験対策として、十分な量です。

大学入試センター試験過去問レビュー国語(河合塾)

実践レベルのセンター試験演習は、市販の問題集でも構いませんが、実は、センター試験の過去問がおすすめです。センター試験の古文の本質は、時間がないことです。本来40分かけても良いレベルの文章を、20分前後で読ませます。なぜかというと、選択式の試験にも関わらず、正答率を60%に抑える必要があるからです。60%の平均点は、文科省が定めたものです。

センター試験の古文の読解の本質は、20分間の範囲で、与えられたヒントを駆使し、設問に軸足を置き、ストーリーに関し7割方の理解をしてゆく技術にあります。そのため、私大や国立を想定した問題集でもなく、センター試験専用に分析したものでもなく、過去問がベストです。

『大学入試センター試験過去問レビュー国語』は、質が高いセンター試験の過去問に、河合塾講師陣が解説を付けたものであり、おすすめ度が高いといえます。解説は、文法、単語含め、多岐にわたるため、古文常識本の併用が必要です。

速読古文常識

Z会の『速読古文常識』は、ある程度古文が好きな人向けです。古文を苦手とする人のための、導入としての前置きが不要で、知識の習熟に絞りたいという人には合います。見開きページの右側に重要な知識が来て、左に行くほど、関連した応用知識になるように、配置されている点が便利です。センター試験対策として、十分な量です。

 

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