日本史の正しい勉強法・学習法~受験生1000名の集大成~

      2017/04/23

この記事では、予備校の大学受験責任者を10年近く勤めた筆者が、日本史の革命的な勉強法・暗記法を解説いたします。やり方は人の脳の機能を研究しつくした、合理的かつ効率の良いものです。この記事との出会いが、受験を大きく変えることを約束します。

たった数名の大学生の体験談ではなく、千名単位の生徒に、講義だけでなく個別的に指導し、つまづきを知り改善してきた集大成となります。関連記事で、短期間の講習会で、半分以上の生徒が1000年分前後の年表を記憶できた方法も明らかにします。


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【結論】日本史の勉強法

日本史の勉強には、2つの柱があります。「授業の復習」「年表を軸とした自習」です。高校生も浪人生も、この流れで学習することになります。

勉強は、インプットとアウトプットから成り立ちます。日本史は、インプットとアウトプットのバランスが重要です。「授業の復習」には、必ずノート作り(インプット)と問題演習(アウトプット)を含みます。脳の仕組みを考えると、単に内容をまとめるのではなく、他人に説明できる準備としてのノート作りが必要です。そして、時間をかけすぎてはいけません。50分の授業なら、ノート作りは最大でも50分。残った時間で、問題演習(アウトプット、視点の拡大)を行うことが必要です。

参考

  • インプット<アウトプットが向いている教科 … 数学、物理、英語、現代文
  • インプット=アウトプットが向いている教科 … 古文、化学、生物、日本史、世界史、政経など

一方、「年表を軸とした自習」は、まず大まかな通史を把握します。各世紀ごとに、ベスト10に位置づけられる出来事から押さえてゆくのです。この基本的な通史は、ほぼ暗唱できるレベルにまで仕上げます(関連記事で説明する、記憶術の活用も可能)。各世紀ごとに、核になるできごとが押さえられたら、関連する出来事を付け加えてゆくと、絶対に崩れない記憶のカタマリが出来上がります。

ノートづくりを軸とした授業の復習/日本史の勉強法

ノートづくりを軸とした勉強法で、失敗例として多いのは、つぎの2パターンです。

  • ノートづくりの目的を「きれいなノートづくり」に置いてしまっている。
  • 時間をかけすぎており、アウトプット(問題演習)による定着のプロセスがない。

ノートづくりを軸とした日本史の勉強法は、上の図のような流れになります。ノートがきれいであることは絶対条件ではなく、あくまで他人に説明する準備という感覚が必須です。例えば、翌日の朝のHRで、10分間クラスの全員に、授業の流れを説明できるメモとしてのノートという感覚が非常に重要です。そして、かけてよい時間は授業時間と同程度。必ず問題演習(アウトプット)を加えます。

ノートづくりの目的を「他人に説明できるための準備」に置き、自分の言葉や図表・経験に置きかえ、長くても授業を受けた時間内で仕上げるのが、最大のコツになります。

人は、他人の言葉や説明を、そのまま理解することはできません。もし可能ならば、世の中は天才・秀才だらけになってしまいます。他人の言葉を聞き、それについて深く考えたり、一時的に批判を加えたり、具体例や経験を当てはめてみたりすることで、ようやく理解が進みます。さらに、他人に説明することを前提に知識・情報を整理しようとすると、より完全に理解できます。

もし、好きなまんがやアニメのストーリーを深く理解できるとすれば、自分の言葉で深く考えているからです。インターネットやツイッターなどを通じ、知識や情報を付加し、自分の体験に当てはめて納得したり、感動を覚えたりするプロセスこそが、理解の中心を占めます。そして、好きなまんがやアニメを、何回も他人に説明してゆけば、理解は必ず深くなり、完全な理解が見えてきます。

なぜ人から聞いた知識は、そのままでは理解・記憶できないのか?

なぜ人から聞いた知識は、そのままでは理解・記憶できないのでしょうか? 

例えば、あなたは1週間前から昨日までの朝食を全て覚えているでしょうか? もし人の記憶力が万全なら、1年間の朝食を全て覚えることができてしまいます。しかし、そうなると、生き物として重要な、命や健康を守るための知識が埋もれてしまうこととなります。

そのため、例えば自分で作った日の朝食のように、それについてよく考え、十分な体験や感情がセットになった情報のみを記憶するように、人間の脳は進化してきました。さらに、何かの理由で、他の人に説明をする機会があった朝食メニューは、さらに記憶に強く刻まれます。

日本史の授業も同じです。人の脳は授業で聞いたりノートを取った内容が、本当に重要なのか判断できないため、よほど面白いエピソード以外は、その瞬間、直後、そして睡眠中に極力忘れようとします。

しかし、授業を受けた当日、記憶が整理される睡眠の前に、深く考えたり、批判を加えたり、具体例や経験を当てはめてみたりすることで、完全に記憶に定着します。この作業を頭の中でなく、紙の上に展開するのが「まとめノート」の作業なのです。この本質を理解せずに、東大合格者のノートがどうこうと紹介した書籍や雑誌は、ほとんど役に立ちません。

例えば、徳川家康について授業で習い、ノートを取ってきたなら、いくつかのポイントに気をつけて、まとめノートを作ります。

ノートはまとめ用に新しく作ると、時間がかかりすぎます。授業ノートに余白を作っておく、丁寧にメモ書きしたポストイットを貼りつけるなど、50分以内にノートを完成させるシステムを作り上げましょう。必要なら教科書や参考書のコピーも活用します。

徳川家康は駿河国・久能山から下野国・日光山に改葬されることとなり、家康を東照大権現として祭るため日光東照宮が建設された。

  • ポイント① 言葉を自分流に変える … 例えば「改葬」を「遺骨の引越し」と言い換えることで、理解が深まります。「権現」は、神が仮に現れるという意味を持つことを調べます。
  • ポイント② 深く考え、分析する … 理由や背景などを深く考えます。なぜ家康は日光に改葬されることになったのでしょうか? 江戸から見ると、宇宙を司る北極星と同じ位置に、栃木県の日光があるからなどの説があります。深く考えることで、人の脳はこの情報が重要なのではないかと判断しますし、記憶のネットワークができ、情報や知識は定着します。
  • ポイント③ 具体例・体験を当てはめる … 「久能山」はどこにあるのでしょうか? 地図で調べることで、具体的なイメージが加わり、記憶に定着しやすくなります。
  • ポイント④ 図やイラストを使う … 図は「深く考え、ポイントを絞る作業」、イラストは「具体化する作業」であるため理解と記憶に役立ちます。重要な場所に「赤色」を使うのは、人の脳が血液の色である赤に、特に注意を払う特性を使った基本的な技です。
  • ポイント⑤ 幹と枝葉を分ける … 知識や情報を理解するときには、知識や情報の幹(ポイントになる部分)と枝葉(派生する部分)を分けて考えます。上に挙げた徳川家康の知識では、「日光東照宮」「東照大権現」の語句が幹(ポイント)になります。
  • ポイント⑥ 説明の準備としてノート作りをする … 例えばグループ学習等で、自分が発表する部分は究極的に理解が深まります。人の脳は、「他人にわかりやすく説明する準備をする」ときに、最大の理解力を発揮するようにできています。ときどき、実際に級友に説明をしてみることで、知識はさらに定着してゆきます。
  • 裏技① 写真を記憶し、そこに情報を付加してゆく … この方法は、別の記事で扱います。
  • 裏技② 実際に体験をシュミレーションし、記憶を確かにする … この方法は、別の記事で扱います。

(まとめ)ノートづくりを軸とした勉強法の核心

ノートづくりの目的を「他人に説明できるための準備」に置き、自分の言葉や図表・経験に置きかえ、長くても授業を受けた時間を超えない範囲で仕上げるのが、最大のコツになります。

年表を軸とした自習 日本史の勉強法

日本史の勉強は、高校や予備校の授業を中心に回すサイクルと、自習のサイクルがあります。

例えばある現役生は、次の3つのサイクルを持っています。1、2はいずれか一方でも構いません。

  1. 高校の授業の復習(まとめノート+問題演習)のサイクル
  2. 塾の授業の復習(まとめノート+問題演習)のサイクル
  3. 自習のサイクル(年代ごとの学習)

ここでは、3番の自習の方法を説明いたします。日本史の自習範囲は、時期によって異なります。

  • 初期(偏差値目安55まで)… 世紀ごとに、主なできごとや相互の因果関係、背景を押さえていきます。インプット重視。
  • 中期(偏差値55~65)… 世紀ごとに、知識を押さえつつも、徐々に入試問題を導入し、弱点を埋め、様々な角度に耐えられる知識に期待あげてゆきます。インプットとアウトプットのバランス重視。
  • 入試直前期(偏差値65以上)… 入試問題演習を軸に、早慶等で狙われる細かい知識を攻略したり、国立2次の記述対策を行い深めてゆきます。アウトプットが中心。

この記事では、主に「世紀ごとの学習法」を説明します。

中学の授業からはじまる勉強法の誤り

中学校の学習習慣が、高校生になっても抜けきらず、受験に失敗する例が多くあります。

例えば、定期試験1週間前からの勉強習慣です。テスト週間の学習は、中学生程度の学習ボリュームならまだ効果はありますが、高校の各教科のボリュームを考えれば、高い確率で消化不足となります。しかし、多くの高校生が、中学の学習習慣を引きずり、高校での成績低下に悩んでいます。

日本史の学習も同様です。

  1. 中学校で、1回数十年単位で日本史を習う。
  2. そのまま数十年の小さな単位で、復習し深めるが、記憶が混乱して定着しない。
  3. 中3の高校受験期になり、結局ほとんど覚えておらず、授業はムダに。塾教材や参考書で全体像や頻出範囲を詰め込む。
  4. 高校でも、1回数十年単位の学習を続け、うまく覚えられない。
  5. 日本史の偏差値が上がらず、苦手教科になってしまう。

日本史に限らず、あらゆるものごとは、基本から深いところまで一気に学ぶのではなく、まず基本を身に付け、自信が持てたら、徐々に深い部分を学んでゆきます。どうせいつかは学ぶからと、基本から深いところまで一気に身に付けた場合、知識や記憶が混乱し、短期間で消えてしまいます。定期試験前に詰め込んだ内容が、試験後にきれいに消え去っていることからも、これは分かります。

例えば、野球を教える際に、初日に「ルール学習」「走り込み」「素振り」「バッティング練習」「長打の打ち方」「試合」をすべてやらせる指導者はどこにもいません。しかし、日本史学習においては、時代を細かく区切り、50分間の授業で、小中学校の復習程度の部分から、相当深いところまで、一気に教えることが普通です。この勉強スタイルは、中学校から何度も刷り込まれており、間違っていると考えない生徒が大半です。こうして、日本史の苦手が作られてゆきます。

日本史の正しい勉強法

日本史通史のなかで、基本としてまずはじめに押さえるべきことは、300項目あります。例えば15世紀の場合、基本的な出来事は10項目あります。

15世紀 日本史の重要事件

  • 1404 勘合貿易開始
  • 1419 応永の外寇
  • 1428 正長の土一揆
  • 1429 播磨の土一揆
  • 1438 永享の乱
  • 1441 嘉吉の変
  • 1457 コシャマインの戦い
  • 1467 応仁の乱
  • 1485 山城の国一揆
  • 1488 加賀の一向一揆

15世紀の学習をする場合、高校や参考書では、いきなり「勘合貿易」について深く学んでいきますが、正しい学習法では、まず出来事の名前程度を押さえてゆきます。

基本の学習法の例

  • 各世紀ごとに、基本的な出来事10程度を、ノートまたはパソコンのワードソフトに書き出す(受験ネットでは『日本史ベスト300』を順次公開してゆきます)。
  • 基本的な出来事10程度の内容をごく簡単に調べ、その順番をできる限り暗記する。暗記には、記憶術(受験ネットで順次公開)を使うか、教科書または実況中継シリーズで、因果関係や背景を補い記憶にしてゆく。
  • 基本的な出来事10程度を、起きた順番に、何も見ずに説明できるようにすることがベスト。記憶は、基本部分は完全暗唱、標準部分は問われれば書ける、応用部分は問われれば選べるがベストの仕上げ方です。
  • 基本が仕上がったら、参考書等で、各出来事に関して、5個程度の知識をつけ加えます。木の幹に枝を付け加えるイメージです。このとき「葉」に当たる細かい知識に踏み込まないように、セーブします。
  • 基本10項目に、5項目ずつの知識を加えれば、60項目の知識のカタマリが完成します。
  • この時点で、基本的な問題演習を行い、アウトプットによって知識を定着させます。なお、問題演習は、自分流の覚え方で凝り固まっているところを、出題者が別の視点で問うことで、考え方を深める効果もあります。

【まとめ】日本史の勉強法・学習法

日本史の勉強には、2つの柱があります。「授業の復習」「年表を軸とした自習」です。

授業を軸とした復習サイクルでは、まとめノートを自分の言葉で、他人に説明できるように作るのが最大のポイントです。受けた授業時間以上に時間をかけず、必ず問題演習(アウトプット)で締めることがポイントになります。

年表を軸とした学習スタイルでは、世紀ごとに、まずは主要な10個前後のできごとに絞り、流れを簡単に説明できるレベルで、限りなく暗唱に近い形で頭に叩き込みます。この硬い土台に、標準、応用の知識を積み重ねてゆきますが、一度に深いところまで押さえようとすると、誤った勉強法に逆戻りです。土地づくり、幹づくり、枝づくりのイメージが大切です。


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