2020年大学入試改革の内容(1)~センター試験廃止はいつ?なぜ廃止するのか~

      2015/09/17

2019年の大学入試センター試験廃止を機に大学入試、高校の授業内容が大きく変わります。その内容をわかりやすく説明します。

 

2020年大学入試改革の内容(1)~センター試験廃止はいつ?なぜ廃止するのか~

 

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センター試験はいつまで実施?

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2015年 … 現在

2019年 … 最後の「センター試験」かつ最初の「高校基礎学力テスト

2020年 … 最初の「大学入学希望者学力評価テスト

以上がスケジュールになります(文科省による)。当初は「達成度テスト」と名づけられていましたが、やはり大学入学者を選抜するテストは別にしたほうがわかりやすいということで、以下の2つのテストが実施されます。

・高校基礎学力テスト(仮称) … 高校生全員が受験するテスト

・大学入学希望者学力評価テスト(仮称) … 大学入学希望者が受験するテスト

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なぜセンター試験を廃止するの?

センター試験を廃止する理由は、わかりやすく言えば「たった一度の記号式テストで受験生の力量を測るわけにはいかない」という主張です。安倍首相も同様の主張をしています。「記号式」「たった一度」という多くの国民が納得しやすい言葉を使った説得方法です。

センター試験は「記号式」「たった一度」だからダメは本当なのか?

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※この囲みは教員や相当能力が高い受験生向けです。それ以外の方は飛ばしてください。

「たった一度の記号式テストで受験生の力量を測るわけにはいかない」多くの国民が反論しにくい言い方を巧妙に選んでいる気がします。そもそもセンター試験が実力や努力が反映されにくい酷なテストだ、と主張する人はセンター試験を解いて何点取れるのでしょうか?

私たちは例えばオリンピックを目指すサッカー選手の練習方法について「間違っている」と指摘することはありません。私たちはプロのキーパーに対してシュートを打っても1点も取れません。私たちはサッカーのプロではなく、専門的なことが分からないから意見を出さないのです。確かにセンター試験を批判する役人や評論家の中には東大出身者も多いと思います。しかし東大に入学したということは、ご自身がきちんと勉強をしてその結果を正当に判断されたからこそ東大に入学できたはずなのです。

また過去にセンター試験を解いたことがあっても、それを指導することや設問の分析をすることは別。それは専門家に任せるべきです。そして専門家の意見を聞くとセンター試験は極めて公平なテストであることが分かります。

その代表格が「英語」。毎年50万人もの学力が微妙に異なる集団が英語を受験しますが、平均点は常に6割前後。それだけでなく特定の受験生が何度過去問を解いても、アベレージ140点の生徒はほぼ毎回140点前後を記録します。また一発試験が批判されますが誰しも緊張するのは同じ。現役生は押しなべて普段より少し低めの点数を取ってくるものです。

このように記号式という限界を逆に数量化のしやすさデータ分析のしやすさにつなげ、努力、実力を1回の試験で極めて正確に反映する試験がセンター試験です。この試験は国際的にも誇るべきものです。仮に記述式が導入されるとして、採点基準を緩めれば採点者による運不運が。採点基準を厳しくすれば実質的には記号式同等のテストになってしまいます。いずれにしても数量化、データ化が難しく理科、地歴公民などで不平等が出るのは間違いありません。

高校生の学力低下、学習意欲低下、そして大学側のさまざまな不備の責任をすべてセンター試験に押し付け、その改革にいくら税金を使うのでしょうか?本質的に優秀な試験をぶち壊した結果、おそらく(少なくとも運用当初は)少し下回ったものができるはずです。非常に「残念」な施策というほかありません。

 

上の囲みにあるように、センター試験は受験生の実力や努力を反映しない試験ではありません。しかし今回の教育改革の最も分かりやすい「象徴」にされてしまった面があります。ただし内容的には記述式が盛り込まれ「思考力・判断力・表現力」を測るものになっていく予定です。

それはさておき、センター試験廃止は「高大接続改革」の一環に過ぎません。平成24年から中教審という会議で話し合われてきた内容で、こちらの本筋はしっかりした内容を伴っています。

具体的に以下のような改革が予定されています。

高校 … ①学習指導要領を改める。②「高校基礎学力テスト(仮称)」が実施される。

大学入試 … ①「大学入学希望者学力評価テスト」が実施される。②各大学の個別入試も「思考力・判断力・表現力」を測るものに改革。

大学 … 現在整備が進んでいるアドミッションポリシー(求める生徒像)のほか、①カリキュラムポリシー、②ディプロマポリシー(どのような学生を社会に送り出すか)を整備する。

 

センター試験が廃止になり「高校基礎学力テスト」や「大学入学希望者学力評価テスト」に変わることだけが注目されがちですが、上記のように高校、大学の大改革を伴うものだと捉えることが必要です。

なぜ教育改革(高大接続改革)が行われるの?

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なぜいまの時期に教育改革(高大接続改革)を行うのでしょうか?文科省担当官の説明によると「社会が激変するなか、大学、大学入試、高校が変わらなければ日本は生き残ることができない」ということになります。

文科省担当官の話を要約すると、今後の社会は以下のような特徴を持ちます。

①高度な知識・技術が基盤となる社会

すべての生産や社会活動において、高度な知識が前提になります。例えば「肉まん」ひとつ売るにしてもいつもと同じものを仕入れて店頭に並べる形から、顧客のタイプや季節、時間帯などがデータベース化され適切な仕入れと販売がなされるように変化しています。知識のほか高度な技術が前提の社会になります。

②変化の早い世界

アメリカで2011年に小学生になった児童のうち65%は現在存在しない職種に就くだろうと予想されています。またあらゆる仕事の機械化(オートメーション化)が進み、人が行う仕事は大きく変質すると予想されます(今後10~20年で約47%の仕事が機械化)。

③情報化

すでに周囲にモノがあふれ、人々の関心は新しいモノよりも、「モノを取り巻く情報」や「情報そのもの」に移っていきます。18世紀の人が一生に接した情報量はニューヨークタイムス1週間分に換算されます。それほど情報量が増加し重要になっているのです。

④グローバル化・多文化共生

スマートフォンひとつで海外の製品が自宅まで届くように、商取引の国際化がいっそう進みます。また日本に住む外国人が増加し、さまざまな文化背景を持つ人が同居する社会が近づいています。

⑤少子高齢・人口減少社会

人口が減っていくなか、限られた人口で高齢者の介護や幸福を実現していく必要に迫られます。

 

このような社会で必要となる能力は以下のとおりです。

 社会で今後の必要となる主な能力

 ・基盤となる知識 ・新たな知識を学ぶ力 ・主体性  ・責任感 ・協調性  ・語学力 ・コミュニケーション力 ・異文化理解 ・日本を理解すること

 

これまでの高校教育では昔からの知識を教えてきました。しかし今後は「基盤となる知識」と「新たな課題に直面した場合の学び方」という観点で再編成する必要があるのです。

 

まとめ なぜ教育改革(高大接続改革)が行われるのか

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社会の変化(情報を軸に急速に変化する国際グローバル社会)

高校や大学では基盤となる知識を厳選し、学び方や活用法を身につける必要性。

高校と大学をつなぐ入試では、思考力・判断力・表現力を問う。

知識偏重型のセンター試験を廃止し、「高校基礎学力テスト」「大学入学希望者学力評価テスト」を導入。

以上が流れの概観になります。

教育改革(高大接続改革)は成功するのか?

文科省の社会の変化の予測は正しいと思います。しかし基盤となる知識はどのように絞るのでしょうか?今回の改革では現代文が重視され古典が軽視される予兆を感じます。しかし誰が百人一首の学習がビジネスや表現においてヒントとならないと断言できるのでしょうか。

複雑化する社会を予見できる者は誰もいないなか、学習内容を絞ることは「痩せ細った日本人」を作ることにならないでしょうか。確かに受験勉強には弊害もありますが、それが「使えそうな知識」に縛られない「太い日本人」をつくってきたことは否めません。現在日本人のきめ細かさやこだわりは世界が一目置くところです。

そして学び方というのは、消化できないかもしれないと思えるほどの膨大な知識を何とかこなしていく中で身につく面があります。そして学び方はみな違います。まとめノートを作るのが得意な人もいれば、天性の記憶力を生かす人もいる、そして根性だけで学ぶ人もいます。「学び方」を統一した形で教えることができると考えている人がいるとすれば、子供たちの個性を理解していない面があるように思います。

 

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