経営難の私大112法人 大学名を読売新聞は公表?

   

読売新聞は、12月31日、私大・短大660法人のうち17%にあたる112法人が経営難にあると報じました。ネットでは「記事の続きへ」は、本紙購読の上有料登録が必要。記事の続きに112法人の大学名が公表されているようにも受け取れますが、どうなのでしょうか?

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【結論】経営難の私大112法人 大学名を読売新聞は公表?

読売新聞の大学112法人経営難報道。ネットでは「記事の続きへ」(有料・3243円)に112法人の大学名が公表されているのでしょうか?

読売新聞公式サイト

結論から言えば、660法人のうち、「21法人が2019年末までに破綻の可能性、91法人がそれ以降に破綻の可能性がある」という事実だけが公表されており、読売新聞本紙上にもあるように、法人名は開示されていませんでした。しかし、センター試験直前のこの時期の公表は、影響が絶大。当サイトでは、読売新聞の記事に基づき、具体的にどの大学・短大が経営難で、願書を出すべきではないのかを検討します。

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受験ネットから進呈

私大112法人が経営難 公表されたデータ

私大112法人が経営難と読売新聞が報じました。もとになる公表されたデータは、以下の通りです。

日本私立学校振興・共済事業団の調査による。事業団作成の指標により、過去3年間の財務データに基づく。公表されたのは、2016年度時点の経営状況。基準は①収入(授業料等)-支出(人件費)が、2年以上マイナス(赤字)、②資産額-負債額がマイナスとなる、③資金ショートが起きうる時期など。

  • 2019年度末(いまの高3生が大学2年生を終えたとき)に破綻する恐れがある大学短大が21法人(3.2%)。
  • 2020年度以降(いまの高3生が大学3年に上がったとき以降)に破綻する恐れがある大学短大が91法人(13・8%)。
  • 上記112法人ほどではないが、経営悪化の兆候が見られる大学短大が175法人(26.5%)。
  • 経営が正常な大学短大が373法人(56.5%)。

以上が公表された内容です。直後に控えた入試への影響から、大学短大名は伏せられましたが、日本私立学校振興・共済事業団は、「地方の中小規模大学」「都市部の小規模大学」が特に厳しい、という部分は明らかにしています。

私大112法人が経営難 大学名を探る

「地方の中小規模大学」「都市部の小規模大学」の経営が特に厳しいことが、今回改めてクローズアップされた形です。大規模大学、中規模大学、小規模大学の定義については、調査した範囲でははっきりしませんでしたが、旺文社が次のような定義を用いています。

  • 小規模大学 … 入学定員800人未満
  • 中規模大学 … 入学定員800人以上3000人未満
  • 大規模大学 … 入学定員3000人以上

すると、最も早ければ2019年、あるいは2020年以降に、経営破綻の可能性がある大学は、以下のように絞られます。

  • 都市部で入学定員800人未満の大学。
  • 地方で入学定員3000人未満の大学。

都市部で入学定員800人未満の大学には、例えば聖路加看護大学(入学定員100名)があります。しかし、聖路加看護大学は、看護系の大学では慶應義塾に次ぐ人気を誇っており、経営破綻の可能性は少ないでしょう。聖路加看護大学の偏差値は、55.0(河合塾)と決して低くなく、偏差値も1つの指標になりそうです。

入学定員と偏差値の調べ方

大まかな経営状態を推し量るのに必要な、入学定員と偏差値は、旺文社のパスナビというサイトで調べると便利です。例えばGoogle検索で、「聖路加看護大学 パスナビ」と調べると、次のようなデータが掲示されます。

出典:旺文社パスナビ公式サイト

聖路加看護大学は、経営破綻の可能性があるとされた、「都市部で入学定員800人未満の大学」に当てはまります。しかし、偏差値(=人気)が55.0と少子化の時代としては高く、看護業界での評価が極めて高いことから、経営破綻の可能性なしと推察できます。

念のため、パスナビの聖路加看護大学のデータで「入試結果(倍率)」を調べると、全入試合計で3~6倍もの志願倍率があります。このことからも、人気=経営の安定度が推し量れます。大学経営は授業料も重要ですが、聖路加看護大学では3.5万円の出願料(受験料)や20万円の入学金も大きな収入源です。

都市部で入学定員800人未満 偏差値ボーダーフリーなら倒産確実?

一方、東京都八王子市にある日本文化大は、偏差値がつかないほど低いBF(ボーダーフリー)と表示されます。入学者総数を見ると238人と中途半端。念のため「入試結果(倍率)」から入学者定員(募集人数)を調べると200人と分かります。

都市部で入学定員800人未満の大学に当てはまるだけでなく、参考となる偏差値も測定できないほど低い。詳しく調べなければ、経営破綻の可能性がある大学として、出願を避ける生徒もいるかもしれません。

出典:日本文化大公式サイト

しかし、日本文化大は、都市部とはいえ生徒に人気がない多摩地区にある単科大学。以前から人気が落ちる可能性は予見しており、すでに手は打っています。その結果として現在では、公務員である警察官に合格しやすい大学として、高校の教員のなかでは有名です。実際に過去3年間は、200人の入学者定員(募集人数)に対し、以下の人数の出願がありました(パスナビで分かります)。

  • 2017年 269名
  • 2016年 238名
  • 2015年 249名

現在、全国の大学の39.4%が定員割れを起こしています。そのなかでは、日本文化大はギリギリとはいえ定員を上回る出願者(受験者)を得ており、辞退を除いた新入生総数も200名を超えています。内部の財務データこそ分かりませんが、2017年には新校舎も立ち、客観的には経営破綻の兆候は少ないと、考えられます。

『危ない大学 消える大学』によれば

『危ない大学 消える大学』は、偏差値や定員充足率から、危ない大学・消える大学の候補校として以下を挙げているようです(この章はインターネットからの転載です。恐れ入りますが正規のデータは、必ず書籍をご覧ください)。

札幌国際大学・道都大学・青森大学・富士大学・ノースアジア大学 ・作新学院大学・関東学園大学・愛国学園大学・武蔵野学院大学 ・東京富士大学・松蔭大学・新潟産業大学・愛知文教大学・東海学院大学 ・名古屋経済大学・名古屋産業大学・甲子園大学・姫路獨協大学 ・奈良学園大学・岡山商科大学・広島国際学院大学・高松大学 ・日本経済大学

上に挙がった大学でも、例えば新潟産業大学は公立化に向け、努力を続けています。公立化に成功した場合、学費が安くなることから出願者は大幅に増えることが見込まれます。例えば2017年に公立化に成功した長野大学では、かつて1倍台も目立った志願倍率が、学部によっては7倍近くまで高騰しています。

上記は1つのデータに過ぎませんので、そのまま信じ込むことはせず、「【まとめ】私大112法人が経営難 チェックポイント」も参考にして頂き、データや評判をチェックしてみてください。大学の満足度は、その高校生がその大学を生かし、優良な企業や組織への就職を成功させることで決まります。上に挙がった大学にも、成功した学生は多くいます。多くの面から判断することが重要です。

【まとめ】私大112法人が経営難 チェックポイント

チェック1 パスナビの入試結果(倍率)で以下に当てはまっていたらチェック。

  • 都市部で入学定員800人未満の大学。
  • 地方で入学定員3000人未満の大学。

チェック2 偏差値、倍率、新入生総数の3項目もあわせてチェックし、入学者の学力は低すぎないか、定員割れを起こしていないかをチェック。

  • 偏差値が低い(入学者の学力が低い) … 就職状況が悪化し、将来的に社会的評価を下げる要因。
  • 定員割れ … 受験料、入学金、授業料収入の低迷を招き、すぐに経営に影響。

チェック3 高校生人気の土台となる要素をチェック

  • 都心部でも、東京23区と、多摩・近県には人気に格差。
  • 都市部の定義はあいまいだが、1都3県、愛知、近畿2府1県(=兵庫)が挙がることが多い。地方は全体的に苦しいが、四国・中国地方の定員充足率は特に低くなっている。
  • 就職につながる国家資格を付与する大学、短大は志願者数が安定し、経営しやすい。

※その他、付属中学高校の経営や特に都心部に資産(土地、建物)を持っているかも参考になります。

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【参考】専門学校の経営状況は?

もし受験する大学の経営に不安がある場合、専門学校と比べたいという方もいるかも知れません。専門学校は、大学短大に比べ国のバックアップは限られますが、学科やコースの変更や新設が容易で、社会の変化に対応しやすいという利点もあります。入試の状況(志願倍率)が公表されておらず、大学短大に比べ経営状況は推し量りにくいですが、次の要素をチェックしてい見てください。

安心できる専門学校の目安

①就職率が100%に近い分野を中心に運営している … 看護、介護福祉士、自動車整備士、保育士・幼稚園教諭など、就職率が100%に近い分野の専門学校は比較的安心できます。一定の高校生人気を維持しやすいからです。

②校舎の設備更新がひんぱんである … 就職率が100%に近い分野以外の学校は、専門学校間で経営力に差が出ます。入試の状況(志願倍率、例年の入学締め切り時期)が非公表のため実態はつかみにくいですが、人気がある専門学校は校舎の設備更新がひんぱんであることが多いです。極端な例は、新宿の一等地にコクーンタワーを建設したHAL東京のようなケースですが、派手でなくても校舎のエントランスや教室が適度に新しく清潔で、機材が更新されている学校(日本電子専門学校、日本工学院専門学校)は、経営状態が良いと推察できます。

※一方、東京電子専門学校のように、施設自体は古さが目立つ学校であっても、診療放射線など就職率が高い分野を併設している学校は、人気が高く経営に心配がないことが多いでしょう。①②を総合的に判断してゆきます。
※看護、介護福祉士、保育士・幼稚園教諭関係の伝統校は、校舎・設備を派手にしないことが多いですが、伝統校なら経営に心配はありません。

③在籍(卒業)高校の進路指導室に尋ねる

都市部の高校では、専門学校の経営状況を把握していることがあります。高校の進路室を訪ね、担当の先生に尋ねてみることも有効です。


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