【これが実態】学習塾の正社員はきつい 向いている人は?|ステップで労災認定

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学習塾で連続48連勤を課された塾講師が、労災認定を受けました(2018年)。塾名は「ステップ(STEP)」(藤沢市)です。このページでは、元予備校講師が、学習塾の正社員のきつさや、向いている人をお話しします。

48連勤で労災認定を受けた「ステップ」の塾講師

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塾講師(41歳)が、48連勤!を含む過重労働で精神疾患となり、小田原労働基準監督署が労災認定しました(2018年)。

塾名は、佐賀新聞、朝日新聞によると藤沢市のステップ(STEP)で、小田原市の教室の講師でした。

弁護士らによると、男性は神奈川県内に学習塾約140教室を展開する「ステップ」(同県藤沢市)に勤め、小中学生への指導や生徒の募集などを担当。

朝日新聞デジタル

しかし、これは1つの塾、1つの教室だけの問題ではありません。

学習塾の正社員はきつい?

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学習塾は、一般には13時頃に開き、遅くとも23時頃に閉じることが多くなります。計算上は10時間労働であり、一般的なサラリーマンと変わりません。

しかし、48連勤で精神疾患となった先生は、教室長でした。

教室長の場合、塾によって異なりますが、早ければ午前9時頃に出勤します。この場合、労働時間は最大で14時間となり、通常の民間企業に比べても、かなりの長時間労働となります。

また、教室長でなくても、教務サイドで何らかの役職がついている場合、同様の勤務形態も一定数あると思われます。

塾講師は、授業内容など任される部分(裁量権)が強く、子どもの反応や成長という成果を感じやすいため、通常の民間企業の内勤よりは、ストレスが少なく働きやすい部分もあります。しかし、逆に長時間労働は自覚されにくく、問題が表面化しにくいという特徴があります。

教室長の勤務はとくに激務

教室長は、上述のように、若手の先生よりは勤務時間が長い傾向にあります。1教室あたりの社員(専任講師)数は少ないため、20代で教室長に就く人も多く、40代、50代の問題という訳ではありません。

また、問題なのは、教室長は若手講師と同等の授業コマ数を担当する場合も多いことです。優良企業では、管理職は、仕事量を減らしマネージメントに専念することができますが、塾業界は競争が激しく、そのような勤務形態は望みにくいのが実情です。

教室長は、自分の持つ授業コマ数は、任されていることが多いです。しかし、自分が授業から抜ければ、即座に非常勤講師の人件費分、教室の収益が減るため、どうしても多くの授業コマを持つ傾向があります。

やりがい搾取が起きやすいのが学習塾

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意識が高い社員が多い企業では、業務命令がなくても、残業や休日出勤が当たり前になります。これは、社員が自ら、仕事の完成度を求めるため、率先して残業や休日出勤を行ってしまうということが背景にあります。

この状況を「やりがい搾取」と呼びますが、塾業界は、①そもそもやりがいが大きい仕事である、②真面目な人材が集まっている、という2点から、かなりの長時間労働や自宅作業が、当たり前になっています。

労災認定を受けたステップ(STEP)の講師も、「生徒のための塾としては、神奈川で1番だと今でも思っている」と述べ、長時間労働が自らの意思や責任感から行われた可能性も感じます。このような素晴らしい塾が長く続くためにも、最低でも完全週休2日制の確保は必要です。

学習塾の正社員に向いている人は?

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学習塾の正社員には、どのような人が向いているのでしょうか?

「学力が高い」「教えることが好き」「子どもが好き」 この辺りは、想像通りです。

このほかには、「裁量権が高い仕事が好き」というのも適性の1つです。塾では、授業に上司と2名で取り組んだり、上司が監視したりすることはありません。授業時間以外の準備、生徒対応、保護者対応も、1名で行うことが多いです。民間企業のように、上司同行というケースは少なく、裁量権が高い仕事を望む方に向きます。

もう1つ、見逃せないのは「体力がある(疲れにくい)」ことです。生徒対応は、大人の顧客対応に比べれば楽といえ、特別にストレスがかかる訳ではありません。しかし、小中学校の担当となると、体力を使う部分もあります。また、何より、長時間労働は確実に体力を奪います。大学時代や、ほかの業種で、人より疲れやすいと感じている方は、塾の正社員にはやや向かない部分があります。

学習塾の正社員に向いている人は?

  • 学力が高い
  • 教えることが好き
  • 子どもが好き
  • 裁量権が高い仕事が好き
  • 体力がある(疲れにくい) ←←← 非常に重要!

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