カウンセリング理論の土台となるロジャース(来談者中心療法)とフロイト|キャリコン基礎理論対策#03


カウンセリング理論の原則(始祖・人間観)を分かりやすくお伝えします。ロジャースの来談者中心療法の2つの柱は、キャリコンの実技試験の中核をなし、キャリコンの仕事全体を貫くものです。フロイトの精神分析も扱います。

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マクレガーやマズローの影響を受けたロジャースの、人間性を信頼する人間観に立脚した、〇〇〇〇〇療法は今日のキャリアコンサルティングの全流派のベースとなっています。

ロジャース、フロイトがおこしたカウンセリング理論は、感情的アプローチと呼ばれ、基礎になりました。その後の研究・発展を統合した体系を包括的アプローチ(=〇〇〇〇カウンセリング)と呼びます。

  • ロジャースの来談者中心療法の核心は、問題解決の方法はクライエントが一番良く知っている。自身の心に真に触れる機会を作り、◯◯◯◯を促せば良いというものです。
  • 来談者中心療法の3つの柱は、無条件の肯定的関心、カウンセラーの自己一致、もう1つは何でしたか?(漢字5文字)
  • 多くの悩みは、周囲の期待・要求と〇〇〇〇の隔たりが関わります。

👉来談者中心療法、マイクロカウンセリング、自己理解、共感的理解、自己概念

カウンセリングとは?

カウンセリングは、コンサルティングと、どのように異なるのでしょうか?

  • カウンセリング … キャリコンとクライエント(来談者)の相互作用を通じ、クライエントの内面から、自発的な◯◯や社会適応を促すもの。
  • コンサルティング … 情報提供や診断を中心とする。

内面、自発的、成長がキーワードです。例えば、サイコセラピー(心理療法)は、クライアントの欠陥を探して治しますが、キャリコンは成長の可能性を探して活用を図るモデルです。

👉成長

カウンセリング理論の始祖は、ロジャースとフロイト

各種のキャリアカウンセリング理論は、カウンセリング理論がその土台にあります。カウンセリングの理論は、ロジャースとフロイトの影響を強く受けています。

ロジャース来談者中心主義
フロイト精神分析的カウンセリング

ロジャースにつながる人間観

ロジャースの人間観を形づくった人物を紹介します。ロジャースの顔のイメージが分かる本を2冊挙げておきます。

マグレガー

米経営心理学者、マグレガーは、X理論(自己中心的な、怠け者)、Y理論(働き者)を提唱しています。X理論では、強制・命令・指示が不可欠となりますが、カウンセリングは、性善説的なY理論を採用しています。

マズロー

若い世代に広がった、承認欲求という言葉(欲求5段階説)でも有名なマズローは、マグレガーの師匠です。人間性心理学(ヒューマニスティックサイコロジー)と呼ばれ、人間は、成長と自己実現の動機づけを持つという人間観を特徴とします。 キャリコンとしては、欲求5段階説よりもまず、成長と自己実現がキーワードになります。

例えば、寝返りを打ちたがる赤ちゃんを、大人の手でひっくり返すのは簡単です。マズローの考え方は、赤ちゃんの右肩(ないしは左肩)を、ほんの少し支えてあげるようなものです。小さな赤ちゃんと言えど、視界が変わったときに、自己肯定感が得られ、その後の自律的な成長につながるはずです。

マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説は、カウンセリングで用いられることがあります。低次の段階から順に並べました。

マズローの欲求5段階説
自己超越欲求|利他的な欲求
自己実現欲求
−−−−− ここから下は欠乏欲求 −−−−−
承認の欲求|家族、友達、会社、コミュニティで認められたい。
愛と所属の欲求|家族、友達、恋人、会社、コミュニティ。
安全の欲求|より安全なものを食べたい、より安全な場所で寝たい。
生理的欲求|食欲、睡眠など。

私見ですが、現代の10代、20代には、愛と所属の欲求、承認の欲求の段階につまづきがある人が多く見られるようです。SNSのブームは、いいね!という承認を集めたい心理を突いた仕組みですし、SNSのなかには、コミュニティが多く作られています。

(関連)ハーズバーグは、職場での満足や不満の要因として、2つを挙げています。

  • 動機づけ要因 … 達成、承認、仕事そのもの、責任、成長(昇進)
  • 衛生要因 … 給与、労働条件(作業環境など)、人間関係、会社の政策と管理、監督

衛生要因の改善は、不満を減らしますが、職務満足にはつながらないとします。

ロジャーズの人間観

マズローの人間性心理学は、ロジャースの人間性を信頼する人間観につながり、来談者中心療法として確立しました。

  • 来談者中心療法 … より成長しようとする力を発揮するための援助。
  • カウンセラーとクライエントは同等 … 非指示的な療法。

問題行動の多い子を持つ母親が、たまたまカウンセリングを受けた事例があります。肯定的な傾聴を受けるなか、母親は、自らの態度に要因があったと気づいた事例があります。このように、問題解決のカギは来談者が持つと考えるのが、来談者中心療法です。

(参考)カウンセリングは、どのような人間観に立って行うのかが非常に重要です。人間観は、キャリアコンサルタントによって異なっても良いものですが、マズローからロジャーズに至る思想の流れ(=人間性への信頼)は、押さえておくべきものです。

カウンセリングのいくつかのアプローチ

カウンセリングには、4種類のアプローチがあります。

  • 感情的アプローチ …  感情重視 (ロジャース、フロイト)
  • 認知的アプローチ …  固定観念(イラショナルビリーフ)と認知を重視
  • 行動的アプローチ …  行動を変えてゆくアプローチ
  • 包括的アプローチ …  各種を折衷する体系で、キャリコンの実際の道具。
感情的アプローチ相談者の感情を豊かにすることが第1だとする考え方で、ロジャース(来談者中心療法)が始祖。ほか3つのアプローチも了承する、キャリコンの根幹にあたる。フロイトもここに分類。
認知的アプローチ固定観念(イラショナルビリーフ)の介在に注目したアプローチで、エリスの論理療法が代表的。うつ病に効果が大きく、現在大きな役割を持つ、認知行動療法の土台。うつ病でなくても、応用は可能。
行動的アプローチウオルビの系統的脱感作(例:上がり症の人に、人前にいる場面を思い出させ、リラックスさせる。順を追ってよりハードな場面を想起させる)が代表的。現在大きな役割を持つ、認知行動療法の土台。
包括的アプローチマイクロカウンセリング(かかわり行動・かかわり技法を重視し、クライエントに合わせ、さまざまな手法を利用)が代表的。現在のキャリアコンサルティングでもっぱら用いる代表的手法。

キャリコンの基礎理論を終えると、応用実習(経験者等を除き、通学)に移り、実際のカウンセリングの練習を積んでゆきます。そこでは、もっぱらマイクロカウンセリングという言葉が毎回出てきます。マイクロカウンセリングは、キャリアコンサルタントの方法論の柱となるものです。

(覚え方)感情的アプローチ+認知行動療法の源流=マイクロカウンセリング

ロジャースの来談者中心療法

人間は、誰もが自己成長力を内に秘めており、問題解決の方法は当人が一番知っている。そのため、自分の心に真に触れる機会があれば良い、というのが、ロジャーズの来談者中心療法の考え方です。

(追記)キャリアコンサルティングの練習を積むなかで、自問自答の促しに慣れてゆくと、「ああそう言えばそうだ」というひとり言を耳にする機会が増えてきました。これは、クライエント役の方が、自分の心に真に触れ、自身で解決策を見つけつつあるということです。

現在のカウンセリングは、どの流派も傾聴しクライエントの自問自答を促すことで一致が見られます。患者という言い方を、クライエント(依頼者)に変えたのもロジャースです。

ロジャーズは、北アイルランド紛争に、カウンセリング手法を持ち込み、ノーベル平和賞候補だったという説もあります。

ロジャースの来談者中心療法の基本的態度

ロジャースの来談者中心療法は、キャリアコンサルタントの面接試験で、実際にその理解と実践が問われる、重要な部分です。

  • 無条件の肯定的関心
  • 共感的理解
  • カウンセラーの自己一致
無条件の肯定的関心受容的態度。レッテルを貼らないこと。
共感的理解クライエントの内的世界を、クライエントの内的準拠枠で見て(自分のメガネを外して、クライエントのメガネをかける)、理解したことを伝えること。
ただし、共感であって、自分の経験に重ね合わせる同感(必要以上にしんみりしたり、自分も経験がある!前ののめりになり過ぎたり)ではない。
カウンセラーの自己一致カウンセラーが、精神的に安定していることが重要。

同感が望ましくないのは、クラエイエントの経験は、自分の経験と全く同じではないことによる。

(正誤問題)来談者中心療法では、個人の行動を理解するには、その個人の「内的準拠枠(internal frame of reference)」が重要であると考える。

(ヒント)来談者中心療法では、カウンセラーが内的準拠枠を外すことだけでなく、そのうえで、クライエントの内的準拠枠を探ることも重要です。答え:正しい。

無条件の肯定的関心

アラフォーの会社員です。
主は手取り14万円です…
都内のメーカー勤続12年で役職も付いていますが、
この給料です…
何も贅沢出来ない生活
日本終わってますよね?

2019年の10月、ネット上の発言が話題になりました。堀江貴文氏が、日本がおわってんじゃなくて「お前」がおわってんだよwwwと発言しましたが、キャリコンの姿勢と正反対のものです。

厳しい条件で仕事を続けられてきたことに敬意を払い、あえて辞めない理由を尋ねるのが、無条件の肯定的関心(受容的態度)です。

共感的理解

それぞれの人は、ものごとを見る基準を持っています。これを、内的準拠枠(理解の及ぶ幅と深さ) と呼びます。相手の内的準拠枠に沿って物事を見るようにします。

×CL(クライエント):いま大学生は売り手市場ですから、準備しなくても大丈夫だと思っています。
CC(キャリコン):甘く見ていませんか? 選ばなければ就職先があるということに過ぎませんよ。
CL (クライエント): いま大学生は売り手市場ですから、準備しなくても大丈夫だと思っています。
CC(キャリコン): 確かに就職率は高くなっているので、余裕を持って、選ぶ気持ちで臨まれるのは良いことですね。

自己概念が、悩み解決のカギ

自己概念
(承認欲求)
期待や要求
(承認の条件)

あるクライエント(飲食店経営者)は、誠心誠意良い料理を作れば、お金はあとから付いてくると思い、丁寧な料理に精を出していますが、家族は経営の心配をし、関係が悪化しています。

このような場合、受容的態度(無条件の肯定的関心)や共感的理解を示し、クライエント自身の言葉で語ってもらうなかで、クライエントが、周囲の期待と自己概念の隔たりを発見できるように援助します。

CL(クライエント):たしかに、お金が無くなればお店は続けられない。すると、質の悪い食べ物を出すチェーン店しか選択肢がなくなる。そうならないために、質の良いサイドメニューを考案し、売り上げを増やしたい。

自己概念と一致しない経験と出会ったクライエントは、新しい経験を受け入れることで、成長が促されることがあります。


フロイトの精神分析的カウンセリング

ロジャースの理論と異なり、フロイトの理論は、キャリコンの面接試験でメインフレームとして使うことはありませんが、学科試験で問われたり、コンサルティングの展開次第で利用できることがあります。目的は、クライアントのパーソナリティに変容をもたらすことです。

フロイトは、無意識の存在を提唱し、心の構造の見える化を行いました。下の4つが主要概念です。キャリアカウンセリングの場面では、防衛機能の体系は、とくに利用しやすいものです。

  • 局所論(心のモデル)
  • 構造論(外界を含む心のモデル)
  • 防衛機能
  • 心理的発達論( 性的エネルギーを重視)

局所論(心そのものの構造)

意識>>>前意識(夢など)>>>無意識

人は、意識に置いておけないものを無意識に押し込むことがあります。カウチソファを使った自由連想法や、夢の分析によって、深部にアプローチが可能です。

構造論(外界を含む構造)

外界|超自我  ⇔ 〈 自我 ⇔ エス(本能)〉

自我と、無意識下にあるエス(本能)が葛藤するとき、超自我がバランスを取り、外界と調整を図ります。

  • エス … 快楽原則で動く。
  • 自我 … 現実原則で動く。
  • 超自我 … 道徳原則で動く。

防衛機制

意識への受け入れ困難なことを、自我が受け入れ可能な形で処理する、無意識のはたらきです。クライエントが気づかないまま、防衛機制が働いていることがあります。他者による無条件の肯定的関心(信頼と受け入れ)が、自己受容を促し、防衛機制の解除に至ることがあります。

(例)自分と馬が合わない上司により、不当に低い査定を受けた。

抑圧ショックから、査定の内容そのものを思い出せなくなっている(こころの奥底の無意識には存在している)。
否認 査定の存在を無視し、見て見ぬふりをしている。
反動形成周囲に、厳しくてすばらしい上司だと話して回る。(受け入れがたい感情や欲求を抑圧し、正反対の態度を取ること)
重要 置き換え恋人や家族にやつ当たりする。
重要 合理化低レベルの人間に低い評価をされても仕方ないと考える(もっともらしい説明)。
同一化(他人のまねをする)
補償副業で成果を出し、自分を納得させる。
知性化本(外部に評価軸を置くなといった内容)を読んで、思考により納得する。
ユーモアそんなことは何でもないよと自分を励ます。
昇華上司に評価されなかった考え方を、外部に発表して新しい流れを作る。
転移、逆転移転移は、クライエントにとって重要な誰かに抱いてきた感情を、カウンセラーに向け変えることをいう。逆転移は、カウンセラーがクライエントに向けること。

(正誤問題)「反動形成」という防衛機制は、ある分野での劣等感による緊張を解消するために、ほかの分野で優越感を求めることである。

ヒント:保障の説明。反動形成は、正反対の態度を取ること。答え:誤り。

心理性的発達論

口唇期→肛門期(排泄)→男根期(身体や同性への愛着)→潜在期→性器期

性的エネルギー(リビドー)を重視した発達論です。

フロイトの精神分析療法

  • 自由連想法   カウチに横たわり、思い浮かぶ言葉を発してもらう。
  • 夢の分析
  • 介入と解釈
  • 抵抗の分析
  • 転移の分析と逆転移

フロイトの分派

  • アドラー  … 性→主体性(労働者階級の診断が多かった)
  • ユング  … 集合的無意識(人類に共通)
  • ブリル  … 職業選択と昇華
  • ボーディン

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