「Q 400字の小論文の例文や段落構成の仕方を教えてください」の質問に、高校で小論文を教えている講師(予備校講師経験者)が、例文や構成、書き出し、テンプレートをわかりやすく解説をします。
Q 400字の小論文の例文や段落構成の仕方を教えてください
A はい。3段落構成がおすすめです。第1段落には「課題(テーマ)と結論」を書きます。もし、あなたの夢について書きなさいという設問なら、「私の夢は、看護師になることだ。」のように書きます。2段落目には、詳しい内容を書きます(賛否を論じている場合は、根拠を書きます)。4段落目は結論の再確認です。
400字の小論文では「夢」「将来像」「友人」といった、作文に分類されるテーマも多く出題されます。作文では「です・ます調」を使うことが多いのですが、小論文として出題された場合は「だ・である調」(丁寧な文末とせず、言い切る形)で構いません。
小論文構成の基本は、要点→くわしく→要点!
文章は、小論文や志望理由書、作文など基本はすべて同じ。ジャンルを問わず、要点→くわしく→要点の順です。要点とは、テーマ(課題)と結論、または結論のみを指します。
400字の小論文なら、要点→くわしく→要点の3段落構成!
400字の小論文なら、要点→くわしく→要点の3段落がおすすめです。初めの要点には、課題(テーマ)と結論を書きます。
なお、通常段落数は、字数制限の百の位を2で割ると算出できます。400字であれば、4÷2=2段落構成が、読みやすく、改行時の空白など無駄のない構成であり、「志望理由」「自己PR」などは2段落構成がおすすめです。一方小論文では、可能な限り、最初と最後に結論を示すという考え方があり、3段落構成で構いません。
また、全体の字数は、高校の課題なら80%以上、入試なら90%以上が目安となります。ただし、進学校や論文模試では、90%以上を目指してください。
課題(テーマ)を確認し結論
(例)私の夢は、看護師になることだ。
テーマは、「~は、」のように主語の形で示すことができます。
(例)校則は必要なのだろうか。私は、必要最低限のものを除き、不要だと考える。
主語の形にならない場合は、疑問形(~だろうか)を使うと便利です。
例文/例題1 あなたの夢について書きなさい
【設問】あなたの夢について書きなさい。
第1段落には、課題(テーマ)と結論を書きます。
私の夢は、看護師になることだ。
↓短すぎると感じた場合、1文だけ(なるべく大雑把な)説明を足してください。2文以上足すと、次の「くわしく」の段落との区別があいまいになり、読みづらい小論文となってしまいます。
私の夢は、看護師になることだ【結論】。将来は生まれ育った地域で看護師になり、地元に恩返しをしたい。
今回の課題(あなたの夢)は、賛否を求めている訳ではないので、くわしくの段落には、くわしい説明を書いてゆきます。「夢」「将来」というテーマの場合、きっかけ・具体的な将来像を書いてゆきます。
私の母は、地元の病院で看護師と助産師の仕事をしている。詳しい話を聞くことは余りないが、何度か母が務める病院を訪ねたときに、困っている人の役に立つのは、良いものだと感じたことを覚えている。母は、私に看護師になるように勧めたことはないが、母の生き方を見ていると、いつか私も看護師を目指すようになっていた【くわしい説明】。私は、小学生の頃、数カ月程度だったが不登校を経験したことがある。そのとき、近所の商店の人や、隣に住む人からよく声をかけられ、行きたくなったらいけばいいのというような励ましを受けた思い出がある。この経験もあり、看護師を務めるなら地元で、地域に恩返しができればと考えている【くわしい説明】。
以上が私の夢である【結論】。これを実現するために、残りの高校生活を精一杯頑張りたい。(374字)
最後の要点の段落は、「以上から」「このように見てくると」などの出だしが合います。
Q 字数が埋まらない場合は、どうしたらいいでしょうか?
A はい。まずは1文書いてみて、そのなかの言葉をくわしく説明します。例えば「私の母は、地元の病院で看護師と助産師の仕事をしている。」と書けた場合、「地元の病院」「助産師の仕事」など、ある言葉に注目して、くわしい説明をします。
例 私の母は、地元の病院で看護師と助産師の仕事をしている。この病院は、地元ではとても大きな病院で、急患や入院患者も扱っている。
例 私の母は、地元の病院で看護師と助産師の仕事をしている。助産師とは、お産を助けるだけでなく、出産前後に母子のケアを行う、とても重要な仕事だ。
説明すべき点が終わったと感じた場合、結論や小論文全体の流れ、字数制限などを考えつつ、次の話に移ります。結局のところ、文章を書くのが速い人は、先に全体の流れを作っていると言えます。
例 私の母は、地元の病院で看護師と助産師の仕事をしている。この病院は、地元ではとても大きな病院で、急患や入院患者も扱っている。詳しい話を聞くことは余りないが、何度か母が務める病院を訪ねたときに、困っている人の役に立つのは、良いものだと感じたことを覚えている。
例文/例題2 校則の必要性について、自由に論じなさい
400字の小論文は「夢」「目標」「将来像」「働くとは」といった作文タイプが多いのですが、なかには賛否を求める本格的なテーマが設定されることもあります。その場合、まずテーマを確認し、結論(賛成か反対)を書いてください。
【設問】校則の必要性について、自由に論じなさい
校則は必要なのだろうか【テーマ】。私は、必要最低限のものを除き、不要だと考える【結論】。
第2段落目には、結論の根拠(理由)を書きます。根拠にはいくつかパーンがあり、体験談、具体例、理由、引用(専門家の意見やデータ)に分類されます。なお、つい「なぜなら~」から書き始めてしまう方が多いですが、体験談や具体例から始めた方が、途中でペンが止まりにくいです。
中学校では、部活動全員参加という校則があった【具体例】。全員が毎日練習がある運動部を強制された訳ではないが、地域の活動やボランティアなどに参加したかった生徒もいたはずだ。多様性という観点からは、授業以外の活動は自由に選べる方が良く、必要性を感じない校則だった。高校でもパーマを禁止の校則がある【具体例】が、天然パーマの友人がわざわざ証明書を提出していたのを見ると、一部の人に負担をかけている可能性があり、多様性に反すると考えた。制服着用も含め、校則の多くは、多様性の原則に反するものではないか【理由】。
以上から、現在の世の中では、多様性の尊重という人権が重視されるようになっており、細かな校則は時代に合わなくなりつつあると考える【結論】。地震や火災時の避難に関する内容や、いじめなどを戒めるような学校生活の安全を確保するものを除き、原則として校則は不要だと考える。(399字)
このように、具体例または体験談を出して、それを理由としてまとめてゆくと、文章が苦手でも速く書けます。慣れてきたら、理由を複数挙げたり、専門家の意見やデータの引用なども盛り込むと、入試や進学後でも通用します。
Q 校則には必要なものも不要なものもあり、一概には言えない、という「中立的な結論」を書いて良いでしょうか?
A はい。現実の社会は複雑であり、議論をする場合にも、中立の立場、多様な側面を見る視点は重要です。しかし、小論文は、その議論の材料となるものであり、1つ1つの意見ははっきりしていた方が扱いやすいです。そのため、小論文では、あいまいな結論は許されておらず、模試や入試なら、想像以上の減点となります。
- 〇 私は校則に反対である。
- 〇 私は校則に賛成である。
- ✖ 校則には様々な側面があり、一概に賛否は決められない。
- 〇 生命や安全にかかわる最低限のものを除き、私は校則に反対である。
最後の例のように、例外を設定することは全く問題ありません。テーマによっては、このような結論追方が妥当である場合もあります。
以上を読んで分からない点があれば、冒頭の吹き出しマークをクリックすると、質問ができます。
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