山梨県立大学では、推薦入試、一般入試とも小論文が課されます。この記事では山梨大学の小論文の、傾向と対策を分かりやすくご説明します。
筆者:元予備校講師(国語科)。独立に成功し、現在は年80回高校で文章指導等の講義。
山梨県立大学で小論文を課す入試
山梨県立大学で小論文を課す入試は以下のようになります。
- AO入試 … 出題なし
- 推薦入試 … 全学部で小論文を課す。
- 一般入試 … 看護学部で小論文を課す。
※データは、過去の入試のもので、記載漏れの可能性もありますので、受験時には必ずご確認ください。
各学部(国際政策学部、人間福祉学部、看護学部)で、評定基準が3.8~4.0に設定されていますので、高校の成績が優秀な方は、推薦入試→一般入試と両方を受験してゆくはずです。センター試験対策などもありますので、時間をかけ過ぎず小論文対策をしてゆく必要があります。
小論文の書き方:【予備校直伝】これが小論文の書き方!~落ちない7つのコツ~
山梨県立大学の小論文出題傾向(過去問)と対策
推薦入試 … 全学部で小論文を課す
看護学部 平成28年度(特別選抜)の出題
- 設問要旨:書籍『科学的とはどういう意味か』の一部を読み、考えたことを述べなさい(800字以内)。
- 課題文要旨:科学を避けないようにするだけで、科学に近づくことができる。人間は一度否定的な姿勢を持つとそう思い込んでしまう。また、物事を単純に割り切りたい心理もある。例えば自分は文系だと割り切ることで、科学は埒外(らちがい)の存在となる。
小論文出題の分析:看護は、医学の一部を担うものであり、医学は科学に属します。日々発達し複雑になってゆく医学に対し、看護師も興味を持ち続けてほしいという問題意識がありそうです。実際に小論文を書く場合は、そこまで読み取らなくとも、自分自身の体験などを踏まえ、科学や医学に対し積極的に取り組むことの重要性を記述すればよいでしょう。小論文ですが、受験生の人間性を読み取るという、作文的な要素が含まれます。
対策:課題文がありながら要約問題を付さない出題が見られます。オープンキャンパスで指示がない限り、字数制限の4分の1~3分の1程度は、要約を書いておくのが無難です。課題文はそれほど読み取りが難しわけではありません。その分、漏れがないように丁寧に読み取ります。論述に関しては小論文ですが、作文的な要素を含みます。大学側では、チーム医療や患者とのコミュニケーションといった看護師として基礎となる項目よりも一歩踏み込み、観察眼、科学や社会への関心などを伴う受験生を望んでいるように見えます。ニュース週刊誌AERAを毎週読み、社会・文化・科学に対する、広い知識を得ておくと良いでしょう。
人間福祉学部 平成29年度(特別選抜)の出題
- 設問要旨:「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(宮沢賢治)という言葉について考えを述べる(800字以内)。
小論文出題の分析:課題文が非常に短く、実質的にはテーマ型の小論文の出題が続きます。課題文の読解力が問われないため、受験生としては取り組みやすい出題です。その分、論述内容だけで評価が決まりますので、とくに段落構成・論旨の流れでミスがないように心がけます。テーマは、弱者・福祉などがキーワードとなります。
- その他の学科について:国際政策学部も人間福祉学部同様、長い課題文が付されないテーマ型です。学部の内容に沿ったテーマです。オリンピック、日本文化の海外への紹介のように予備知識をさほど問われない出題もありますが、グローバリズムのように、事前学習の差が問われる出題もあります。社会科学系の小論文参考書の特に国際分野をよく読み、ニュース週刊誌AERAを毎週読み、国際分野の記事をチェックしておきましょう。
(注)一般入試(看護学部)に関しては、文学寄りの課題文を読ませ、作文的要素(受験生の人間性を知る)を含んだ小論文の出題が目立ちます。一方で、社会的なことがらに関するグラフや統計の考察が出題されることもあります。
コメント