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小論文 要約の書き方 3つのコツですぐに書ける!

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小論文につく課題文の要約問題。要約問題は、点差がつきやすく合否を大きく左右します! しかし、要約の手順は決して難しいものでなく、具体例探し→主張と理由探し→合体作業の3つの手順で確実にマスターできます! 小論文の要約の全てをわかりやすくまとめました。

  • 管理者(加藤)は、早大法学部卒。高校生のキャリア支援企業を経て、予備校国語科講師(歴7年)。現在、高校主催の生徒・保護者向け講演会に年80回出講(歴5年)。

具体例を消せはウソ! まず具体例から入れ

塾や学校で、文章を読むときや要約するときは、具体例を消せ!と言われた経験はないでしょうか? しかし、入試での失敗につながる危険性が高く、予備校の国語科講師は、まず推奨しません。

具体例から入る要約とは?

大学受験でよく出題される、身体論の短い文章を読んでみましょう。

人間はまず肉体のレベルで存在していて、そこに言語が上書きされることで「人間」となる。

偶然見つけた新聞の記事にこんなことが書いてあった。石橋幸緒という十九歳の女流棋士(※将棋を指す人のこと)は先天性の腸閉塞で生後九ヵ月で手術したが、医者からは元気に育つのは難しいと言われた。
「栄養補給はすべて点滴で、口から取るのは薬だけ。苦い粉薬さえ〝食べられる〟のがうれしくて、すぐに飲み込むのがもったいなくて、水も飲まずに、『おいしい』と口の中でもぐもぐ味わっていたのを覚えています」

保坂和志『世界のはじまりの存在論』中略あり

これを具体例を消して、読むとします。

人間はまず肉体のレベルで存在していて、そこに言語が上書きされることで「人間」となる。

偶然見つけた新聞の記事にこんなことが書いてあった。石橋幸緒という十九歳の女流棋士は先天性の腸閉塞で生後九ヵ月で手術したが、医者からは元気に育つのは難しいと言われた。
 「栄養補給はすべて点滴で、口から取るのは薬だけ。苦い粉薬さえ〝食べられる〟のがうれしくて、すぐに飲み込むのがもったいなくて、水も飲まずに、『おいしい』と口の中でもぐもぐ味わっていたのを覚えています」

一部の講師は、上のように具体例を消すように教えていますが、それは正しくありません。なぜでしょうか?

具体例を消して、「人間はまず肉体のレベルで存在していて、そこに言語が上書きされることで人間となる」と回答用紙に書いたとしても、分かったふりをしてるだけで、採点官に見抜かれてしまうからですか?

その通りです! 具体例を消して文章を読む方法で作成した要約は、採点者から見て、文章の内容を本当には理解していないとみなされてしまいます。


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要約の正しい方法は逆! 先に具体例を読む

具体例を消すのは、高校受験のみに通用する方法論です。大学受験や就職試験レベルの小論文の課題文は、具体例から検討しなければ、理解が不可能なレベルのものが基本です。

具体例を丁寧に読む

19歳の女流棋士は、幼い頃、腸の重病で入院していた。唯一口にできる苦くてまずい粉薬を、もぐもぐしながらおいしいと味わっていた記憶がある。

どういうことでしょうか? これは、どんな境遇であっても、生きてさえいれば、人は幸福を感じるものだということです。苦くてまずいものを「おいしい」と言ってしまったように、生きる喜びが、言葉の正しい意味を超えてしまうことがあるということです。

対応する結論を自分の言葉で説明する

この例をふまえて、結論の部分を自分の言葉で説明してみましょう。自分の言葉で説明するとは、自分が友達との会話で自信をもって使いこなせる言葉で、中学生にも分かるように説明することです。

人間はまず肉体のレベルで存在していて、そこに言語が上書きされることで「人間」となる。

  • (要約例)人間は、生きることだけで満足を感じ、言葉を使うことは、人間に必要な条件ではあるが、その次の問題である。
  • (要約例)人間の存在意義は、生命の存続にある。言語は人間を特徴づけるが、あくまで副次的なものである。

このように要約文が書ければ、点数はかなり上がります。

先に具体例を読むのが正しい要約の方法

先に具体例をよく読み、頭のなかでイメージを固めたあと、抽象的な意見(結論)の文を自分の言葉で言い換える。これが要約のほんとうの姿です!

  • × 具体例はカットする。逆接、要約の接続詞に注意し、具体例以外の部分をうまくつなげれば良い。
  • 〇 まず具体例を読み込む。そのうえで、具体例とつながる主張を読み、自分の言葉で言い換える(ただし要約には、具体例は使用しない)。

要約力は点差につながる

小論文の論述問題は、易しすぎ、または難しすぎ差がつかないこともあります。また設問との相性もあります。しかし、要約の点数は、受験生の得意不得意がはっきり出やすく、必ず得点差になります。まず具体例をしっかり読んでから要約することで、ほかの受験生に大きな差をつけることができます。

なお、小論文全体の書き方(構成)は次の記事にあります。

小論文の要約のやり方は、具体例探し→主張と理由探し→合体作業の3つの手順!

小論文の要約のやり方は、具体例探し→主張と理由探し→合体作業の、わずか3つの手順です!

SMAPは、アイドル氷河期と言われた時代から新たな手法で人気を見出し、これまでのアイドルの在り方を変えた芸能史に残る功労者です。また、毎週月曜日放送のSMAP×SMAPでは、東日本大震災の募金活動を色褪せさせることなく、自分たちの声で、今も訴え続けているのはSMAPだけです。どれだけの被災者の方がSMAPに心を癒され勇気を貰っていることでしょうか。

そして、2020年のパラリンピックの応援サポーターとしても活躍しているSMAP。SMAPは、今や、事務所だけのものではない、日本の宝なのです。また、解散報道以降、テレビ等でSMAPが解散した場合の日本の経済損失は、636億以上といわれています。

naka yuki

上の文章は、入試問題ではありませんが、段落構成がヒントになりにくい、ハイレベルな課題文に構成が似ており、要約の練習に非常に向いた文章です。

具体例を探して理解する

まず具体例を探し、よく読んで理解します。具体例とは、固有名詞(人やものの名前)が書かれているか、その文章のテーマよりは、目に見える度合いが高い内容です(例えば、日本文化がテーマの文章なら、茶道は具体例です。茶道がテーマの文章なら、茶道具や千利休は具体例です)。書籍からの引用部分、会話、数値も、具体例に含まれます。

次の文章は、解散したSMAPがテーマです。

SMAPは、アイドル氷河期と言われた時代から新たな手法で人気を見出し、これまでのアイドルの在り方を変えた芸能史に残る功労者です。
具体例・また、毎週月曜日放送のSMAP×SMAPでは、東日本大震災の募金活動を色褪せさせることなく、自分たちの声で、今も訴え続けているのはSMAPだけです。どれだけの被災者の方がSMAPに心を癒され勇気を貰っていることでしょうか。
・そして、2020年のパラリンピックの応援サポーターとしても活躍しているSMAP。
SMAPは、今や、事務所だけのものではない、日本の宝なのです。
具体例また、解散報道以降、テレビ等でSMAPが解散した場合の日本の経済損失は、636億以上といわれています。

具体例をよく読んでみましょう。筆者は、SMAPが、震災の被災者や障がい者を励まし、636億円ものお金を生んでいることを説明しています。

主張と理由探し

SMAPは、震災の被災者や障がい者を励まし、636億円ものお金を生んでいる。このことと関係がある主張を、具体例以外の部分から探し出します。このとき、主語と述語の意識が、とても重要です!

主張SMAPは、アイドル氷河期と言われた時代から新たな手法で人気を見出し、これまでのアイドルの在り方を変えた芸能史に残る功労者です
主張SMAPは、今や、事務所だけのものではない、日本の宝なのです

自分が普段の会話で使う言葉で、中学生でも分かるようにまとめると、次のようになります。なお、ややハイレベルですが、要約では、宝のような比喩的な語句よりも、功労者のような直接的な語句の方が、評価は高くなります。

  • SMAPは、芸能界のみならず、日本全体への功労者である。

次に理由を探します。理由は主張の内部には書かれていませんので、具体例から抽象化(固有名詞などを取り除き、一般化すること)します。

  • SMAPは、日本の弱者の味方であり、経済効果も著しい。

合体作業

最後に、主張(結論)、理由を合体します。

SMAPは、芸能界のみならず、日本全体への功労者である。なぜなら、SMAPは、日本の弱者の味方であり、経済効果も著しいからだ。

なお、200字など、要約の制限字数が長い場合は、結論だけを抜き出すのではなく、おもな主張を課題文の流れに沿って説明してゆきます。

  • 100字、150字など … 結論と理由を中心にまとめる
  • 200字、300字など … 主な主張を課題文の流れに沿って説明

要約のやり方をマスターすれば、難しい評論も読めるようになる

説明してきたのは要約の方法ですが、現代文の読解にも利用できます! 

難解な評論を読むときにも、①まず具体例をよく読み込む。②そのうえで、具体例とつながる主張を読む。③自分の言葉で言い換える。この手順を踏むことで、理解が急速に早くなり、得点が伸びてゆきます。

東大・早稲田大レベルの文章でも要約が可能

最後に、かなり難しい文章の要約に挑戦します。難解な現代文の王様と言われていた、小林秀樹の文章です(入試問題)。東大や早稲田大の出題レベルとなりますので、時間がない場合は、ここは飛ばしてください(後日ご覧ください)。

 実証主義が一般教養のうちに深く浸透した今日では、歴史を扱う学者たちは、歴史の推移を自然の変遷のごとく観察し記述するという、よく整備されたへい平たん坦な道を行くのにすっかり慣れてしまった。重ね合わされた自然過程と歴史過程との間に、絶えず混淆が行なわれた結果、彼らの行使する歴史の観念は、実はひどくあい曖まい昧なものになっているにも関わらず、これに気づかない、気づこうとはしない。そういう趨勢のうちにあって、宣長が抱いていた歴史観念の、驚くほどの純粋性におも想いを致すのは、極めてむずかしい。
 『うひ山ぶみ』には、次のようにある、――「古学とは、すべて後世の説に関はらず、何事も、古書によりて、そのもと本を考へ、かみ上つよ代の事を、つまひ詳らかに明らむる学問なり」――まことに簡明な定義である。「こまかに精(くは)しく考へ知りて、手にも取るばかり」にせよと付言しているだけで、研究方法などには、一言も触れてはいない。余計なことだからだ。そのようなものは、歴史を対象とする学問が世に現われてから工夫された「後世」の説に過ぎず、「上代」に関わる自分の「古学」には、何の関わりもない、そう彼ははっきり考えていたと、率直に受け取れば足りる。

小林秀雄『本居宣長補記』の一部

具体例を探す

まず具体例を探します。書籍の引用は、典型的な具体例です。

「古学とは、すべて後世の説に関はらず、何事も、古書によりて、その本(もと)を考へ、上代(かみつよ)の事を、詳(つまひ)らかに明らむる学問なり」

少し難解に感じますが、古い歴史を学ぶには、最近の人の説明に頼るな!(古い文書を直接読むべきだ)。これだけのことです。私たちは、例えば織田信長や豊臣秀吉を知りたいときに、テレビ番組やまんがのイメージに頼りがちですが、その時代の文章を読めという内容です。

対応する主張と理由を探す

つぎに、具体例(歴史家は、最近の人の説明でなく古い本を読め!)に対応した主張を探します。

実証主義が一般教養のうちに深く浸透した今日では、歴史を扱う学者たちは、歴史の推移を自然の変遷のごとく観察し記述するという、よく整備されたへい平たん坦な道を行くのにすっかり慣れてしまった。重ね合わされた自然過程と歴史過程との間に、絶えず混淆が行なわれた結果、彼らの行使する歴史の観念は、実はひどく曖昧なものになっているにも関わらず、これに気づかない、気づこうとはしない。そういう趨勢のうちにあって、宣長が抱いていた歴史観念の、驚くほどの純粋性におも想いを致すのは、極めてむずかしい。

かなり難度が高いですが、どうやら太字の部分が対応しそうです。この部分を自分が自信を持って使える言葉で、中学生にも分かるように言い換えます。

  • 歴史家は、後世の人がまるで自然の因果関係のように整えた考え方でしか、歴史を捉えることができなくなってしまった。

自然の因果関係とは、台風が来たから雨が降るというような、原因と結果の関係です。例えば、日本への原爆投下について、アメリカが戦後の日本への影響力を強めたかったので投下された、というように、すっきりと説明されることが多いようです。しかし、当時の文章を直接読んでいけば、異なる見方にたどり着く可能性もあるということです。

理由の抜き出しは、大変難しいですが、次の部分を参考にしました。

・実証主義が一般教養のうちに深く浸透した今日

・(本居宣長は)「こまかに精(くは)しく考へ知りて、手にも取るばかり」にせよと付言している

合体作業

(要約例)歴史家は、後世の人がまるで自然の因果関係のように整えた考え方でしか、歴史を捉えることができなくなってしまった。この背景には、自分自身の感性に頼り精密に考え抜くことを否定する、実証主義の台頭がある。

小論文の要約に段落は必要?

小論文の要約は、150~200字程度の字数制限が目立ちます。そのため、段落分けする必要はなく、書き出しを1文字下げる必要もありません。

ただし、段落を作ってはいけない訳でなく、2段落のほうが分かりやすいと思えばそうしてください。その場合、実質の字数が減り、必要な要素、部分点を落とさないように、なるべく空白のマスがないようにします。


小論文要約の問題例と参考書(問題集)

小論文の要約問題を探されている方のために、1題掲載しておきます。150字で要約してみてください。添削をご希望の方は、プロによる添削を安く済ます方法をご確認ください。

なお、高校や塾の先生に要約の添削を依頼する場合、できればその先生から題材(小論文の課題文、現代文の入試問題等)をもらってください。その方が効率よく質の高い添削ができます。

 時をへだててメッセージを伝達する方法のうちには、二つの根本原理を識別できるだろう。一つは、持続性の大きい物質にしるしづけられた原初のメッセージが、変化せずにのちの世に伝わることを願うものであり、他は、それ自体としては滅びやすい媒体に託されたメッセージを、媒体を更新し、原初のメッセージを再生することによって、時の中に持続させようとするものである。二つの原理それぞれの典型は、第一のものは古代エジプトのピラミッドと王のミイラのうちに、第二のものは口頭伝承のうちに、いずれもアフリカ大陸に見出される。この二つの極のあいだに、紙片や木片の上にメッセージを記す、記念像を彫るなどの、時をへだててメッセージを伝えるさまざまな方法を位置づけることが できる。
 注目すべきは、第一のものが、必ずしも第二のものより有効性が大きいとは限らないということである。アジアからいくつかの例をとろう。秦の始皇帝(前二五九-前二一〇)は、己の偉業を後世に伝えようとして石碑に文字で刻ませたが、逆説的にも、もとの石に記された文字は読めなくなり、木や紙に書き写されたものが、長い歳月のあいだ写しつがれて近代まで伝わっている。天皇家の先祖を祀っている日本の伊勢神宮は、もう一つの例を提供する。この神社の本殿は隣りあって並んだ二つの敷地に交互に建てられるので、一方は常に空き地になっている。二十年ごとに、空いている方の敷地に、櫓の白木で同じ社を建て、古い社を壊す。このようにして、最初の建造から一千年以上経ったいまでも、 原初のモデルを真新しい状態で目にすることが可能なのである。定期的に更新される白木の建造物は、原理的には石の建造物よりも長く持続しうるといえるだろう。更新による永続という考え方は、サハラ以南のアフリカでも、儀礼用の木の仮面を定期的に彫り直して新しくする慣行のうちに見出すことができる。
※入試問題ですが出典を調査中です。分かり次第掲載します。

小論文要約の参考書

慶応義塾大学や国立大学などの難関大志望なら、下の参考書がおすすめです。 文章のレベルは極めて高く、現代文や思考力に自信のある方向けです。文章のみで、設問はついていません。150字程度を目安に要約し、別冊子を参考に自己採点が可能です。

標準から基礎レベルなら、出口のレベル別問題集がおすすめです。評論文の場合、別冊に、全体の論理構造という解説があります。150字を目安に要約し、別冊をもとに自己採点してみてください。小説は、要約のさいは飛ばしてください。

レベルは1から6まであります。Amazonか楽天ブックスをクリックすると、こんな商品も買っていますのコーナーに大半が出てきます。

  • レベル1 推薦・AO入試レベル
  • レベル2 推薦・AO~センター試験レベル
  • レベル3 センター~中堅私大レベル
  • レベル4 中堅私大~有名私大レベル
  • レベル5 有名私大~国公立二次レベル
  • レベル6 難関私大~難関難関国公立大レベル

(まとめ)小論文 課題文の要約の書き方 3つのコツですぐに書ける!

小論文の要約のやり方は、具体例探し→主張と理由探し→合体作業の3つの手順がおすすめです。

  • 具体例探し … 固有名詞や、テーマに比べ、目に見える度合いが高い語句を探します(日本文化がテーマなら、茶道など。茶道がテーマなら、茶道具や千利休など)。書籍からの引用、会話部分、数値も具体例。
  • 主張と理由探し … 具体例を頭に入れた状態で、関連する主張を探します。主語‐述語に注意して、まずシンプルにつかみます。なお理由は、具体例を抽象化して自作させる場合もあり、この場合点差が開きます。

小論文の構成や書き方は次の記事にあります。

【小論文】書き方・構成を分かりやすく教えてください


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