予備校の大学受験責任者を務めた筆者が、日本史の勉強法を解説します。日本史学習の最大のコツは、部分と全体です。この記事では、まとめノート作りなど、部分(ミクロ)の学習法を明らかにします。
この記事の特色〜日本史の学習法〜
- 日本史の学習は、部分(ミクロ)と全体(マクロ)に分けるとうまく行き、高得点につながります。
- 紹介する方法は、人の脳の学習の仕組みに沿った、合理的かつ効率の良いものです。この記事との出会いが、日本史学習を大きく変えることを約束します。
- 大学生の体験談ではなく、数百名単位の生徒に、実際に指導し学習法を改善してきた集大成となります。
【結論】日本史の勉強法
日本史の勉強には、2つの柱があります。全体の学習と部分の学習です。
- 部分の学習 … 高校または予備校の授業の復習。通常、数十年単位で、時代順に学習を進めて行く。
- 全体の学習 … 通史学習とあいまいに定義されるが、より具体的な方法論が必要。暗記用の年表を用意し、1世紀ごとに、学習してゆく。
この記事では、部分(ミクロ)の学習、つまり授業の復習やノート作りの方法を扱います。部分の日本史学習の最大のポイントは、アウトプット&アウトプットです。
高校や予備校の授業は、受け身の状態になるため、インプットの学習です。そして、それをまとめて、頭に詰め込む「ノート作り」は、インプットのイメージがあるかも知れません。まず、この誤解を解くことが重要です。
日本史の授業復習は、アウトプット&アウトプット
日本史の授業を受けることは、ノートを取ることも含め、インプットの学習です。復習の時間は、アウトプットに当てるのが、合格のポイントです。
- アウトプット1 … 誰かに説明することを前提とした、ノート作り。黒板に書く図式と、補足説明の準備のイメージ。
- アウトプット2 … 問題演習。知識を頭から引き出せるか、確かめながら定着させる。
自宅でのノート作りは、数学・物理・現代文を除き非常に重要ですが、その方法はあいまいです。もし授業ノートを、縮小する形でまとめ、何度も読んで覚えこむ(インプットする)イメージがあれば、それは誤りです。
自分でノートを作ることの意味は、他人(先生)の言葉を自分の言葉に変換し、脳になじませてゆくことです。また、本当に分かったと言える状態(=人に説明できる状態)に、変えて行くことです。
言い換えると、授業直後の分かったつもりの状態、分かったのレベルが低い状態から、ほんとうに分かっている状態、つまり分かったのレベルが高い状態に上げてゆくことが、重要です。
ノートづくりでよくある失敗2つ/日本史の勉強法
ノート作りをして成績が上がる人と上がらない人がいます。成績が上がらない人は、次の失敗をしているケースが目立ちます。
- 自分の言葉に直しながら、ノート作りをしておらず、授業ノート、資料集、参考書を、ただつなぎ合わせただけの、まとめノートになっている。
- ノート作りに、時間をかけすぎている。
特にノートをきれいにまとめることにこだわる女子に多い傾向です。美しさや色づかいのこだわるあまり、自分の言葉や図表に変換することが疎かになり、また問題演習の時間がなくなってしまうパターンです。この勉強法は、きれいなノートは残りますが、知識の定着率は下がります。
ノートづくりを軸とした日本史の勉強法は、上の図のような流れになります。ノートがきれいであることは絶対条件ではなく、あくまで他人に説明する準備として、自分なりの言葉や図式で表現することが必須です。
デザインは、黒板と、補足説明の準備(箇条書き程度)がおすすめです。例えば、翌日の朝のHRで、10分間クラスの全員に、授業の流れを説明できるメモとしてのノートという感覚が非常に重要です。
日本史のノート作り 重要なことを繰り返します
日本史のノート作りにおいて、もっとも重要なことを繰り返します。
ノートづくりの目的を「他人に説明できるための準備」に置き、自分の言葉や図表に置きかえ、長くても授業を受けた時間内で仕上げるのが、最大のコツです!
人は、他人の言葉や説明を、そのまま理解することはできません。
もし可能ならば、世の中は天才・秀才だらけになってしまいます。他人の言葉を聞き、それについて深く考え、より良い説明方法を考え、自分の言葉でまとめることで、ようやく理解が進みます。他人に説明することを前提に知識・情報を整理しようとすると、より完全に理解できます。
もし、好きなまんがやアニメのストーリーを深く理解できているとすれば、自分の言葉で考えてポイントをまとめ、友達に何度も話しているからです。
知識の定着のコツは、インプットしようと努力するよりも、アウトプットするための準備や、実際のアウトプットにあります。
なぜ人から聞いた知識は、そのままでは理解・記憶できないのか?
なぜ人から聞いた知識は、そのままでは理解・記憶できないのでしょうか?
例えば、あなたは1週間前から昨日までの朝食を全て覚えているでしょうか? もし人の記憶力が万全なら、1年間の朝食を全て覚えることができてしまいます。しかし、そうなると、生き物として重要な、命や健康を守るための知識が埋もれてしまうこととなります。そのため、自分の言葉でよく考え、他人とやりとりがあって深められた情報のみを記憶するように、人間の脳は進化してきました。
日本史の授業も同じです。人の脳は、授業で聞いたりノートを取った内容が、本当に重要なのか判断できないため、よほど面白いエピソード以外は、その瞬間、当日、そして睡眠中に極力忘れようとします。
しかし、授業を受けた当日、記憶が整理される睡眠の前に、深く考えたり、より良い説明方法に自分の言葉で変換したりした場合、脳は重要な情報だと判断し、完全に記憶に定着します。この作業を頭の中でなく、紙の上に展開するのが「まとめノート」の作業なのです。
日本史のノート作りの実例
この項目は編集中です。
(まとめ)ノートづくりを軸とした勉強法の核心
ノートづくりの目的を「他人に説明できるための準備」に置き、自分の言葉や図表に置きかえ、長くても授業を受けた時間を超えない範囲で仕上げるのが、最大のコツになります。
【まとめ】日本史の勉強法・学習法
日本史の勉強には、2つの柱があります。部分の学習(授業を踏まえたノート作り)、全体の学習(年表を軸とした通史学習)です。
部分の学習では、まとめノートを自分の言葉や図表で、他人に説明(アウトプット)できるように作るのが最大のポイントです。受けた授業時間以上に時間をかけず、必ず問題演習(アウトプット)で締めることがポイントになります。
年表を軸とした学習スタイルでは、世紀ごとに、まずは主要な10個前後のできごとに絞り、流れを簡単に説明できるレベルで、限りなく暗唱に近い形で頭に叩き込みます。この硬い土台に、標準、応用の知識を積み重ねてゆきますが、1度に深いところまで押さえようとすると、誤った勉強法に逆戻りです。土地づくり、幹づくり、枝づくりのイメージが大切です。
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