声優になりたいのですが、将来性がなく無謀でしょうか? 親は大学に行けと反対するのですが、挑戦しないまま諦めたくないです。中学は演劇部、高校ではカラオケの点数を競う番組で予選まで行ったことがあります。よろしくお願いいたします。
声優の仕事となりかたは?
ご質問ありがとうございます! 声優になりたいのに、親には反対されているのですね。年に約80の高校で進路に関する講話を行っている、受験ネットの加藤がお答えいたします。
まず声優の仕事を押さえておきましょう!
声優とは、アニメ、ゲーム、海外映画などのセリフの吹き替え(アテレコ)を行う仕事で、広い意味では、俳優(女優)に含まれます。ほかにも、以下の仕事があります。
- テレビ番組やCMのナレーション
- CD教材や資料映像の音声、ラジオパーソナリティ(DJ)
- 結婚式やイベントの司会
声優のなりかたとは?
声優になるには、最終的に声優事務所に所属します。主な声優事務所は、以下の通りです。
- アーツビジョン(鳥海浩輔、中村繪里子、早水リサらが所属) … 声優事務所の代表格。アイムエンタープライズも大手で、同グループ。
- 青二プロダクション(古谷徹、富沢美智恵、久川綾らが所属 )
- 81プロデュース(三木眞一郎、阿澄佳奈、加藤英美里らが所属)
声優事務所には、オーディションにより入所できます。入所資格は、高卒(または18歳以上)がほとんどです。ただし、大手の声優事務所は、養成所を持っており、養成所生しかオーディションを受けられないことがあります。
そのため、大学や専門学校を出てから養成施設に所属し、オーディションを受け、声優事務所をめざすのが一般的です。大学を経由すると、大卒の学歴が確保できる安心感があります。大学は声優と関係のない学部で構いませんが、大阪芸術大学には、かなり充実した声優コースがあります。関東では淑徳大学です。
- 高校を出てすぐに養成施設に入ることも可能ですが、うまく行かなかった場合高卒扱いとなるため、リスクが大きくなります。
- 声優養成の専門学校を出たとしても、さらに養成施設に進むことが多いのが実情です。ただし、専門学校でトップクラスの活躍をした人は、特待生として養成施設に進めることがあります。
- 芸能人の実績を作ってから、声優事務所に登録する人もいます。また、外国映画を中心に、話題作りのために芸能人を起用するケースが増えており、声優志願者の強いライバルになっています。
声優になれる確率は?
声優で生活できるのは約300人
声優として働いている人の人数は、主婦の友インフォスが発行する雑誌声優グランプリの付録である、声優名鑑が目安になります。
2019年3~4月号を見ると、男性が583人、女性が847人、合計で1430人です。しかし、声優で声優事務所社長も務める浪川大輔さんは、声優業だけで生計が立つのは、300人程度だと推測しています。
声優希望者は3万5千人程度?
一方、声優を目指している人の数はどのくらいいるのでしょうか? 30万人という数字がありますが、コピペで広がっている数値に過ぎません。
全国に声優養成コースを持つ専門学校や無認可校は約50校。定員を約2千人と見積もります。大学進学する声優希望者などもいるため、毎年約5千人の声優希望者が生まれていると思われます。講演のために高校をよく訪ねる筆者の実感では、1高校あたり平均1名は声優希望者がいます。全国の高校数は5千弱ですので、計算は合います。
そしてその5千人が、声優をめざして平均7年間活動を継続するとすると、約3万5千人が、声優をめざして活発に活動していると、非常におおまかですが見積もることができます。
声優で生活できる確率は、0.8%程度か
あくまで試算ですが、上の数字をもとに考えると、7年間声優にチャレンジして、成功できるのは0.8%前後と思われます。弁護士(司法試験)でも24%前後の合格率があるため、夢があるとはいえ、厳しい競争があります。
それでも声優になるにはどうすればいい?
声優で生活ができるようになる人は、100人に1人もいないと試算されます。それでも声優をめざすには、どのようにしたら良いのでしょうか?
プログラマー、保育士などの手に職がつく大学がおすすめ!
リスクの高い声優の道に進むなら、大卒の学歴が確保できる四年制大学への進学がおすすめです。専門学校は短大卒扱いとなるだけでなく、専門分野以外への進路が狭まります。
大学に進む場合、情報学部でプログラマーの技術を身につけたり、法学部で資格を取っておいたり、保育士・幼稚園教諭の資格を取ったりが有効でしょう。例えばプログラマーなら、ブログを制作し声優へ向けての活動を発信するのも面白いです。留学をして、人生経験を広げながら、語学力を身につけておくのも効果的です。
大学を卒業後、声優養成学校へ進み、3年間をめどにがんばってみます。もし難しそうな場合、大学で身につけた資格を生かすことができます。
声優で成功する人はどんなタイプ?
成功率が1%にも満たない声優の業界で成功する人は、ボイストレーニングや演技の練習に手を抜かないことは当然として、マナーが良く気配りができる人、幅広い経験を積んだ人だと言われます。
いくらでも代わりはいるなかから、チャンスを獲得するには、マナーが良く気配りができる人間性は重要です。また、声優は広い意味では俳優(女優)に含まれますので、役に成り切り感情をつかむためには、幅広い経験を積むことが必要です。この辺りからも、大学進学は案外声優に向いていると言えます。
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