明光義塾がブラック企業大賞2015にノミネート〜塾バイトの内情を告発〜

   

2015年のブラック企業大賞に個別学習塾の明光義塾がノミネートされました。労働時間に見合う賃金を支払っていなかったとされたためです。この記事では明光義塾に限らず塾業界が抱えるアルバイト講師待遇の裏側を明らかにします。

明光義塾がブラック企業大賞2015にノミネート〜塾バイトの内情を告発〜

 

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なぜ明光義塾がブラック企業大賞にノミネートされたのか

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明光義塾(明光ネットワークジャパン)がブラック企業大賞にノミネートされた理由を主催者は次のように説明しています。

「明光ネットワークジャパン」は、個別指導塾最大手「明光義塾」を運営する業界のパイオニアである。規模は直営222教室、FC1915教室。

・個別指導塾では、アルバイト講師に対して授業以外の業務に賃金が違法に払われない「コマ給」制度(=授業時間しか時給がつかないこと)が蔓延している。

・2015年10月には、仙台労働基準監督署がある直営教室に賃金未払いの是正勧告。このほか茨城、埼玉、東京、大阪の労働基準監督署でもフランチャイズ経営の教室に是正勧告。

・これら複数の是正勧告がノミネートの理由である。

第4回 ブラック企業大賞2015 ノミネート企業発表!

主催者側も認めているようにアルバイト講師への未払いの問題は、個別指導塾全体の問題です(集団指導塾も同様)。今回明光義塾がノミネートされたのは、(1)塾業界で伸びている個別指導塾であること、(2)その個別指導塾業界で明光義塾が最大手であることという背景があります。この問題は明光義塾に限定された問題ではないということです。

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明光義塾など学習塾の給与システムの実態

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学習塾(個別指導型、集団指導型の双方を含む)では、アルバイト講師に授業時間分の給与を出すことが普通です。1単位の授業(時間は50分、80分など様々)は、通称1コマと呼ばれ1コマ当たりの給与が支払われるのが普通です。

例えば明光義塾は以下のような求人を出しています(教室によって待遇は異なります)。

個別指導講師募集中!

・アルバイト /個別指導/1授業90分1,650円
・アルバイト /個別指導/1授業90分1,600円〜2,400円
・アルバイト /個別指導/1コマ90分1,500円
・アルバイト /個別指導/1コマ90分1,700円〜2,600円
・アルバイト /個別指導/1授業90分1,700円

時給は1000円を超えますので、一般のアルバイトよりも高いと言えるでしょう。集団指導塾では2000円以上の時給も決してめずらしくありません。しかし実際にアルバイトを始めると、予習や報告書を作成する時間には給与がつかないことが一般的です。

なぜ「無給」部分があってもアルバイト講師は辞めないのか

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いくらか「無給」部分があったとしても、トータルではまずまずの給与水準ではないかいうことで塾講師の仕事を続けている人も目立ちます。それにはある背景があります。

塾講師は、基本的には大学生が受験期の「過去の貯金」で勝負できる分野です。一方、多くの学生がアルバイトをする飲食業では、注文の取り方、清掃の仕方、厨房補助の仕方などを一から覚える必要があります。正社員の管理下に入り「細切れの作業」を担当することが多い通常のアルバイトに対し、塾講師は授業研修さえ終えれば数人の生徒あるいは1つの教室を任されます。

「過去の貯金」で勝負でき、いきなりブースや教室という舞台を与えられる。この条件に惹かれて、多少給与計算に不満があっても塾講師を続ける人は続けているのが実情なのです。

さらに担当した生徒が定期テストで高得点を取ったり、受験に合格したりすれば喜びもひとしお。学生アルバイトの立場ながら、初めから終わりまでを一貫して担当でき、成果を目の前で見ることができるのは塾講師ぐらいです。このほか、アルバイトをする学生が比較的高学歴であり生真面目な人が多いという事情もあります。

「無給」部分があっても、塾講師を続ける人が多い理由のまとめ

①「過去の貯金」で勝負できいきなりブースや教室という舞台を与えられる(仕事を一から覚え常に上司の監督下に置かれるつらさがない)

②初めから終わりまでを一貫して担当でき、成果を目の前で見ることができる(難しく言うと労働から「疎外」される場面が一つもない)

③比較的高学歴であり生真面目な人が多い

なぜ塾側は授業時間以外の部分に給与を支払わないのか

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なぜ塾側は授業時間以外の部分に給与を支払わないのでしょうか?悪く言えば上で説明した「3つの特質」によって、アルバイト講師が大量に辞めることのない事情に甘えているということになります。

もし一から覚えることばかりで、正社員が上司につき厳しく指導すれば「割に合わない」と思う学生もいるでしょう。もし例えばプリントを印刷するだけといった細切れの作業を担当し、生徒の成績向上や合格に立ち会うことのない仕事ならば「割に合わない」と思う学生もいるでしょう。

塾業界は長らく「3つの特質」に甘えてきたというのはあながち間違いではありません。

給与が支払われない「予習業務」の実態は?

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しかし、給与が支払われない「予習業務」の実態を見ると考え方が変わるかもしれません。世間では講師は塾に早く出向き予習業務をしていると考えられているかもしれませんが、実際には予習場所を指定する塾はあまりありません。多くの大学生が自宅で自分のペースで予習をしたり、昼食ついでにカフェなどで予習したり、通学時間が長い学生は電車内で予習することもあります。

このように自分の裁量で場所と時間をコントロールできる在宅ワークの様なスタイルの仕事は、給与が安めに設定されることが普通です。例えばパソコンに向かって1時間かかる作業をオフィスに拘束され上司の監督下で行うならば800円の時給を支払う会社も、同じ量を在宅ワークとして依頼する場合半分程度の金額で依頼するはずです。

ではなぜ塾業界が例えば半分程度の時給を支払わないのかというと、半分では各地の最低時給を下回ってしまうという事情もあると考えられます。それならば、1回分の予習手当をつければ良いのですが、長年の慣習で授業時給に含む形が基本とされてきました。時給に予習等が含まれることは、トラブルを避けるためどの塾でも採用時に面接で明言しています。

明光義塾がブラック企業大賞にノミネート 塾業界は今後どうすべきか

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今回明光義塾が代表としてブラック企業にノミネートされた訳ですので、塾業界は「授業時給(コマ給)」「予習手当(一)」「報告書手当(一律)」「質問対応時給」「テスト採点時給」のように、細かな区分で給与体系を見直す必要があるでしょう。

教室の運営としては、「質問対応時給」「テスト採点時給」が可変的となり月初めに経費を読みにくい状況もあるかと思いますが、ほかの項目は全て予想できますので経営上も大きな弊害はないと思います。

ただ現行1コマ2000円だった給与が、以下のように変わるだけかもしれません。

・授業時給1コマ1200円
・予習手当300円(一律)
・報告書手当200円(一律)
・質問対応手当100円/10分

授業をして30分質問対応すれば結局取り分は2000円。こういったケースに落ち着くのではないでしょうか。結局塾業界で給与が上がらないのは、根本的には少子化に要因があります(大学受験超大手を除いては利益をため込んでいる塾はないでしょう)。

しかしながら塾業界が大学生に対してルールを「見える化」していくことは悪いことではないと思います。

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