大学文系に進むには、奨学金は月にいくら借りればよいのでしょうか? 学費の相場や、保護者が借りる国の教育ローンも含め、キャリアコンサルタント(国家資格)がお答えします。
【看護・医療系(大学・専門学校)】奨学金の平均、月いくら借りるのがベスト?
大学文系 高3秋に支払う学費は70万6000円!
私立大学文系の学費の平均額は、下の通りです。最初の支払いは、早いと高3の秋(合格から1~3週間以内に銀行振り込み)。授業料と施設設備費の後期分は後払いでもよい大学が多く、その場合、高3秋に平均70万7000円の準備が必要です!
入学金 | 授業料 | 設備施設費等 | 初年度学費合計 | |
私立大学文系 | ①22万3000円 | 82万7000円 [②前期分]41万3000円 | 14万3000円 [③前期分]7万1000円 | 119万3000円 [①+②+③]70万7000円 |
私立大学理系 | 23万4000円 | 116万2000円 | 13万2000円 | 152万8000円 |
専門学校 | 17万8000円 | 73万6000円 | 37万2000円 | 128万6000円 |
国立大 | 28万2000円 | 53万5000円 | 学校による | 81万7000円 |
※(私立大)文科省2023年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査。私立理系に医歯薬系(初年度学費合計482万円)は含みません。私立短大は、入学金23万7000円、授業料72万9000円、施設設備16万3000円、合計で平均113万円。
※(専門学校)2022年度東京都専修学校各種学校協会調査統計部調べ ※(国立大)2024年度文科省令による標準額
! いずれの数値も2024年6月現在に発表済みの最新のものです。
初年度納入金や進学後の支払額(平均)は、授業料の分納制度がある大学の場合、以下のようになります。
- 1高3秋頃(推薦の場合、一般は年明け)70万7000円(授業料分納の場合)
- 2大学1年生の9月頃48万4000円(後期分)/月約8万円
- 3大学2年生の4月頃48万4000円(前期分)/月約8万円
- 4大学2年生の9月頃48万4000円(後期分)/月約8万円
- 5大学3年生の4月頃48万4000円(前期分)/月約8万円
- 6大学3年生の9月頃48万4000円(後期分)/月約8万円
- 5大学4年生の4月頃48万4000円(前期分)/月約8万円
- 6大学4年生の9月頃48万4000円(前期分)/月約8万円
学費は、保護者が、貯金+国の教育ローン(子ども1人あたり総額350万円が上限、一部条件で450万円)で賄うことが多いようです。
通常、高3秋頃(初年度学費用)と、進学後の9月頃(後期の支払い用)に、借り入れを行います。以降は4、9月に借り入れます。ただし申請から入金まで通常数週間かかり、秋冬の入試シーズンはひと月半は見るとよいです。
卒業まで待ってもらえる子どもの奨学金と異なり、国の教育ローンの返済は、借り入れ後すぐに始まります。
しかし、すぐに返済を始めてしまうと、ローンでローンを返すような状況になりやすく、多くのご家庭は「子の在学中は利息のみ返還」という選択肢を取っています。この場合、高3の秋(借り始め)から、子が卒業するまで、月の返済額は数千円程度です。
なお、子が自宅外通学の場合、親だけで学費を負担するのが難しく、子も何割か負担することが多いようです。
子が自宅から通う場合 学費を親が負担なら奨学金は不要
自宅から通う学生の生活費は、月に5万8000円が相場です(ライフルホームズによるひとり暮らしの生活費から、家賃、食費の半額を引き算)。
大学文系生は、理系生や専門学校生に比べ余裕の時間は多く、アルバイトは多くできます。資格学校へ通ったり、就職活動に時間がかかったりするケースを想定しても、月平均5万8千円前後(毎月4万+低学年時や長期休暇に多く働く)の収入は可能です。
そのため、学費を親が負担する場合、奨学金の借り入れは不要です。
学生の約半分は自宅住まい(ベネッセ)、同時に学生の約半分は奨学金を借りていない(生命保険文化センター)というデータがあり、自宅生は保護者負担とアルバイトで乗り切るケースも多いと想像されます。
ただし、家計状況、兄弟の進学状況、家庭の方針によっては、学費を半分程度は負担するケースも耳にします。その場合、借りるべき奨学金は、月あたりの学費の半分ですので約4万円です。
※奨学金は進学後の4月から毎月振り込まれます。そのため、1年生の後期分(8月頃請求)から、子は支払いに参加できます。高3秋(推薦の場合)に支払うお金は、保護者負担となります。
子が自宅外の場合 生活費(家賃含む)+学費の半分を子が負担の場合、奨学金は月9万9000円!
自宅外から通う学生の生活費と家賃の合計額は、月に12万5000円が相場です(ライフルホームズ)。
学費は、月あたり約6万円です。
大学文系生は、理系生や専門学校生に比べ余裕の時間は多く、アルバイトは多くできます。資格学校へ通ったり、就職活動に時間がかかったりするケースも想定し、アルバイトは月平均6万円前後(毎月4万+低学年時や長期休暇に多く働く)がおすすめです。
すると、学費を親が全て持つか、親子で半々にするかで、次のように計算できます。
ひとり暮らしの場合、親が学費負担なら奨学金は6万5000円、親子折半なら月9万5000円と計算できますね!
なお、学生支援機構の奨学金は1万円単位のため、実際には月7万円、月10万円の借り入れとなります。
大学文系生の奨学金の平均は8万5000円(推定)
ところで、大学文系生の奨学金の平均額は、どのくらいになるのでしょうか?
はい。学生全体の奨学金の月額の平均は、6万8000円前後と推定(※)されます。
大学文系の場合、上述のように、0円(自宅通学)、月7万円(ひとり暮らしで親が学費負担)、月10万円(ひとり暮らしで学費は折半)の奨学金パターンが想定でき、奨学金を借りる組の平均は8万5000円ですので、だいたい辻褄は合います。
(※計算方法)奨学金の借入総額は平均324.3万円と分かっています(画像、労働者福祉中央協議会)。学ぶ年数は、1年(専門学校の一部)から9年(大学院進学)まで様々です。院進学率が高く学ぶ年数が長い理系と、学ぶ年数が短い専門学校で相殺し、平均在学期間を4年(=48か月間)と考えると、月に6万8000円程度と計算されます。
奨学金の返済額の調べ方は?
奨学金でいちばんよく使われ、いちばん借りやすいのは、日本学生支援機構の第2種奨学金です(有利子、要返済)。
このほか、学力基準(成績が良いほど有利)と家計基準(家計がある程度厳しいこと)をダブルで満たす場合、第1種奨学金(無利子=返済必要)があります。2種と併用可能です。
また、家計が非常に厳しい(住民税非課税、またはそれに準ずる)場合、文科省の修学支援制度(学費減免+返済不要の給付型奨学金)があります。さらに、2025年度入学からは、3人兄弟の家庭対象の減免制度も準備が進んでいます。
例えば、ひとり暮らしで生活費に加え、学費の半額も負担の場合、奨学金は月に10万円前後必要と思われます。もし4年制大学で、月10万円借りるとすると、月約2万円を42歳頃まで返済することになります(奨学金シミュレーターが便利)。
学生支援機構の奨学金は、高3の1学期に、高校経由で予約ができます。
第2種と同時に、給付型奨学金(家計基準厳しい、返済不要、学費減免制度とセット)、第1種奨学金(成績基準厳しい、無利子、要返済)や、大学や自治体主催の奨学金、特待生などを申し込んでおき、借りられたら、第2種を減額するプロセスが普通です。
なお、保護者は、国の教育ローンの利用が一般的です。高3の秋(大学合格から1~3週後が目安)には、学費の支払いがありますので、私立文系なら平均して70万7000円の準備が必要です(国の教育ローンシミュレーターが便利)。
実は、就職率が重要!
奨学金を月に10万円、4年間借りると、月約2万円を42歳頃まで返済することになります。何とか払えそうな額に見えますが、就職できるかが非常に重要。万一就職できないと、「奨学金」のイメージよりは厳しい取り立てが待っています。
大学文系は、理系、看護医療系や専門学校に比べると、手に職がない分、就職活動は激戦、自己責任となりやすいです。
就職に成功する学生は、主に次のような特徴を持っています。
- 何らかの国家資格(税理士、公認会計士等)を取得した
- 英語(TOEIC)や簿記などで好成績を残し、企業側の評価を得た。
- 大学生活で力を入れたこと(「ガクチカ」と呼ぶ)が評価された
- コミュニケーション力など、パーソナリティに強みがある。
- 大学の難度が高い(おおむねMARCH、関関同立以上)
- 入学時からターゲットとなる業界を決め、それに向けて準備を重ねた。
人手不足で、就職先自体は決まりやすいですが、しっかりとした待遇の企業はかつてより減っており、そこに人気が集中しますので、以前より優良企業自体が減っていることを加味すると、実は以前よりも激戦と言えるかも知れません。
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