情報系の学部を検討中の高校生のために、就職状況、将来性、学ぶ内容を解説し、学生の口コミを紹介します。
情報系の学部(学科)の就職状況と将来性
情報系の学部を考えるうえでまず押さえたいのは、同じ「情報」という名前でも文系と理系で大きく差があることです。
工学系に含まれる情報系学部(学科)
各大学の工学系に含まれる「情報通信」「情報工学」「情報科学」などの学部(学科)は、学んだことをダイレクトに生かす国家資格(特殊技能)系のグループに入ります。分かりやすい事例だと、医学部や薬学部のようにかなり専門性が評価される就職状況が安定した学部・学科です。
激務のイメージがあるSE(システムエンジニア)が主な就職先だと誤解されることもありますが、難関大になればなるほどコンピュータそのものや電子回路の設計、インターネット基盤の設計、多数のコンピュータネットワークの制御などSEをかなり超える技術を身につけ安定した職に就く人が多くいます。
【国家資格(特殊技能)系の学部リスト】
①自然科学系の一部 ・工学(電気、機械、材料化学、情報等) ・薬学 ・医学
②教員養成系(小学校教諭)
③看護・医療系
④家政・生活科学・福祉系
経営学、社会学、文学などに関連する情報系学部・学科
一方、英国社や英国数の文系型の受験がメインである、文系に属する情報系の学部学科は、専門技術を身につけるというよりも幅広い教養として学ぶ学部です。
理系の情報系学部・学科よりは歴史が浅いのが特徴で、文系の学部が時代に合わせて(悪く言えば受験生集めもあって)学部名を変更した場合も多く、経営学、社会学など社会科学系やコミュニケーション学など人文科学系の教授が多く在籍する場合もあります。
そのため就職先としてはSE(システムエンジニア)が専門性を生かす就職としては精一杯で、理系のように踏み込んだ技術を手にするのは難しいでしょう。その反面SEだけが就職先ではなく、経営学部や商学部と同じように幅広い業種に就職していきます。
※SE … 会社内などのコンピュータシステムを構築する仕事。
経営学部や商学部と同じように就職に向けて決定的な決め手はありませんので、1年生の段階から英語、国家資格(簿記、公認会計士など)、公務員試験対策などの武器を身につける必要があります。
【学問系の学部リスト】
①人文科学系統の全て ・文学 ・哲学 ・心理学 ・歴史学 ・考古学 ・文化人類学 ・外国語学 ・教育学(理系含む)
②社会科学系統の全て ・法学 ・政治学 ・国際関係学 ・経済学 ・経営学 ・商学 ・情報(文系)・地域
③自然科学系の一部 ・理学 ・農学(院進学者を除く)
➡日本一わかりやすい 文系・理系のための学部選び〜就職、適性、決め手〜
【1】理系の情報系学部の就職と目指す資格
情報通信、情報工学、情報科学など理系に属する情報系学部(学科)は専門性を生かした高度なコンピュータ技術を扱う職に就くことが多くなります。
理系に属する情報系学部は国家資格(特殊技能)系の学部となりますので就職自体は良好です。しかし同じ国家資格(特殊技能)系の薬学や看護学などと比べると、大学の難易度による差はあるかもしれません。薬学や看護学部では、国家資格が必ず関係しますので資格を取得していれば一人前と見なされ、難易度が低い大学や専門学校が極端な差別を受けることはありません。
しかし理系に属する情報系学部では、必ずしも全員が国家資格を取るわけでないため、企業としても大学の難易度や出身の研究室、教授の推薦などで実力を測るはずです。そのため難度の低い大学では、十分に国家資格(特殊技能)系のメリットが生かせず、(希望しないにも関わらず)SEに就くような事例もあります。
※ただし5教科の幅広い能力が試される高校と比べ、1つのことに打ち込む大学の工学部の方が合う生徒もおり、難度が低い大学であっても入学後能力を相当伸ばす学生もいます。また高収入で長く続けているSEもいますので、ひとくくりにはできません。
なお国立早慶など難度の高い大学では過半数の学生が大学院に進学します。関東圏ではMARCH芝浦都市大クラスでも4分の1程度が院に進学すると見てよいでしょう。
取得を目指す資格には以下のようなものがあります(芝浦工業大学・情報工学科の場合)。
基本情報技術者
応用情報技術者
情報処理技術者試験
・レベル1 ITパスポート
・レベル2 基本情報技術者
・レベル3 応用情報技術者
・レベル4 高度区分
システムアーキテクト試験
システム監査技術者
プロジェクトマネージャ
画像処理エンジニア検定
CGエンジニア検定
技術士
技術士補
教員免許 中学校教諭一種免許状(数学)
高等学校教諭一種免許状(数学・情報・工業)
【2】理系の情報学部系の大学の研究レベル
東日本で、工学部色が強い情報系では、東大・東工大・早稲田・慶応・千葉・中央・東京理科の工学部のほか、筑波大の情報、電気通信大の電気通信学部、会津大のコンピュータ理工学部が優れています。
工学部としての色彩が弱い情報系では慶応(環境情報)、法政(情報科学)、東京都市(環境情報)、工学院(情報)、金沢工業大(情報)などがしっかりした内容を持っており、文系色は弱くなっています。
【3】文系の情報系学部の就職と目指す資格
文系に属する情報系学部では例えば次のようなゼミが準備されています(明治大の情報コミュニケーション学部の場合、一部抜粋)。
・私たちの身の回りにある奇妙なことを発見し探索しよう
・情報社会における知的財産の役割
・就職活動に入る前に日本の企業や業界について研究をしてみよう
・ジャーナリズムの実践と研究
・わが国の金融システム
・「日本の今」を映像で表現し、社会への価値の発信とその組織化に挑戦する
・フェミニズム理論とクィア理論によるカルチュラル・スタディーズ
・恋愛・結婚・家族の社会学
・映画批評(Cinema Criticism)について学ぶ
・異文化コミュニケーション史・社会文化史の研究
・現代思想入門(思想的バックボーン形成のために)
・組織社会学-現代社会を読み解く-
・現代社会と情報コミュニケーション-問題分析・問題解決編-
・ソフトウェア開発とアルゴリズム
・情報化の進展と情報教育のあり方
それぞれ素晴らしい学問ですが、情報処理の専門性を深めるためのゼミではないことが分かります。同じ明治大の理工学部情報科学科の研究室と比較してみてください。
・ソフトウェア基礎研究室
・ソフトウェア工学研究室
・知能科学研究室
・計算理論研究室
・ロボット科学研究室
・ウェブサイエンス研究室
・ソフトウェア科学研究室
・コンピュータ設計研究室
・コンピュータシステム研究室
・情報セキュリティ研究室
・コンピュータアーキテクチャ研究室
・数理最適化研究室
・脳知能学研究室
・画像応用システム研究室
文系に属する情報系学部は明らかに社会科学系、人文科学系と同様、教養として幅広く学問を学ぶ学部だと分かると思います。すると経営学部、社会学部、文学部などと同様、直接的に就職につながる要素は少なく、個人の努力が必要ということになります。
【4】文系の情報系学部から就職の成功を目指すには
一般的に【学問系】の学部場合、講義を聞きゼミ(グループ学習)に参加しただけでは就職に結びつけるのは難しいでしょう。大学受験で努力し、少しでも難易度の高い大学に入るか、大学1年生の段階から将来の職業を考え、英語(TOEIC)、国家資格(簿記、公認会計士)、公務員試験対策などの武器を身につける必要があります。
情報系学部の志望者の場合「情報」を選んでいる訳ですので、インターネットやスマホに興味があることが多いと思います。大学で講義が準備されているいないに関わらずプログラミングをマスターしてしまうと良いでしょう。
出典:楽天ブックス(クリック対応)
プログラミングの基本としてウェブサイト作りから始める場合が多くなりますが、そのときhtmlとcssという仕組みを使います。これを大学在学中にマスターしてしまうと職業選びに幅が出るはずです。
同時にこの「受験ネット」を作成している「ワードプレス」というウェブサイト作りの無料ソフトもマスターします。ワードプレスは最も高性能なソフトの一つですが無料で使うことができます。「ワードプレス」を利用して、趣味などを生かしブログ作りを学びます。書いていくうちに文章力がつきます。同時に写真や色の持つ意味などデザインも学んでおくと良いでしょう。さらに英語(または中国語など)を学ぶことを強くお勧めします。
以上をしっかりやっておけば、例えば英語圏の人々に日本の伝統的な工芸品や便利な商品を紹介するサイトを簡単に作ることができます。この技術があれば将来独立することも視野に入ってきます。総じて、①ウェブサイトの知識(html、cssなど)、②国語力(文章力)、③語学力、④デザイン力の全てを高めれば食べていくことは決して難しくありません。高校時代から、情報、国語、英語、美術の授業に特に力を入れておきましょう。
なおウェブサイト作成の能力は、インターネット関連の業界だけでなく、あらゆるお店、会社で活用できます。
(まとめ)情報学部とは
・理系で、工学部に属する情報学部、学科は高度なコンピュータや通信に関する技術を学ぶため就職は有望。ただしこの国家資格を取ればよいというものはなく、少しでも難度の高い大学を目指し入学後も努力が必要。
・文系に属する情報学部は、経営学、社会学、文学などと同様教養として学ぶ側面が強い。そのため語学力、各種国家資格、公務員試験など、各自で能力を高めることが必要。
【5】情報学部生の口コミ
C++やJavaというプログラミング言語を学び、実施にプログラムを作り計算などを行います。「乗り換え案内」のシステムを作っている研究室があります。また統計学でトップクラスの教授がいます。(成蹊―理工学部情報科学科)
主にC言語を利用したプログラム開発の勉強をする。将来SEとして働くための基礎知識を蓄える。(千葉工業大―情報科学)
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