関東の私立理系で、就職がよい大学を探している方のためのランキングです。2023年8月に発表された最新版です。
就職率や大企業への就職者数を比べて意味はある?
大学選びは、やはり就職率が大事ですよね??
はい。確かにその通りなのですが、もともと理系生の需要は高く、就職率は高い水準で推移しています。2023年4月卒業では98.8%の数値となっています(厚生労働省)。
このなかには、希望通りの就職先ではない学生も多く含まれるため、油断は禁物ですが、就職率の比較には余り意味がなく、希望通りの就職ができたか、就職先の待遇や福利厚生はどうかといった比較が重要です。
ところが、希望通りの就職かどうか、就職先の待遇・福利厚生はどうかといった要素は、データ化が難しい部分です。
確かに、幼いころからある有名企業に憧れていた先輩は、大学入学後、その大学の就職状況を聞き、第1希望は身近な中小企業に変えたと聞きました。
はい。おっしゃるように希望どおりの就職かどうかは、実は比較が困難です。同時に、手当(住宅手当など)や賞与(ボーナス)を含む実際の給与や、実際の残業・休暇の状況などは、把握しきれない部分があります。
そのため、手っ取り早い比較としては、大企業への就職率を比較するのは有効です。
高めの希望順位である可能性が高く、経営体力から、待遇も安定していると言えます。
近年は、IT系を中心にベンチャー企業を選ぶ優秀な学生も多く、必ずしも大企業就職=成功ではありませんが、大企業へ就職可能な大学なら、中小やベンチャーへは入りやすいのも事実で、上位互換と言えます。
以上から、大企業に興味がない方でも、大学は、大企業就職率で選ぶのが有効な作戦です。
関東私立理系 就職が良い大学ランキング
下の表は、「大学通信」が調べた、2023年度卒の大企業(主要400社)への就職ランキングをもとに、関東の私立理系に絞ったデータです。
早慶あるいはMARCHとの比較をされる方が多いため、早慶と明治の数値(ただし文系も含む)も含めました。
2023年 | 主要大企業就職率 | 2022 | 2021 | |
1 | 慶應義塾大(文系含む) | 44.2 | 1 | 1 |
2 | 東京理科大 | 38.7 | 2 | 2 |
3 | 早稲田大(文系含む) | 34 | 3 | 3 |
4 | 芝浦工業大 | 32.8 | 4 | 4 |
5 | 明治大(文系含む) | 26.9 | 5 | 5 |
6 | 東京都市大 | 20 | 6 | 6 |
7 | 東京電機大 | 18.8 | 8 | 7 |
8 | 工学院大 | 18.6 | 7 | 8 |
9 | 千葉工業大 | 12.7 | 10 | 10 |
10 | 埼玉工業大 | 9.4 | 9 | 9 |
就職状況は、ランキング自体は前年と大きく変わりません。しかし、芝浦工業大の数値は伸びており、明大(文系含む)と競り合う位置から、早大(文系含む)に近い位置に躍進しています。同様に、千葉工業大の主要大企業就職率は、8.2%→9.7%→12.7%(過去3年)と伸びが目立ちます。
筆者が千葉工業大の入試担当者とお会いした際にうかがうと、背景には、政府が2023年6月をめどに、ジョブ型の職務給中心の給与体系への移行を促したこともあるようです(日経)。DX(デジタルトランスフォーメーション)領域をはじめ、大企業で理系生需要が高まるなか、ジョブ型賃金の提示で学生に自社のメリットを示しやすくなったと考えられます。
しかし、この影響が数値に表れていない大学も多く、大学独自の取り組みの影響も考えられます。例えば千葉工業大では、近年の入試改革により偏差値に上昇がみられ、質の高い学生が増えたことも影響していそうです。(千葉工業大パンフレット)
なお、MARCHの各大学では、立教・青山学院が明治に近い数値、中央・法政が東京都市大に近い数値です。日東駒専は、数値が8.0を下回る(文理総合)ため、ランキング外となっていました。
・主要400社就職率は、卒業生数-大学院進学者を分母としています(元データ、大学通信)。
・慶應、早稲田、明大は、理系生のデータも含みます。
4工大とは?
理系生は、文系生にも人気のMARCH以外に、4工大を意識する人も多いと聞きますが?
はい。芝浦工業大学、東京都市大学、東京電機大学、工学院大学を4工大と呼ぶことがあります。早慶(理系)と4工大にW合格した場合、早慶を選ぶ生徒が多いですが、4工大は理系専門の大学として業界の高い評価を得ています。
芝浦工業大学
芝浦工業大学は、実践的な工学教育で知られ、特に建築学部が高評価です。豊洲と大宮のキャンパスには最新の施設が整っており、産学連携プロジェクトやコンペティションを通じて実社会の問題に取り組む機会が豊富です。国際交流プログラムも充実しています。
東京都市大学(旧武蔵工業大学)
東京都市大学は、環境工学と都市計画に強みを持つ大学です。特に環境情報学部が日本初で、環境問題への取り組みが特徴です。産学連携が盛んで、企業との共同研究やインターンシップが充実しています。複数の都市型キャンパスで、学生は最先端の研究設備を活用できます。
東京電機大学
東京電機大学は、電気・電子工学を中心とした理工系教育に定評があります。ロボティクスやAI、IoTなどの先端技術の研究が盛んで、実験・実習施設が充実しています。キャンパスは東京都北区と埼玉県鳩山にあり、地域社会と連携した教育を提供しています。
工学院大学
工学院大学は、新宿と八王子にキャンパスを持ち、多様な工学分野を提供しています。建築デザインや情報工学に強みがあり、学生主体のプロジェクトが活発です。ソーラーカーやロボットコンテストなどの実践的な活動が多く、国際的な視野を持つ技術者の育成にも力を入れています。
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