高校地理を学ぶ方のためのページです。NHKの人気旅番組・ブラタモリで取り上げられた単元とブラタモリでの説明が分かります。
筆者 元予備校講師。国家資格キャリアコンサルタント。
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高校の系統地理の単元と、ブラタモリの対照表
高校地理の分類の1つ、「系統地理」で学ぶ単元が取り上げられた、ブラタモリの回を紹介しています。
項目は順次増やしてゆきます。
項目 | キーワード | ページ | 関連のブラタモリ | 備考 |
陸地の分布 | 陸島 | 28 | ブラタモリ銀閣寺 | 銀閣にある花崗岩は日本が陸島の証拠? 当ページに説明あり |
プレートの境界 | 狭まる境界(沈み込み型) | 43 | ブラタモリ天城越え編 | 旅館の内湯に海底火山由来の岩石があるのはなぜ? 当ページに説明あり |
プレートの境界 | 狭まる境界(沈み込み型) | 43 | ブラタモリ秩父編 | 秩父の石灰岩や玄武岩は、プレートの衝突の痕跡? 当ページに説明あり |
プレートの境界 | 狭まる境界(沈み込み型) | 43 | ブラタモリ有馬温泉編 | 大都市近郊で有馬温泉が湧く理由が、狭まる境界? 当ページに説明あり |
プレートの境界 | 狭まる境界(沈み込み型) | 43 | ブラタモリ阿蘇編 | 日本は火山大国。マグマはどこからやってくる? 当ページに説明あり |
地質時代区分 | 54 | ブラタモリ甲府盆地編 | 甲府盆地のもとは約1900万年前(新生代)。大陸とつながっていた日本列島は東西に引っ張られ? | |
新期造山帯 | 62 | ブラタモリ深海 | 日本の「深海6500」がインド洋の海底下で採取した砂は、ヒマラヤの砂? | |
褶曲運動 | 褶曲 | 64 | ブラタモリ三英傑 | 豊臣秀吉は、岐阜城で褶曲の地層を楽しんでいた? |
日本にはなぜ火山が多い?|陸地と海洋の分布|地形学p43
1度は見てみたかった阿蘇山にやってきました! 日本には111もの活火山があります(2022年5月現在、気象庁)。なぜ日本には、火山が多いのでしょうか?
(ブラタモリ阿蘇編)
火山と言えば、高温で真っ赤なマグマが関わっていると思うのですが、地面の奥深くにはマグマがあるのでしょうか?
私たちの脚元は「地殻」と呼ばれ、その下にマントルがあり、地球の中心は核です。地球は、ゆで卵のような構造をしています(黄身が核、白身がマントル、殻が地殻)。
生卵ではなくゆで卵としたのは、マントルは個体だからです。では、火山のもととなるマグマは、どこから生まれるのでしょうか?
大陸プレートや海洋プレートは、長い時間かけて動いており、日本の南西側では海洋プレートが、大陸プレートに沈み込んでいます。このとき、海水を巻き込むため、マントルに水が加わります。
マントルの主成分はかんらん岩で、水と化学反応を起こし、沸騰しやすくなります(沸点が下がる)。こうしてドロドロのマグマが誕生し、火山につながっていたのです。
- 地殻 …もちろん固体
- マントル …固体
- マグマ …液体(マントルが溶けた部分)
阿蘇山では過去4度の噴火があり、地下にあった大量のマグマが地上に放出されました。地下に大きな空間ができ、陥没が起きて、阿蘇地方に巨大なカルデラが形成されたと考えられています。
阿蘇山は、巨大なカルデラ(東西18km、南北25km)に、約5万人もの人が暮らす、世界でも珍しい場所です。
活火山は阿蘇山だけではありません。日本列島の南西には、海洋プレートの沈み込みが長く横たわり、多くのマグマが発生し、火山列を作ってきました。
日本に火山が多い理由が理解できたでしょうか?
関連 火山フロント …火山列のなかでもっとも海側にあるものを線で結んだもの。
おすすめ参考書 該当項目の掲載ページp43
プレートがぶつかる「狭まる境界」とは!?|陸地と海洋の分布|地形学p37
神戸から約30分の場所にある、有馬温泉にやってきました。早速なんですが、なぜ大都市近郊で火山がないのに温泉が湧くのでしょうか?
有馬温泉のお湯は赤く、鉄分が含まれているのですが、ほかに塩分が含まれています。この塩分がどこからやって来たのかが、ヒントになります。
海水が元になっている?という推理は正しいのですが、有馬温泉のお湯は、600万年前にできたお湯と計算されます。どういうことなのでしょうか?
有馬温泉のお湯は、海洋プレート(海洋地殻+マントルの上部)が大陸プレートにぶつかり、重い海洋プレートが沈み込んだことに端を発します。
このとき、海水が巻き込まれ、マントルの高温部に触れて誕生したのが、有馬温泉です。そのため、有馬温泉は、塩分を含んでいます。
(有馬温泉は、マグマや火山とは無関係に湧いた温泉です)
地球上には、約15枚のプレートがあり、相互に移動しています。プレートとは、地殻(大陸地殻または海洋地殻)とマントルの上部をあわせたものです。
プレートには、お皿という意味がありますので、地球上は15枚のお皿で覆われているとイメージすると良いかもしれません。
お皿の部分が熱いマントルで、肉の部分が大陸地殻、魚(いくら)の部分が海洋地殻だと考えると、覚えやすいでしょう。
プレート同士がぶつかるところを「狭まる境界」と呼び、衝突型と沈み込み型があります。同じ重さのプレートがぶつかると、互いに譲らず、まんなかが盛り上がります。
衝突型の代表例が、ヒマラヤ山脈(写真)とアルプス山脈です。
日本列島の東の沿岸には、太平洋プレートやフィリピン海プレートの沈み込みが多く見られます。
有馬温泉が湧く仕組みと、海洋プレートの沈み込みが理解できたでしょうか?
おすすめ参考書 該当項目の掲載ページp37
日本は「陸島」で、大陸の岩があるとは?|陸地と海洋の分布|地形学p28
暖かい気候で知られる、瀬戸内海の小豆島にやってきました。ここは、大天狗岩。重さは実に1700トンもあるそうです!
調べてみると、小豆島には、このような花崗岩の巨石が多く見られます。(ブラタモリ小豆島編)
花崗岩は、水晶の成分が多いマグマが、地下深くで冷え固まった深成岩です。日本では、中央構造線より北側に、花崗岩がよく見られます。
※水晶 …石英の中でも無色透明なもの
花崗岩
花崗岩は、真っ赤なマグマが元ですが、おもに白っぽい色をしています。墓石や建造物によく使われますが、銀閣の砂も花崗岩が風化したものです。(ブラタモリ銀閣寺)
さて、花崗岩は、もともと大陸に多い岩石。日本は、地形学では「陸島」(陸地に起源をもつ島)に分類されるのです。
陸島と洋島には、どのような違いがあるのでしょうか?
陸島と洋島の区別は、成り立ち、いいかえれば起源を考えます。
陸島は、日本列島、カリマンタン島、グレートブリテン島、台湾島などが代表例です。大陸棚から発達したもので、陸地に起源を持つ島です。
そのため、地質構造などが、沿岸の大陸と似ていることが特徴です。
陸島の特徴と、日本が陸島であることを示す、ある岩石について理解できましたか?
ブラタモリ小豆島編 …小豆島の大天狗岩
ブラタモリ日本の温泉スペシャル …三朝温泉の放射能泉(ラジウム温泉)を生む岩石
関連 洋島 …大洋底からそびえ立つ島で、そのほとんどが火山島か珊瑚礁島となる。
おすすめ参考書 該当項目の掲載ページp27
プレートテクニクスとは?|陸地と海洋の分布|地形学p36
海のレジャーで知られる、静岡県の伊豆半島にやってきました……。海はどこに?
調べてみると、伊豆半島は約2000万年前、遠く南洋の海底火山群でした。約60万年前、フィリピン海プレートごと北上し、日本に衝突し伊豆半島になったのです。
写真は、かつては活発に活動していた天城山です。
天城山のふもと(といっても結構離れています)には、石をくり抜いて作った露天風呂があります。重さは何と53トン!(ブラタモリ天城越え編)
ハンマーで軽く叩くと岩は硬く、溶岩性の安山岩だと分かります。活発に活動していた時期の天城山から、転がり落ちてきた巨石だったのです。
海底火山や火山島を乗せて、まるでベルトコンベヤーのような働きをしたのが、日本のすぐ南にあるフィリピン海プレートです。
同様に、世界中の大陸は、その位置を移動させてきました。今後も大陸は移動し続け、500万年後の日本は、ふたたびユーラシア大陸の一部になってしまうと予測されています!
大陸が移動している仮説を提唱したのは、ドイツのA・ウェゲナー氏。しかし、その原動力を説明できず、最初は誰からも相手にされませんでした。
大陸は、どのように移動したのでしょうか? その答えは、おおよそ地下100kmからより深い部分を占めるマントルです。マントルは個体ですが、地球内部の高温に影響され、少しずつ動いていたのです。
私たちの足元は、地殻、マントルの順に構成されています(プレートとは、地殻とマントルの上部を合わせた呼び名)。マントルが対流することで、プレートも移動し続けているのです。
伊豆半島がはるか南洋からやってきて、日本に衝突した仕組みが理解できましたか?
ブラタモリ天城越え編 …天城山が火山だったころ、噴火で転がってきた安山岩を使った、露天風呂が紹介されている。
関連 プレート …地殻やマントルから独立してプレートが存在する訳ではなく、地殻とマントルの上部をあわせて指す。
関連 プレートの分類 …大陸地殻が乗っている部分を大陸プレートと呼び、海洋地殻が乗っている部分を海洋プレートと呼ぶ。
おすすめ参考書 該当項目の掲載ページp34
海洋プレートは何でできてるの?|陸地と海洋の分布|地形学p36
埼玉県秩父にある、石龍山・橋立堂にやってきました。高さ65mの崖の上の方は、はるか南からプレートに乗ってやってきた石灰岩と聞いたのですが、下の黒っぽい岩は何なのでしょう??
(ブラタモリ秩父編)
秩父はセメントの産地。原料となる石灰岩は、サンゴ礁からできていますので、はるか南からプレートに乗ってやって来たことは、聞いたのですが……。
調べてみると、玄武岩でした。水晶の成分が少なく黒っぽいのが特徴で、海洋プレートに多いそうです。秩父の玄武岩は、海底火山の活動により生成したものです。
- 大陸プレート …大陸地殻とマントルの上部を合わせて呼ぶ。花崗岩などで構成され軽い。
- 海洋プレート …海洋地殻とマントルの上部を合わせて呼ぶ。玄武岩などで構成され重い。
※白っぽい花崗岩、黒っぽい玄武岩を、対比すると覚えやすいです。
秩父の玄武岩は、南洋の海底火山の活動で生まれた火山岩(玄武岩)が、プレートの動きとともに、日本にやってきたのです。
海洋プレートを作る主な物質は理解できたでしょうか?
ブラタモリ秩父編 …はるか南からプレートに乗ってやって来た石灰岩(セメントやコンクリートの原料)のほかに、玄武岩も紹介されている。
関連 マントルの成分は? …地殻の下にあるのがマントル。非常に高温ですが、圧力の関係で個体となっています。主成分は、かんらん岩です。
(注)プレートとは、地殻とマントルの上部を合わせた呼び方。
おすすめ参考書 該当項目の掲載ページp36
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