高校生のための、大学・短大・専門学校・就職受験用の、自己PR(自己アピール)文の書き方・書き出しをわかりやすく説明します。また、400字、600字、800字の自己PRの例文も掲載しました。
自己PR(自己アピール)は、「長所・資格・活動での実績」と「生かし方」を書くもの
そもそも自己PRって、どういう意味なんですか? いろいろな説明を見ても、すごくあいまいで分かりにくいです。
はい。自己PRは、長所を伝えるものだと思っている人もいますが、それは正しくありません。
大学・短大・専門学校や、高卒就職の提出書類や作文では、長所(個性)だけでなく、資格、活動での実績(部活動、係、委員会、生徒会、勉強、探究、地域活動、ボランティア、留学、趣味など)を書いても構いません。
例 | 進学後の生かし方の例 | |
個性(長所) | ・協調性 ・何かを調査し文書や図にまとめ上げるのが得意 | ・勉学や、ゼミ、研究室で生かす。 ・職場のコミュニケーションで生かす |
資格 | ・英検2級 ・全商簿記検定2級 | ・上位の資格を狙う ・身につけた勉強法を生かす |
活動での実績 | ・部活動の部長 ・野球部で県ベスト16 ・サッカー部を3年間続けた ・苦手な数学を評定4まで上げた | ・ゼミ、研究室、職場でリーダーシップを発揮したい ・身につけた継続する力を勉学や仕事に生かす |
なるほど! 自己PRは明るいことです!だけじゃなく、「苦手な数学の成績を5位まで上げました!」みたいなのでもOKなのですね?
はい。その通りです。個性(長所)だけでなく、資格や活動での実績など、高校生活で自慢できること全般(活動実績)も対象となります。
また、PRは、パブリックリレーションズ(Public Relations)の略です。Relations(関係)という文字があるように、受験生だけの話ではなく、進学先との関係(進学後の生かし方)も書くべきものです。
なお、「明るい」「協調性」「根性」といった短い定番の長所だけではなく、「調査し、文書や図式まとめ上げるのが得意」「人の話を傾聴するのが得意」など、少し長い言葉(「個性」に分類されることが多い)としても良く、ほかの受験生に差をつけることにつながります。
まとめ
Q 自己PRは、インパクトのある書き出しにすると有利ですか?
A いいえ。自己PRは、作文ではなく正式な書面ですので、奇をてらわずに、正面から勝負することが大切です。
〇 私のPRしたい点は、持ち前の明るさです。
× 「がんばれー」私の大きな声が、体育館に響き渡る。今日はバスケットボール部の試合だ。
自己PRの構成と書き出し
自己PRは、どういうふうに書き出せばよいのでしょうか?
はい。あらゆる文章は、要点‐詳しく‐要点の流れとなります。そのため、冒頭(第①段落)は、「私がPRしたい点は、~です」の書き出しが定番です。
第②段落は「私は~」「この資格は~(要点で述べたことの説明)から入るとよいでしょう。第③段落は、「進学後は~」「入社後は~」といった表現が定番です。
- 大学短大 …600~800字のことが多く、4段落構成がおすすめです。
- 専門学校 …紙半分(400字程度)のことが多く、②③だけの2段落構成がおすすめです。
- 高卒就職 …作文として出題された場合、600~800字なら4段落、400字なら②③だけの2段落構成がおすすめです。なお、履歴書には自己PR欄がないため、志望動機欄の最後に「持ち前の協調性を生かし」のように、押し込んでおくことが定番です。
おもに大学・短大を受験する場合、600~800字、あるいは白い紙1枚(20行程度=800字前後)のことが多く、4段落構成がおすすめです。
自己PRの例文(600~800字、400字、面接用)
自己PRの例文を見たいのですが?
はい。最初に大学や短大でよく見られる600~800字の例文です。自由用紙の場合、縦1枚程度です。
自己PR 600~800字の例文
① 私がPRしたい点は、様々な人と分け隔てなく話せることです。
② 私は、中学時代はとても引っ込み思案で、家族や親しい友人と話すのが精一杯でした。しかし、高校で入部したバレーボール部は、部員80人を抱え、先輩から仲間まで、日々多くの人との会話が必要です。そのため、最初は気苦労を感じてしまいました。しかし、相談した顧問から、面白い話をしたり無理に話を合わせたりする必要はなく、誰にでも興味を持ち、真剣に話を聞く姿勢が重要だと教わりました。それを実践した結果、徐々にコミュニケーションに自信がついてきました。高校2年に上がると、勉強面では「総合的な探究の時間」の調べ学習が始まりました。私のグループは、住んでいる地域の過疎化について調べました。私は地域の人にインタビューをする係となり、初対面の人や年齢が高い人とも、部活動での経験を生かし、比較的スムーズに話すことができました。
③ 進学後は、様々な高校から集まった仲間とともに、地域経済学を学びます。私は、この長所を生かし、仲間やフィールドワークでの調査対象の地域の人々と良好な関係を築き、多様な意見を聞き取れるよう努力したいです。このことは、貴学のパンフレットにある、「協働性を生かし学ぶ姿勢」というアドミッションポリシーにも合致すると考えます。
④ 以上が私がPRしたい点です。進学後は長所を生かし、精一杯勉学に励むつもりです。
(583字)
自己PRが400字、あるいは白い紙半分(10行=約400字)程度なら、2段落構成がおすすめです。大学・短大にもこのパターンがありますが、専門学校のエントリーシートや自己PR書でよく見られます。
自己PR 400字の例文
私がPRしたい点は、持ち前の明るさと、部活動で磨いた根性です。私は高校3年間、チアリーディング部に所属していました。所属80人と人数が多い部であり、「第19回関東チアリーディング選手権大会」でトーナメント出場を果たした、明るさと厳しさを兼ね備えた部です。元気な挨拶やお礼の言葉など、常に礼節を伴った明るさを求められました。また、朝練習、夕方以降の自主練習に加え、夏休みの練習がほぼ毎日あり、日頃から厳しい練習が課されるなか、根性を育てることができました。
美容専門学校は、わずか2年間で国家資格を目指すため、実習は大変厳しいと聞いています。また、美容師は、密接なコミュニケーションを伴う接客業であるだけでなく、厳しい仕事環境が特徴です。持ち前の明るさと、部活動で磨いた根性は、進学後はもちろん、美容室に就職したあとも、生かせると考えています。(371字)
面接用に自己PRの原稿を作る場合、1分弱程度の発表時間となる、300字前後がおすすめです。上の例文を少し短くした形になります。ただし、丸暗記すると当日全部飛んでしまうことがあり、キーワードを暗記しておきましょう。
自己PR(面接用のキーワードメモ)
・PR点=明るさ、根性
・チアリーディング部の紹介
・美容学校の様子(厳しい、コミュニケーション)
・まとめ(持ち前の明るさ、根性)
上は個性(長所)を軸とした自己PRでしたが、資格や活動上の実績を軸に展開したPR文の例はありますでしょうか?
以下に掲載しました。
自己PR 600~800字の例文
私は、工業高校の情報技術科に在籍しています。私がPRしたいことは、情報技術科で取得したITパスポートです。
この資格は、情報技術に携わるための基礎的な知識を身につける試験です。コンピュータや通信の知識が問われる資格だと考えていましたが、初めて過去問題集を見たところ、ストラテジ系、マネジメント系と呼ばれる、経営や企業内の各種管理に関する知識も問われ、耳慣れない言葉ばかりでした。合格には自信がありませんでしたが、高校の先生から、具体的な勉強法や、高校の先輩の実例を聞き、土日を中心に勉強を積み、遂に合格することができました。ITパスポートに合格したことで、資格全般の対策方法が身に付き、勉強面で自信を持つことができました。
貴学(貴校)に進学後は、この経験や得た知識を生かし、まずは基本情報技術者試験に合格し、現在興味を持っている機械学習やディープラーニングに生かせる、プログラマー関連の資格にも挑戦してみたいです。また、貴学(貴校)のオープンキャンパスで、機械学習をマスターするのは、高度な数学が必要だと聞きました。ITパスポートの取得を通じ、勉強面で自信がついたことも大きく、苦手意識があった、高度な数学にも挑戦してゆきたいと考えています。
以上が私がPRしたい点です。進学後は、目標に向け、精一杯努力してゆきます。(552字)
自己PR 600~800字の例文
私は、3年間野球部のマネージャーを続けてきました。私がPRしたいことは、マネージャーとして得た様々な経験です。
私は、中学時代にソフトボール部を経験しましたが、高校に同部はなく、1学年時の担任から野球部のマネージャーを勧められ、入部しました。当初は、練習の準備や片付け、部室の管理など、お手伝いのような仕事や、試合での応援やスコアブックの記入を想像していました。しかし実際には、部員の心身面の健康への気遣いや部費の管理など、任務の幅が広く、初めてのことばかりで戸惑いました。しかし顧問や部長、副部長、部員の支えもあり、徐々によいやり方を学び、ここで得たものは大きかったです。特に、練習や試合に向けた段取りや、気遣いの言葉のかけ方を学ぶことができました。
御社は、食品製造を主な業務とし、工場から運送、実店舗まで、様々な部署を経験できると聞いています。仕事のことはパンフレットを熟読したのみで、まだ十分にはわかりませんが、どのような部署であっても、段取りや同僚や上司、お客への気遣いは重要なのではないかと想像します。就職後は、まずは指示された仕事をこなすことで精一杯だと思いますが、早く慣れ、段取りや気遣いの経験をうまく発揮できればと考えています。
以上が私がPRしたい点です。就社後は、目標に向け、精一杯努力してゆきます。(558字)
自己PRは、活動報告書とかぶらないように!
自己PR書と活動報告書を書いていたら、両方とも部活動の話が出てきて、似てしまったのですが💦
はい。活動報告書は、活動そのものを説明する書類。自己PRは、長所・資格・活動実績とその生かし方を説明する書類です。
高校時代に力を入れた活動が多い方は、活動報告書と自己PRの内容を分けます。
- 活動報告書 …総合的な探究の時間など、勉強をメインに書く。
- 自己PR …エピソードには部活動を使う。
高校時代に力を入れた活動が1つしかない場合は、活動報告書=活動そのもの、自己PR=長所・資格・活動実績、生かし方、というテーマを強く意識して書きます。
- 活動報告書 …部活動の規模や厳しさ、大会実績、練習の様子、苦労、工夫などについて書く。
- 自己PR …部活動を通じて得た、協調性、リーダーシップ、根性などの長所とその生かし方を書く。
面接でも、「高校時代に頑張ったこと」「自己PR」の重複に注意
面接の「自己PR」と「高校時代に頑張ったこと」なんですが、両方とも部活動の話が出てきて、似てしまったのですが💦
「高校時代に頑張ったこと」は、活動そのものの説明を求める質問。自己PRは、長所・資格・活動実績とその生かし方の説明を求める質問です。
高校時代に力を入れた活動が多い方は、「高校時代に頑張ったこと」と「自己PR」の内容を分けます。
- 活動報告書 …総合的な探究の時間など、勉強をメインに書く。
- 自己PR …エピソードには部活動を使う。
高校時代に力を入れた活動が1つしかない場合は、活動報告書=活動そのもの、自己PR=長所・資格・活動実績、生かし方、というテーマを強く意識して書きます。
- 活動報告書 …部活動の規模や厳しさ、大会実績、練習の様子、苦労、工夫などについて書く。
- 自己PR …部活動を通じて得た、協調性、リーダーシップ、根性などの長所とその生かし方を書く。
自己PRで、2つPRしたいときは、内容が散らからないように注意
自己PRの字数がなかなか埋まらないときは、PR点を2つ書けばよいと聞きましたが?
はい。一理あるのですが、PR点が2つなら、それを証明するエピソードも2つ、合計4要素になり、読みづらくなる面もあります。下の構成がおすすめです。
私がPRしたい点は、演劇部の部長経験から得たコミュニケーション力と、手先が器用という長所です。
私の高校の演劇部は、部員が40名以上います。そのため、部員の個性が豊かで、活動に対する考え方もさまざまです。私は、2年生の2学期から部長を務めることになりましたが、活動スケジュールや公演内容の調整に苦労しました。このとき、私は自分で判断する前に、部員全員の意見を、丁寧に聞くように努力しました。個々の意見を忘れてしまわないように、スマートフォンのメモ帳に記録し、丁寧に意見を集約しました。この姿勢を多くの部員が評価してくれたことで、上手く譲歩を引き出せたように感じます。また、苦手意識があった部員の性格も理解でき、コミュニケーション力が育ったと感じました。この能力は、グループ学習や幼稚園での実習など、進学後の勉強はもちろんのこと、将来幼稚園教諭になった後も生かせると思います。保育士は、児童の面倒を見るだけでなく、同僚の幼稚園教諭、園長、保護者とのコミュニケーションが重要と聞いているからです。
また、手先が器用という点も、ぜひPRしたい点です。私は、小学校低学年から母親の影響で刺繍を始め、高学年では、地域の作品展に参加し、努力賞を得たこともあります。お菓子作りは中学生の頃から始め、最近は和菓子の繊細な飾り付けにも慣れてきました。幼稚園教諭は、季節の遊びや行事で、細かな工作をする機会が多いと思います。そのような機会に、手先の器用さを生かしてゆきたいです。
以上2つが、私のPRしたい点です。コミュニケーション力や手先の器用さを生かし、充実した短大生活を送り、優れた幼稚園教諭を目指したいです。(695字)
コメント
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