
大学の情報学系統や経営情報学部を受験する方のために、情報系の志望理由書の例文と、書き方のコツを分かりやすく説明いたします。
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どの情報系かによって、志望理由書も異なる!
2022.11.1改訂

「情報」とは、データという箱に入った中身のことです。
LINEで届くメッセージも情報の1つですし、動画というデータから読み取れる内容も情報、雑誌では文字データからなる情報を受け取ることができます。
理系に属する情報学では、おもにデータのやり取りの技術を学び、文系に属する情報学では、内容の分析や活用法を学びます。例えば、経営情報学は文系に属しますので、売り上げや顧客・消費者の趣向といったデータの「内容面」に注目します。

例えば、お店にはキャッシュレス決済を通じて様々な情報が蓄積しています。
スマホの電子マネーの残高を読み取り、データセンターとやり取りし、残高の処理やポイントの付与を行う技術は、理系の情報学で研究します。
お客ごとのデータの内容面の活用法は、文系の経営情報学などで扱います。
情報系学部(文系)の志望理由書の生徒例文

見て! 経営学部の志望理由書が書けました!

私が貴学ネットワーク情報学部を志望した理由は2つあります。
私は高校で3年間様々な物事を学びました。その中でも特に興味、関心が強くあり、学んでいてとても苦にならないものが情報に関する教科でした。私たちが常日頃利用しているコンピューターやインターネットの仕組みを学び、数学を用いてコンピューターの住所とも言えるIPアドレスの有効範囲を算出するなど、様々なことを学びました。進路指導の先生に、ここよりも高度なIT技術を学べる大学がないかと相談したところ、貴学が最先端の技術を学べる所だと勧められ、オープンキャンパスに参加し、学部用に300台のPCや機材が準備され、学生が1年間かけてプロジェクトに取り組んでいるところに興味が湧きました。
次に貴学にはデータサイエンスというコースがあり、数学や情報数理をしっかり学ぶことができ、将来は企業のほかにも、数学・情報の教員への道も開かれていることに魅力を感じました。
以上の理由から私は貴学ネットワーク情報学部を志望します。入学後はデータや情報のプロフェッショナルを目指し、全力で勉学に励みます。(467字)
きっかけが具体的で、勉強熱心さや適性(向いていること)がよく伝わる志望理由書です! 大学の特色や学びたいことについても、触れられています。
良い点
- 高校での学習内容が具体的で、学習意欲が伝わります。
- ほかの大学にない点に、触れられています。
改善すべき点
- 志望した理由は2つあります … 2つの内容がはっきりしないため、全体を要約した内容に変えます
- 学んでいてとても苦にならないもの … 不自然な日本語です
- 高校の先生が勧めてくれた理由(最先端の技術を学べる所)が、ややあいまいです。コンパクトにまとめるか、詳しい内容を思い出して書きます。
- 大学で学ぶ内容や、プロジェクトと呼ばれるものの内容が、ややあいまいです。
志望理由書の段落構成

志望理由書の段落構成の目安は、上のようになります。詳しくは、次の記事に説明があります。
志望理由書(情報学部)は、項目別に確認するのがコツ
上の志望理由書を項目別に整理してみましょう。
専修大学ネットワーク情報学部の志望理由
分類 | 項目 | |
学部志望理由 | きっかけ | ・高校の情報に関する教科 ・高校の先生のすすめ |
学びたいこと(おおまか) | ||
将来像 | ・データや情報のプロフェッショナル | |
適性(向いている理由) →【2020年度新入試以降】高校での取り組みとの一貫性 | ・高校の情報に関する教科 は、学んでいて苦にならない | |
大学志望理由 | ①学びたいこと(具体的に) | ・数学や情報数理を踏まえて、データや情報の処理を学ぶ |
②ほかの大学にはないもの | ・学部用に300台のPCや機材が準備されている。 ・学生が1年間かけてプロジェクトに取り組んでいる。 |
全体にバランスよく埋まっていますが、表にしてみると、太字部分がやや具体性に欠くようです。より具体的に直すと良いです。
志望理由書(情報学部)の例文

例文を直しました!
私が貴学ネットワーク情報学部を志望した理由は、高校で情報に関する教科に興味を持ち、貴学について調べ、さまざまな魅力に気づいたからです。
私は高校で3年間様々な物事を学びました。その中でも特に興味、関心が強くあり、学んでいて全く苦にならないものが情報に関する教科でした。私たちが常日頃利用しているコンピュータやインターネットの仕組みを学び、数学を用いてコンピュータの住所とも言えるIPアドレスの有効範囲を算出するなど、さまざまなことを学びました。進路指導の先生の勧めで、貴学のオープンキャンパスに参加したところ、300台ものPCや機材が学部用に準備され、学生が1年間かけてプロジェクトに取り組んでいるところに惹かれました。今後有望な機械学習を学び、データ解析コンペティションへ参加する高野プロジェクトに、特に興味を持ちました。
貴学にはデータサイエンスというコースがあり、情報数学、応⽤確率統計、データ解析、アルゴリズムといった数学や情報数理をしっかり学ぶことができます。将来はIT系企業のほかにも、数学・情報の教員への道も開かれていることに魅力を感じました。
以上の理由から私は貴学ネットワーク情報学部を志望します。入学後はデータや情報のプロフェッショナルを目指し、全力で勉学に励みます。(500字)
ずいぶん良くなりました。学びたいことが明確になり、志望大学にしかないものもはっきりとしてきました。
まとめ【情報学部】志望理由書の例文と書き方のコツ

以上、【情報学部】志望理由書の例文と書き方のコツでした。
情報学部は、人工知能や機械学習との関連性もあり、今後の伸びが強く期待できる学部です。同時にこれらの分野は、高校生活の中でも、スマートフォンやインターネットの操作を通じて、接することが容易となっています。そのため、入試を行う側も、情報学部を志望する高校生には、より踏み込んだ情報収集を期待しています。他の文系学部の希望者と比べ、Google検索などを駆使し、詳しい情報を集めてゆくことが必要です。
コメント
総合型選抜で受験しようと考えています。
①学科の選択理由、②入学後の学修計画、③将来目指している進路について書きます。
①自分の中で他に行きたい学部がなくその学部になったのですがなぜその学科にしたのかと聞かれると答えられなくなってしまいます。
③将来のことについて書けと先生からも言われているのですが特に自分の中で考えてなく、将来のことと関連づけて①を書けと言われてもわからない状況です。
そもそもまだこの段階なのかよと思われるかもしれませんがこの自分から志望理由書を800字どのように書けばいいのでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
大学の場合は、理系なら将来像も多少欲しいですが、まずは「学びたいこと」がはっきりしていることが必須です。進路は、ANさまのように、消去法で選ばれることもあり、そこは気にする必要はありません(ただし、書いたり、面接で言ったりしないこと)。
きっかけは、消去法でも構わないので、いまから志望校の講義、研究室等を調べ、「学びたいこと」を探してみてください。
パンフレットでは概要、講義、研究室、卒業研究の順の掲載が多いかも知れませんが、コツは逆順で見ること。
まずは、「研究室」「卒業研究」の順で調べてみて、イメージがわいて来たら、「講義」「概要」を見ます。
(もしWebオープンキャンパスがあれば、活用します)
分からないことがあったら、高校の情報の先生に相談してみてください。なお、はてな匿名ダイアリーに分からないことを書くと、答えてくれる場合があります(はてなは、エンジニアのユーザーが多いため)。
学びたいことが決まると、学修計画も具体的になり、将来像も見えてきます。
なお、将来像が先にあって学びたいことが決まるというのは、絶対にそう言えるわけはなく、偶然や何かのきっかけで学んでいたら将来像が見えてきたという人も多く、現在のキャリア指導では、基本的な知識になります(キャリアの偶然性、プランド・ハップンスタンス理論と呼ばれます)。そのため、将来像ありきにこだわる必要はなく、まず学びたいことを決めるようにしてください。
(学びたいことを探すのも無理だという場合、それは一般選抜向けです。総合型なら、学びたいことを考えるのは避けられない部分です)