浪人はつらい?たった5つのアドバイス

先が見えない、周りや大学進学の同級生と比較してしまう。様々な理由から浪人生活はつらく感じられます。しかし浪人のメリットと対処法が分かれば、不安は消え目標の実現は可能です。この記事は、予備校講師と大学受験総括責任者の経験者が記述しています。

浪人はつらい?たった5つのアドバイス

 

浪人はつらいよ?

オランジーナ

出典:サントリー「オランジーナ」CM

✔ 様々な背景から浪人は「つらい」と感じる人が多くいます。

・周りの人が進んでいるのに自分は何もできていない。

・センスや才能がないので、1年続けてもどうなる分からず不安で勉強に手がつかない。

・同級生は大学に入りサークル、アルバイト、学業などに取り組み輝いているのに自分は一歩も前に進んでいない。

・負けるはずのないライバルたちが合格し、自分だけが不合格になった屈辱から抜け出せない。

・受験費用が無駄になり予備校の費用もかかり、親に申し訳が立たない。

✔ このような背景から浪人は「つらい」と感じる人がいます。しかし浪人には多くのメリットがあります。

あまり語られない浪人の意外なメリット

浪人のメリットは以下のようなものが挙げられます。

【1】めぐりめぐって高学歴が有利

慶応義塾大

✔ かつての極度の学歴社会への反動から、一定数の企業が学歴不問採用に取り組みました。しかし学歴を伏せて能力で選んでも結果的には有名大学が多数を占めたとの報告もあり、現在は学歴は重要な指標の一つとして落ち着いています。近年はインターネットでエントリーを受け付ける企業が増え、手書きの履歴書時代に比べ応募数が激増。結局大学名で1次審査をする状況が出てきています。浪人をしてワンランク上の大学を目指すメリットは依然非常に強くなっています。

【2】自己管理の訓練として重要な1年

手帳

✔ 高校生と異なり、浪人生は自ら目標を設定し生活の全てを自己管理します。この1年間の経験値は社会的に高い評価を受けますし、将来を変えることになる可能性があります。

【3】現在の人事責任者は浪人を評価する世代が中心

✔ 現在各企業の人事部で権限を持つのは40歳以上が中心です。この40歳以上の年代は受験戦争を経験しています。受験戦争時代は1浪が当たり前。1浪を経て難関大にチャレンジすることこそが求められるバイタリティだという価値観を持っています。現在の高校生のなかでは少数派になった浪人も、世代が変わると180度評価が変わってきます。

【4】大学受験の教科は「カネ」になるものばかり

薬学部 教科書
写真:化学の知識をダイレクトに活用する薬学部の教科書

受験勉強はビジネスと一切関係ないという人もいます。しかし一定の学歴がある人や、学歴がなくても本当にトップクラスに立つ人はそのような考え方は取りません。なぜなら公平で高い視野で見ると、各教科で身につく能力はビジネスに直結しているからです。

✔ 国語 … インターネットの時代になり、文章表現力はビジネスに欠かせないものとなっています。会社員にはもちろんのこと、文章力を武器に独立まで持ち込む若い層も増えています。また読書力は、ビジネスで先手先手を打つために不可欠です。

✔ 数学 … 数学が苦手な場合、ビジネスを価値観やムードで判断することが多くあります。そういったものも重要ですが、数字を意識できることで見えづらいものを見抜いたり、効率よく結果につなぐセンスが身につきます。

✔ 英語 … いうまでもなく就職活動やビジネスに必須です。現在の大学生はほとんどがTOEICと呼ばれる英語テストを受検しています。センター試験英語はTOEICと共通項があります。

✔ 理科 … 物理、化学は高い就職率を誇る工学部での学習に直結します。化学、生物は安定した職業につながりやすい薬学部での学習に直結します。

✔ 地歴公民 … 地歴公民は具体的なものごとから原理や因果関係を導く訓練を延々と繰り返す教科です。例えばコンビニエンスストアのトップであるセブンイレブンの経営陣は、多くの具体的なコンビニ店舗や顧客を観察し、共通する原理を深く洞察することで成功を収めています。

5教科は高校で学ぶことも可能ですが、時間をかけられる浪人生の学習の深さには到底及びません。

【5】失敗してもなおメリット 失うものはゼロ

✔ 例えば現役時にMARCH(関関立、旧帝大以外の国立大)に合格しており、浪人後早慶(同志社、旧帝大)にチャレンジしたものの、失敗し現役時と同じレベルの大学にしか合格できなかったとします。その場合でもなお上に挙げたメリットは変わりません。

・自己管理の訓練として重要な1年

・現在の人事責任者は浪人を評価する世代が中心

・大学受験の教科は「カネ」になるものばかり

【まとめ】あまり語られない浪人の意外なメリット

虹

✔ 大学で同級生より一つ下になってしまうデメリットはありますが、メリットの方が大きいので気にする必要はありません(気になる場合は、友人が多数進学した大学、学部からずらして受験します)。

✔ 以上のようなメリットを理解すれば、浪人のつらさはずいぶん軽減します。「つらい」という気持ちは、意味が理解できず、先行きが見えないとに力を割くことからわいてくる感情でもあるからです。それが理解できるとつらさは軽減します。

✔ 例えば同じようにつらい練習をする野球部であっても、部員が「必ず大会で結果を出せる」と期待している場合と、「1回戦で負けるかもしれない」と不安を感じている場合で、つらさは大きく異なります。

《あまり語られない浪人の意外なメリット》

・めぐりめぐって高学歴が有利
・自己管理の訓練として重要な1年
・現在の人事責任者は浪人を評価する世代が中心
・大学受験の教科は「カネ」になるものばかり
・失敗してもなおメリット 失うものはゼロ

浪人のつらさを軽減する5つのコツ

✔ ここまでは浪人の意外なメリットをお伝えしました。浪人の意味を理解することだけでも、「つらさ」は軽減されます。

✔ この項では具体的に「つらさ」を軽減する5つのコツを説明します。

【1】長時間勉強の「つらさ」を解消する裏ワザ

時計

✔ 高校時代は授業、部活、予備校(塾)などがあり、連続して勉強をする機会は土日や入試直前期が中心だったと思います。浪人生活に入ると、毎日10時間とも12時間とも言われる勉強を1年間継続することが目標になります。これをつらいと感じる人が多くいます。

✔ これには簡単な解決方法があります。勉強を時間でなく内容で管理する方法です。一般的には予備校の授業も含めて10時間なら10時間と目標を立て、時間を測りながら勉強することとなります。しかしこれは「アルバイト型」の学習です。アルバイトは時間で行動するため、あと5時間もある、あと1時間をしのげば終わりだ、というように時間に追われ仕事がつらいと感じることがあります。一方ある程度経験を積んだ会社員は、今日はこれだけの仕事をなるべく早く終わらせて帰宅しようという発想を求められることが大半です。同じ10時間働くとしても、時間に使われる「アルバイト型」よりも自分の意志で時間を使う「正社員型」の方が楽に感じます。

✔ 浪人生の場合、もし1日10時間の勉強が目標ならば朝の段階で10時間分の学習内容を計画します。

(10時間分の学習内容例)

・予備校 英文法講義 1時間半
・予備校 数学講義 1時間半
・英文法講義の復習+類題演習(20問程度) 1時間
・数学講義の解法の暗唱+類題(5問程度) 1時間
・古文助動詞の暗記事項の書き出しと確認 30分
・英語長文過去問1年分 1時間
・英語長文過去問の長文(最終問題だけ)復習と音読 1時間
・数学苦手単元の解法の暗唱1問+類題(5問程度) 1時間半
・英文法問題集の誤答解き直し 30分
・明日の英語長文講義の予習 30分

<合計>10時間

慣れるまで少し手間がかかりますが朝の段階でこのような「To Do List」を完成させておきます。予備校の講義は短縮できませんが、自習時間はなるべく早く終わらせるようにします。例えば1時間を予定している「英文法講義の復習+類題演習(20問程度)」を集中して40分で終わらせた場合、延長せずに次のリスト内容に移ります。

「アルバイト型」の勉強では20分早く終わらせても別の仕事を依頼されるため早く済まそうというモチベーションはわきません。しかし「正社員型」ならば集中して早く終わらせれば終わらせるほど帰宅時間が早まり自分の時間ができるので、スピードが上がり効率が非常に良くなります。浪人を機に、この勉強スタイルに変えることでつらさやストレスは思いのほか軽減します。もし10時間分のリストを9時間でクリアーすることができたなら、1時間は自分の自由な時間とします。

【2】不安から来る「つらさ」を解消するために知っておきたい数字

階段

✔ 浪人がつらいと感じる背景のひとつに先行きへの不安があります。

✔ 勉強、資格、ビジネスなどあらゆるものごとは最初の1000時間を越えることで見える世界が変わると言われています。受験の教科に関しては、予備校講師と大学受験総括責任者を経験した筆者の感覚から言えば「300時間」が苦手脱出のめどになります。その後は100時間ごとにさらに1段ずつ上がっていくことができます。

✔ 不安から深夜まで勉強して「とにかく目一杯やっている」という状況を作り自分を納得させる人がいます。その気持ちは理解できます。しかし頭がフルに回転する6時〜22時ごろの時間帯のなかできっちりと10時間分(余力があれば12時間分)の勉強を着実にこなせば、かならず各教科とも300時間で苦手を脱出し、100時間ごとに見える景色が大きく変わっていきます。いつも不安を感じ、深夜に無理をしたりただ机に向かって単語帳をめくり見かけの勉強時間を伸ばしたりすることはやめ、腰を据えて質の高い勉強時間を重ねていくことが大切です。もしどうしても先行きの不安が消えないのなら、指導歴5年以上の講師に現時点の力と現在の勉強法を相談し、間違いなく伸び受験に間に合うかどうか相談することもおすすめです。

【3】「つらい」と思うことは吐き出すことで軽減される

カップル

✔ 浪人生活を始めてつらいと思うことがあった場合に、相談できる人(浪人生、浪人経験がある先輩、塾の先生など)を持つことはとても大切です。ちょっとしたアドバイスや励ましの言葉が長く支えになることがあります。

✔ もし浪人生の友人や浪人経験者が身近にいない場合は、つらいと思うことや上手くいかないと思うことをブログに書くのがおすすめです。文章にするだけで解決策を思いついたり、意外にたいしたことではないと気づいたりします。

※ブログには個人情報(自分の顔写真、自宅、予備校、利用している駅等が分かる写真や文章)を書くことは絶対に控えます。また浪人仲間を装ってアプローチしてくる人がいる可能性があるので、会うことは絶対に避けます。

【4】体調から来る「つらさ」減らす方法

ネコ

✔ 「つらい」というのは気持ちの問題ですが、心と体は一体化しています。日頃つらいという気持ちを持ちやすい人でも、体調が良い日は前向きな考え方になることがあります。

✔ 体調が悪くなる原因は人それぞれですが、朝型の生活習慣を維持することで体調の悪化を防ぐことができます。朝型の生活習慣の維持には次のようなコツがあります。

・22時で勉強を切り上げ、23時に就寝する。
・朝は6時、遅くとも7時に起き太陽光を浴びるようにする。
・朝食は必ずとる。

✔ 人は太陽光のもとでは後ろ向きの発想をしようと思ってもできないと言われています。朝型にすれば、夜の勉強中に急に不安になり勉強に手がつかなくなることも防げます。

朝型の生活習慣の詳細 ➡浪人生 9つの失敗例を予備校講師が指摘

【5】成功するためのたった1つのカギを知って「つらさ」と決別

ホンダ車

✔ 受験に成功するカギはどこにあるのでしょうか?浪人経験者に聞けば様々な答えが返ってきます。しかし個々の要因を離れて、もっとも根本的な成功要因は次の言葉に象徴されます。

「私は失敗したことがない。なぜなら、成功するまで、あきらめないからだ」

ホンダ自動車の創業者のことばです。筆者は浪人生活を経て早稲田大学に合格しましたが、高3の秋ごろから合格まで1日も休まず12時間程度の受験勉強を続けていました。しかし早大の合格者は2万人前後おり、特段の狭き門だと自慢できるわけではありません。大学受験よりもずっと大変だったのが、会社員を辞めて独立に成功するまでの2年間です。最初の1年はどの仕事も思うような成果は出ません。独立を目指す人の99%が成功などあり得ないと思いあきらめて脱落してゆきます。そのときに支えになったのが上の言葉です。

✔ 飛びぬけた実力や運を持ちスムーズに成功する人はほとんどいません。あらゆる分野の成功者は、成果が出ない期間があっても淡々と努力を続けた人にほかなりません。例えば成功率が5割しかないチャレンジに対し、多くの人がその成功率の低さから諦めてしまいます。しかし確率を計算すると、5回継続してチャレンジすれば97%の確率で1度は成功することが分かります(1-0.5の5乗=0.03)。成功率1%のチェレンジではどうでしょうか?同様に計算すると230回継続してチャレンジすることで1度でも成功する確率は90%に達するのです。過去に大発見をした科学者のほとんどがこの方法で成功をつかんでいます。

✔ 誰でも成功する権利を持っていることを理解してやるべきことを淡々と進めていけば、つらさを感じる時間は少なくなっていくはずです。

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