志賀高原で、早稲田アカデミーの316人(2015年8月)、神奈川県の桐光学園高校の約170人(2016年1月)が盗難被害に。ホテルサニー志賀を舞台とした事件、ついに犯人が逮捕されました。犯人は、誰だったのでしょうか?
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早稲田アカデミー、桐光学園高校 2つの盗難事件とは?
- 1早稲田アカデミーの夏期合宿で盗難2015年8月、中3生・316人の財布やスマホがなくなりました。
- 2内部犯行説もネットでは内部犯行説が出ましたが、当サイトは盗難の可能性が大きいと主張しました。
- 3桐光学園のスキー合宿でも盗難2016年1月、桐光学園高校の生徒約170人の財布やスマホがなくなりました。
- 4ホテル名が報道2回目の事件のため、ホテル名・サニーサイド志賀が報道されました。
- 5犯人を逮捕2016年4月、犯人が逮捕されました。
2015年 早稲田アカデミー夏期合宿の盗難事件
2015年8月8日の、早稲田アカデミー生盗難事件の概要は以下の通りです。
関東の高校受験塾、早稲田アカデミー(早稲アカ)は、熱血タイプの講師がそろい厳しい教育で知られています。
2015年8月、長野県の志賀高原で、大規模な夏期合宿を実施しました。約1万2千人が大型バスを連ねて参加し、高速道路のサービスエリアは、「はちまき」を締めた早稲田アカデミー生で埋まることもありました。うち中3は4174人でした。
2015年8月8日、夏期合宿を実施したホテルのひとつ、ホテルサニー志賀でのできごとです。中3生325人分のスマホと財布を、早稲アカ側が預かり、段ボールに保管していたところ、なくなっていました。
早稲田アカデミーは当初、段ボールを置いた会議室の施錠を忘れたとしていましたが、その後、施錠できないロビーのついたてのかげに置かれていたことが、明らかになりました。紛失に気づいたのは、翌朝でした。
なぜ財布を塾が預かるの?
なぜ財布を塾が預かるのでしょうか? 夏期合宿では、朝から晩まで授業があるため、ホテル内で教室を移動することもあり、財布を落としたり置き忘れたりすることは、十分にあり得ます。
スマホに関しては、塾によっては自己管理させ、授業中はスイッチをオフにするように指示しています。早稲アカが、スマホを預かる形を取ったのは、休み時間も含め、一切スマホは触らせないという意志表示でしょう。厳しい教育で知られる、早稲アカらしいルールです。
段ボールを置いた場所が変わったのはなぜ?
当初、早稲アカは、財布やスマホを段ボール箱に入れ、職員室として使用する会議室に置き施錠するはずが、施錠を失念したと公表していました。その後、ロビー付近のついたてで区切ったスペースでの管理だったと判明しました。
これは、早稲アカ側が嘘をついていたようにも見えますが、スタッフがルールを守らず、自己判断で施錠できない場所に置いたのかも知れません。316人分の財布の中身は、財布代を含め1人5千円だとしても、158万円に相当します。スマホは1台2万円とすると、632万円。合計で790万円の財産です。
なぜ、施錠できない場所に置いてしまったのでしょうか?
それは、学習塾の合宿では、ホテルは通常、貸切となるからです。たとえロビーであっても、出入りするのはホテル関係者と、出入りの納入業者のみ。そのため、気が緩んでしまったと予測されますが、生徒や保護者からの批判は、免れないでしょう。
犯人は誰? あなたはどう思いますか?
- 塾のスタッフ
- 参加していた学生
- 合宿を狙った窃盗団
- ホテルのアルバイト
- 食材の納入業者
ついたてはなかったという指摘も
「ロビー付近のついたてで区切ったスペースで管理」ということで、一応の決着を見ていますが、インターネット上には、次のような意見も投稿されています。
あくまで私の泊まっていたホテルの話ですが、貴重品はホワイトボードで仕切られた中にはありませんでした。普通に段ボール箱に入れられ、台車に乗せて自動ドアのすぐ前に置いてありました。生徒の私たちから見ても、誰でもスッと盗めるところにある思ってましたし、塾の管理不十分だったと思います。
「早稲田アカデミー夏期合宿に参加した中3女子」とする声
もしこの証言が正しいとすれば、「ホテルサニー志賀」の中3合宿以外のホテルでも、管理の不行き届きがあったと予想されます。
ホテル側の管理責任は?
今回の盗難事件で、ホテルの責任を問うのはやや的外れです。
志賀高原では、どのホテルでも、貸切の日は、従業員がフロントに立つことがほとんどなく、玄関付近はフリーパスになりやすい傾向があります。さらに個人経営の旅館・ホテルが多く、観光地ののどかな雰囲気もあり、防犯カメラの設置は遅れています。今回の事件は、その辺りの事情を熟知した犯人に狙われたと予想されます。
当サイトが当初から外部犯行を主張した理由
内部犯行説も出回りましたが、当サイトは初めから早稲アカ以外の犯行を主張しました。そのときの文章を引用しておきます。
早稲アカ生のスマホ・財布を盗んだ犯人は、長野県警中野署が捜査中です。
なかには、生徒や講師を疑う人もいるかも知れませんが、その可能性はかなり低いでしょう。学習塾の特に受験学年は、受験という目標がはっきりしており、他人の財布に手を出すほど気が抜けた生徒はほとんどいません。また、講師は社会人の専任講師にしろ、大学院生などのアルバイト講師にせよ、非常に真面目な人材が多いのが特徴です。生徒や講師が犯人という可能性はごく小さいでしょう。
疑われるのは、合宿を狙ったプロの窃盗犯です。この時期、志賀高原は早稲アカ以外にも、多くの学習塾が合宿を組んでいます。志賀高原はスキーで有名な観光地。夏に訪れる人は少なくなりますが、受験生や大学生の合宿で経営を維持している旅館・ホテルが多くあります。
生徒や講師は、日中は授業に出ているため、客室は空になることが多くなります。生徒を受け入れる場合、一般客は、断る宿舎が大半ですので、昼間は、授業場所以外、ほぼ無人になることが通常です。さらに貸し切り状態であり、また生徒管理の都合からも、客室などにカギをかけさせない塾が多いと思われます。そこを狙っている窃盗(窃盗団)がいても、おかしくありません。
なお、多少は考えられるのが、ホテルのアルバイトの犯行です。正規の従業員と異なり特に、夏季や冬季限定のアルバイトは、身分の審査などは特にありません(大学生やフリーターがメイン)。しかし、志賀高原がアルバイトを使うならおそらく冬季が中心。合宿客がメインの夏季は、宿泊者の行動がワンパターンであり、食事は決まった時間にバイキング形式をとることが多く、意外に人手はかかりません(常駐の調理スタッフで足りる)。もちろんアルバイトを使っている宿舎もあるはずで、ここは何ともいえないところです。
犯人は誰? あなたはどう思いますか?
- 塾のスタッフ … 可能性は低い?
- 参加していた学生 … 可能性は低い?
- 合宿を狙った窃盗団
- ホテルのアルバイト
- 食材の納入業者
家庭への報告が遅かった?
早稲アカの盗難騒ぎでは、保護者への報告の遅れを、問題視する人もいます。
保護者と名乗る方がツイッターで「土曜夕方回収→日曜午前2時の見回りまでは無事→日曜朝7時前発覚→報告が日曜22時」と説明。17時間も遅れたと批判されています。
しかし塾業界では、働く人の大半が講師職。世間が考えているほど、事務職を雇ってはいません。特に合宿地では講師陣が生徒管理など一手に請け負っていきます。朝方に財布やスマホの紛失が判明した8月8日(日)も、授業がびっしり入っていたはずです。
一般企業なら、その日のイベントを中止し対応に当たりますが、受験生を抱えた合宿で、授業を1日中止することは、受験業界の価値観としては許されることではありません。報告が遅れた背景には、授業の進行もあったはずで、必ずしも責められないでしょう。
なお、保護者のツイートが正しいとすると、犯行時間は深夜3時〜6時ごろの可能性が高くなります。学習合宿では、講師の睡眠時間はかなり短く、すべての講師が就寝しているのはこの3時間と思われます。この辺りの事情も、犯人は、経験から熟知していたのでしょう。
どうやって宿舎に忍び込むの?
犯行時間は深夜3時〜6時ごろだとしたら、ホテルの玄関は施錠されていたはずです。犯人は、どのように忍び込んだのでしょうか?
昼間は、玄関が開け放たれ、出入り自由となるのが、団体貸切の志賀高原のホテルですが、深夜は施錠されます。しかし、従業員用の裏口(勝手口)や、スキー板の搬入口など、多少ガードが甘くなる場所もあるはずです。
犯人は誰? あなたはどう思いますか?
塾のスタッフ参加していた学生- 合宿を狙った窃盗団
- ホテルのアルバイト
- 食材の納入業者
盗難への早稲アカ側の補償内容
お子さんを、早稲アカの中3合宿に参加させたという母親のツイートです。
早稲アカ中3受験生帰還。洗濯物の山。 pic.twitter.com/i6k6T9sbf0
— スマホで酔う人 (@33matsuri33) August 12, 2015
盗難にあったスマホや財布については、全額補償のうえ、スマホの機種変更にかかる費用も保障。さらに本来は負担する必要がない、お土産代や、自宅への交通費は、建て替えた分の返還を求めないということです。
お土産は、合宿最終日に、宿への感謝も込めて宿舎内売店で購入することが多いため、財布がなければ買うことができません。この辺りは、生徒や宿舎思いの判断だと思います。
しかしながら、個人情報や、中学生が大切にしている写真の損失に関して、プリントに言及されていない点は、やや気になります。
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2016年 桐光学園高校 スキー合宿の盗難事件
2016年1月8日の、桐光学園高校のスキー合宿での、盗難事件概要は以下の通りです。
2016年1月8日、スキー合宿のため志賀高原に宿泊していた、川崎市の桐光学園高校の生徒約170人分の財布やスマホが、まとめて盗まれました。ホテル名「ホテルサニー志賀」が公表されました(早稲田アカデミーの盗難事件と同じ宿舎と報道)。ホテル側が施錠した事務所で預かっていながら紛失した、財布やスマホの被害額は、389万円でした(うち現金は101万円)。
財布やスマホは、ホテル側が事務所で預かっていた(日本テレビ)、教員が袋にまとめて二重に施錠した保管庫に入れて管理していた(中日新聞)など情報が錯綜しました。その後の確定した報道は以下の通りでした。
生徒の財布やスマホは、ホテル側が事務所で預かっていた。ホテル社長が1月7日の23時半ごろ確認したさいは異状がなく、1月8日朝7時半ごろになくなっているのに気づいた(深夜の犯行)。2重に施錠した保管庫というのは誤報で、事務所内の段ボール箱に保管していた。
ホテル側は、2015年の早稲アカの盗難事件を踏まえて、高校側とも打ち合わせし、鍵付きの事務所へ保管し、出入り口に防犯カメラも設置したが、防ぐことはできなかった(2015年は、誰でも立ち入ることがロビーの一角に置いてあり、早稲田アカデミーの責任も大きいとされます)。
夜間は、出入り口2カ所が施錠され、フロントはシャッターが閉まる万全の態勢でした。桐光学園もこの警備態勢を下見の上、利用を決断しています。ホテルや高校の責任を問うことは、難しいでしょう。
犯人は誰? あなたはどう思いますか?
塾のスタッフ…鍵を開ける技術がない参加していた学生…鍵を開ける技術がない- 合宿を狙った窃盗団
- ホテルのアルバイト
食材の納入業者…鍵を開ける技術がない
早稲田アカデミーの盗難事件との相違点
早稲田アカデミーの盗難のさい、当サイトは、合宿を狙った窃盗犯の可能性が高く、アルバイトの可能性も少しあると考えました。
早稲田アカデミーの盗難事件では、貴重品をロビー付近のついたてで区切ったスペースで管理していたとのことで、明らかに塾側に責任がありました。
しかし、桐光学園の盗難事件では、ホテル側が施錠された事務所内に保管していました。合い鍵を含めた3本の鍵は、いずれも紛失していないことが確認されています。しかし「気付いた時には(事務所は)施錠されていた」(ホテル側弁護士)と事件直後に報道されました。合い鍵が作られていた可能性がありそうです。
昨年早稲田アカデミーの学習塾が大量のスマホが盗難にあったホテルで今度はスキー合宿で訪れていた高校生の貴重品が大量に盗難にあう。このホテルは昨年の教訓が全く活かされていない!杜撰過ぎて企業のコンプライアンスが疑われる!
インターネットでは、ホテルに対する批判が数多く起きています(上はその一例)。昨年の管理方法(ロビー付近に置いてあった)に比べると、相当の改善が見られます。教訓が全く活かされてないは言い過ぎとなるでしょう。
2016年4月、ホテルの元アルバイトが逮捕されました。
コメント
名無しの(´・ω・`)様
「ホテルを批判するのは現状では控えるべきだと考えられます」というのは個人的な意見に過ぎません。批判されるのは当然というのはもっともだと思います。
ただホテル側がカギ2カ所+シャッターを設置したことは信濃毎日など一部でしか報じられていません。志賀高原でフロントにシャッターがある宿舎は珍しい部類に入ります。
ホテルサニー志賀は「ご迷惑をお掛け致しましたこと、深くおわび申し上げます」とコメントしていますがこれも信濃毎日など一部でしか報じられていません。
志賀高原に実際に訪れると、防犯カメラなどはほとんど見かけません。東京のホテルで同様の事件が起きれば厳しく批判されて当然ですが、志賀高原には志賀高原の習慣というものがあり、サニー志賀はそのなかでは対策は練っている方です。
やはりもっとも批判されるのべきは犯人であると思います。
※ご意見を反映し表現を改めました。
初稿「ホテルを批判するのは現状では控えるべきだと考えられます」
訂正後「ホテルを批判するのは状況を把握してからにすべきだと個人的には考えるところです」
経緯はともかく結果として盗難が発生したのだから、批判されるのは当然だろ。
謝罪もしてないし。