「Q 600字の小論文の例文や段落構成の仕方を教えてください」の質問に、高校で小論文を教えている講師(予備校講師経験者)が、例文や構成、書き出し、テンプレートをわかりやすく解説をします。
Q 600字の小論文の例文や段落構成の仕方を教えてください
A はい。4段落構成がおすすめです。第1段落には「課題(テーマ)と結論」を書きます。もし、死刑制度について意見を書きなさいという設問なら、「わが国で死刑制度は今後も認めてゆくべきだろうか。私は反対だ。」のように書きます。2・3段落目には、根拠を書きます。4段落目は結論の再確認です。
入試では「子どもの遊びについて自由に論じなさい」といった、賛否を問わない出題も目立ちます。この場合、1段落目に課題(スマホのゲームや動画で遊ぶ時間が多過ぎる等)、2段落目に原因、3段落目に解決策、4段落目にまとめを書くとうまくゆきます。
小論文構成の基本は、要点→くわしく→要点!
文章は、小論文や志望理由書、作文など基本はすべて同じ。ジャンルを問わず、要点→くわしく→要点の順です。要点とは、テーマ(課題)と結論、または結論のみを指します。
600字の小論文なら、要点→くわしく→くわしく→要点の4段落構成!
600字の小論文なら、要点→くわしく→くわしく→要点の4段落がおすすめです。初めの要点には、課題(テーマ)と結論を書きます。出題によっては、課題のみを書く場合があります。
課題(テーマ)を確認し結論
(例)わが国で死刑制度は今後も認めてゆくべきだろうか。私は反対だ。
疑問形(~だろうか)を使うと便利です。
出題によっては課題だけ書く
(例)私の住む地域の課題は、少子高齢化である。
例文/例題1 わが国の死刑制度について
【設問】わが国の死刑制度について、あなたの意見を書きなさい。
テーマを見ると、賛成か反対を求めています。この場合、賛成か反対をまず決めてください。初めの段落は、課題(テーマ)と結論を書きます。
現在、先進国で死刑制度を採用しているのは、日本と韓国、米国の3か国のみとなった。わが国では今後も死刑制度を認めてゆくべきなのでああろうか。私は反対である。
詳しくの段落には、根拠を書きます。根拠には、体験、具体例、理由、引用(専門家の見解、書籍、統計からの引用)があります。書くことに困ってしまった場合には、体験談から入り、徐々に対象を広げてゆくとスムーズです。
先日、地下鉄サリン事件から29年目を迎えたと知った。私が高校通学時に通る霞ケ関駅で犠牲者が出ていたことを知り衝撃を受けた。幸い、主犯の松本被告はすでに死刑となり、もうこの世にいない。そのことで、翌日霞が関を通ったとき、どこか安心感を覚えた【体験】。私以外にもそう感じる人は多いだろうし、特に被害者の方は納得感を得たと考える。このように死刑制度は、多くの人に安心感や納得感を与えているのは事実である。ただ、安心感や納得感は重要だが、それが人の命を強制的に奪う理由となるのかには疑問がある。小中学校ではいじめの問題があるが、それは自分は標的にならないという安心感や、いじめられて当然の理由があるという納得感に支えられているとも言える。死刑制度も、同様の「感情的な理由」で維持されているのではないか。
そもそも、死刑には犯罪の抑止効果はないと、社会の授業で学んだことがある。廃止国で犯罪が増えた、存続国の方が重大犯罪が少ないというデータはないという意見を目にした記憶もある【引用】。確かに遺族の感情は尊重しなければならないが、犯罪を減らす効果が乏しいにも関わらず、安心感や納得感のために無期懲役の選択を捨てるというのは、筋が通らない面もある【理由】。また、どのように裁判に工夫をしても、えん罪の危険がある以上、取り消しや保障が効かない死刑制度はリスクが大きすぎる。死刑に携わる人々の精神的な苦痛も見過ごされがちである。
以上から、私は死刑制度の存続に反対である。(694字)
最後の要点の段落は、「以上から」「このように見てくると」などの出だしが合います。
Q 字数が埋まらない場合は、どうしたらいいでしょうか?
A はい。課題(テーマ)と結論の前に、現状に関する説明(例 現在、先進国で死刑制度を採用しているのは、日本と韓国、米国の3か国のみとなった)を入れると、字数は伸びやすくなります。また、2段落目の初めに体験談を使用するとリズムに乗ってきます。ただし、根拠を2つとも体験談にすると根拠としては弱くなります。
例文/例題2 現代の子どもの遊びについて、自由に論じなさい
自由に論じなさいのように指示が曖昧な場合、課題と解決策を書かせる「提案型」の場合があります。通常は結論を書く初めの段落は、課題(必ずうまくいっていない点を示す)の提示だけにとどめるとうまくゆきます。
【設問】現代の子どもの遊びについて、自由に論じなさい。
現代の子どもの遊びは、スマートフォンでのゲームや動画が増えていると考えられる【課題】。これにより、読書や勉強の時間は間違いなく減っていると言える。今回は、ゲームに観点を絞って、考えを深めてみたい。
指示があいまいな小論文は賛否を聞いていないことも多く、根拠を書くパターンにはなりません。課題に対する説明として、2段落目では「原因」、3段落目では「解決策」を書きます。
※上の例では、読書や勉強時間が減っている原因ではなく、課題が生じている原因を書きます。ここは混乱しやすいです。
子どもがスマホでゲームをする時間が増えているのはなぜだろうか。以前の子どもは、公園や河原など、近所の安全な場所で遊ぶことが多かったと聞く。しかし親の立場から見ると、交通事故や水の事故などの危険がないという点で、スマホのゲームを与えておけば安心できると考えている親も多いと想像される【原因】。
しかし、ゲームはやめ時が難しく、読書や勉強時間だけでなく、友達や家族との会話から睡眠時間まで、かなり広い範囲に影響がある。この問題の解決には、親が子どものゲームを実際に体験し、選んで与えることが重要だ【解決策】。例えば「ポケモンスリープ」というゲームがある。睡眠時間をしっかり取ると高得点となり、翌朝、新しいポケモン(怪獣のキャラクター)が出現し、コレクションを増やすことができる。私の弟は、このゲームを始めて以来、朝起きるのが苦でなくなった。ほかにも、パズルゲームのようにただ暇を潰すゲームではなく、友達とコミュニケーションが取れるゲームも多数ある。
以上から、親世代が、子どものことを考えて進化しつつあるゲームの世界を知り子どもに与えることで、勉強や読書との両立、友達とのコミュニケーションの機会を増やすことは、十分に可能である。(600字)
最後の要点の段落は、解決策を単純にくり返すと、印象が良くありません。流れを短くまとめたり、解決策を実施した後の「良い姿」を簡単に書くと良いでしょう。
以上を読んで分からない点があれば、冒頭の吹き出しマークをクリックすると、質問ができます。
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