古文はなかなか勉強時間が取れないので、単語や文法、敬語で手一杯です。古文常識はカットしてもよいでしょうか?
Q 古文はなかなか勉強時間が取れないので、単語や文法、敬語で手一杯です。古文常識はカットしてもよいでしょうか?
A はい。筆者が予備校で古文の授業や指導を担当した経験から、私大や2次で古文が必要な文系であろうと、共通テストのみで古文を使う人であろうと古文常識は重要と言えます。
古文の入試問題を解くときに、1番ネックになるのが「話の筋書きが分からない!」「(話の意味がなかなか理解できず)時間が足らない!」ということです。
単語や文法問題であれば、傍線部や周辺だけで解けることもありますが、実際に配点が高いのは読解に関わる問題です。また、単語や文法問題でも、知識だけではなく文脈判断が必要な場合があり、実は読解が得点力を決めています。
そして読解力をつけると考えると、英語の勉強法にならい、単語→文法の順だと考える方が多いのですが、古文は想像よりも現代語と同じ単語を使います。古文を効率よく仕上げるには、文法と古文常識を同時進行で始めるのが最も効率が良く、文法は20項目、常識は100項目以上で効果が顕著に出てきます。
共通テストでは、単語と文法の配点も十分高い?
共通テストでは、単語と文法の配点も十分高いように感じます。例えば2024年の共通テストの古文では、単語と文法の配点が22点と半分近くを占めている(ように見えます)。
しかし、実際に問題を分析してみると、24番は単語の知識がなくても文脈で簡単に解かれてしまいます、25番は「をかし」を変だの意味に誤解しない限り、正解に近づけますので、本格的な単語の勉強の経験は問われていません。26番(文法)に至っては、完全に文脈を混ぜて聞いています。
つまり、単語・文法派(古文常識の勉強をカット)が確実に得点できるのは、わずか5点分程度で、圧倒的に古文常識派(古文常識の勉強も重視)の平均点が高く出る設計です。
仮に、国立理系志望者で、古文は共通テストだけという場合でも、古文常識を学んだ方が手早く得点できます。古文常識は、難関私大文系・国立2次向けというイメージを持つ方もいらっしゃるようですが、英語学習の手順(単語→文法→長文)が混ざり込んでいるように感じます。
古文常識はどこまで覚えればいい?
なるほど。古文常識ちょっとやってみます。でも古文はなかなか勉強時間が取れないのですが、いくつくらい覚えたらいいでしょうか?
はい。古文常識の参考書のなかでは、人気が高く、古文嫌いに配慮した書き方をしているのが「マドンナ古文常識217」です。すでに450万部売れています。
マドンナ古文常識では、常識の数はかなり絞っていますがそれでも217個。難関私大文系や国立2次も意識していると思われますので、まずは話の筋が分かるようになりたいという場合、100個程度に絞っても良いでしょう。マドンナ古文常識では、見出し語が太字となっているものが重要項目です。
古文の物語や、物語調の随想の理解には、「いつ・どこで・誰が・何を」という大枠の理解が重要です。「いつ」にあたるのは、時刻の表現や主な年中行事など。「どこで」にあたるのは、京都と地方の距離感、貴族の屋敷の作りなど。「誰が」にあたるのは、身分制度など。「何を」にあたるのが、恋愛や和歌の贈答の習慣や、遊び、楽器などです。
なお、文法に関しては、理系の方や、まずは基礎を固め読めるようになりたいという方は、20項目程度(下の1~20位)から始めて差し支えありません。
[助動詞・識別]古文重要文法まとめ ベスト40を1日でマスター
(ただし共通テストは、基本から難問まで満遍なく出題される、初心者にもマニアにも優しい設計が特徴であり、21位以降も一定の出題率はあります。理系の方で、数学・理科の勉強時間を優先せざるを得ない場合は、21位以降はとりあえず捨てる手もありますが、22~25位の敬語だけは見ておいてください)
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