
予備校講師を経て、現在年に80の高校から講演を依頼されている筆者が、多くの浪人生に共通する「失敗例」を紹介します! 9の失敗例を意識することで、差がつくはずです!
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浪人失敗例1 夜型生活になり伸びなかった!

夜型生活になり伸びなかったとは、どういうことでしょうか?
高校生の間は8時半ごろに、高校へ行くことが当たり前の課題でした。しかし、浪人生は、毎日授業がある「本科生」以外は、自己管理になります。本科生も、自由度が増す夏休みが、1つのヤマになります。
人間には体内時計が備わっており、睡眠を含む1日のサイクルを、自動的にコントロールされています。しかし、地球の1日の長さは遠い昔も今も同じというわけではなく、人類の体内時計は1日25時間程度に設定されていると言われます。
夜型は、誰にでも自然に起きてしまう!
そのため何もしなければ、夜23時に寝た人は、翌日0時ごろにしか眠くならない流れが、自然に起きてしまいます。これを放置すると、徐々に寝る時間が遅くなり、明け方にしか眠れなくなります。すると、毎日、午前中の体調が整わなくなることで、ほぼ100%浪人生活に失敗します。
実際の失敗例 浪人し、週に3日程度予備校に通ったが、夜型になってしまい、本調子が出たのは夏頃。思ったほど勉強時間が取れず、志望校であるMARCHに届かなかった。
夜型になるのを防ぐひとつの手段が、予備校の本科生になることや、午前中の単科の授業を取ることです。しかし現在は、予備校の本科生では家計が厳しい、という場合がよくあります。どのように、朝型をキープすればよいのでしょうか?
朝型キープの3つのコツ
① 夜22時ごろに勉強を打ち切ること
後がない浪人生は、不安からつい深夜まで勉強をしてしまいます。しかし、夜間には体内時計が作動し、自然にリラックスモード(副交感神経優位)に入ります。夜遅く机に向かっていると、脳は、緊急事態と判断し、覚醒物質を出して作業を継続させようとします。
わかりやすくいえば、カフェイン入りのドリンク剤を飲みながら勉強をしているのに近い状況です。これは、本来の集中力とは異なり、実際の学力は伸びてこないことが多くなります。
どんなに絶好調だと感じても、必ず夜22時には勉強を打ち切って、23時の就寝を目指すことが、1つ目のカギになります。
② 朝の儀式を外さないこと
1日を25時間と認識している体内時計を、起床後にリセットすることが必要になります。例えば、カーテンを開けて太陽の光を浴びること、朝食を取る、シャワーを浴びるなどが有効です。20分以上程度の散歩をするとより効果的です。
③ 朝の行き場を作ること
予備校の本科生にならない場合、たとえば朝食を朝マックにして、1時間程度の勉強をする習慣をつける、朝9時に図書館に入るなど、朝の行き場を作ることが非常に大切です。自宅学習の日であっても、午前中は1度外出したほうがペースをつかめます。
もし友人に同級生がいれば、マクドナルドや図書館などで待ち合わせをすることも有効です(ただし、目標が低い友人の場合は、遊んでしまい逆効果になります)。
ハイレベル 早慶旧帝大などを狙う方は、この記事が合わないと感じるかも知れません。その場合、失敗例6まで飛ぶのがおすすめです。
浪人失敗例2 英語が伸びなかった!

浪人し受験に失敗した人には、英語を得意科目にできなかった人が、とても目立ちます。「英語は配点が高いから重要」。これが受験生の理解ですが、実際にはもう少し深い要素があります。どのような要素なのでしょうか?
それは、英語が唯一の「真の積み重ね科目」ということです。地歴公民は、中学校でも習いますが、高校では初めからもう一度習います。例えば日本史なら、高校で改めて縄文時代から学び直します。理科も同様です。国語は中学のときに苦手科目であっても、高校から力を入れれば伸びてきます。
一方英語は、中3や高1で苦手だった場合、浪人してかなりの量(授業除き1日3〜4時間以上)勉強をしても、苦手が改善されにくい科目です。「真の積み重ね科目」である英語は、基礎が不十分な場合、スタート時の偏差値が50ならずっと50のまま、45ならずっと45のまま終わることが多い、独特な科目です。
実際の失敗例 高校受験のリベンジでMARCHを目指し、英語漬けの日々。基本となるはずの文法の問題集を何周も回したのに、偏差値はずっと50前後のまま。MARCHに落ちただけでなく、日東駒専にも届かず、非常に不本意な結果となってしまった。
なぜ英語は入試で重視されるの?
大学受験において英語の配点が高いのは、なぜなのでしょうか?
今後の国際的なボーダーレスの社会に合わせて、という理由だけではありません。英語の点数が高いことが「中1から高3にかけて一度もサボらなかったことの証明になる」という要素もかなりあります。リカバーするポイントは、単語と文法事項の一部の単元です。
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浪人失敗例3 授業を受けるだけで、伸びなかった!

高校受験で塾通いをした人に多いのが、予備校の授業を受ければ、なんとかなるでしょ?という誤解です。なぜ誤解が生まれるのでしょうか?
それは、高校受験塾が、やや過保護すぎることにあります。高校には、中学生のほとんどが進むため、勉強下手な生徒も多くいます。そのため塾側が授業、宿題、問題集、自習室の管理を通じて、塾に来るだけである程度得点できるシステムを作り上げています。
高校受験塾経験者は、「また、同じようにすれば良いんでしょ?」と予備校の授業を受けることで満足してしまい、成績が伸びないことがあります。
- 高校受験塾の授業 … ノートをしっかり取り、宿題をこなせば、定着まで塾が保証する(自分で考え抜き、勉強法に工夫を凝らす時間はない)。
- 大学受験予備校の授業 … 授業の役割はペースメーカー、きっかけ作り、入試情報提供、深い視点の提供。どの教科も、分量が多く深くなっている、本当の理解の場は「自習室」となる。
実際の失敗例 午前中の授業だけを取っていたある浪人生。担当講師が毎回、残って自習してゆくように指導したが、自宅で昼食を取りたいのか、帰宅(たまに予備校に戻ってくることもあったが……)。結局志望校には遠く及ばず、浪人生活を終えることになってしまった。
勉強は授業でなく、自習室が本番!
「勉強は授業でなく、自習室が本番!」
これ理解することが、失敗を防ぐ最大のコツとなります。具体的には受けた授業の3倍程度の時間をとり、予習、復習、問題演習を行う必要があります。
中高一貫校 高校受験経験がなく、不安を持つ人が多いですが、予備校講師に相談しながら勉強を進める傾向があり、経験がないことが有利に働くケースがあります。欠点は英語の基礎を作る時期に、受験の壁を乗り越えていないこと。英語が伸び悩む傾向があります。
塾通いなし 塾通いをせず高校受験をされた方は、勉強法を確立している人が多く、予備校任せにする傾向が少ないため、大学受験で伸びるケースが良くあります。
浪人失敗例4 大学に進んだ同級生と遊んでしまった!

大学に進んだ同級生と遊んでしまった。これも浪人生によくある失敗例です。同じ年齢とはいえ、一方が大学生になると、アルバイト、遊び、彼女(彼氏)の話題など、価値観が大きく異なってきます。
合格するまでは遊びを断るのが一番ですが、全て誘いを断るのはやりづらいという場合には、ランチだけがおすすめです。
短時間でも良いから遊びたいという場合、午前に会って昼ごはんで解散にするのが良いです。夜に会うと、だんだん盛り上がり、もう少しもう少しとなってしまい、夜型に近づいてゆくことになります。例えば、「土日の午前にしか遊べない人」とのイメージを作ってしまうのが、おすすめです。
いつ遊びに行ける!?とか、浪人する友達に聞かれてるけど、私の兄が浪人の時、浪人決めてすぐからずっと勉強してたよ……????
— 一織 (@iori_1ori) March 21, 2020
浪人失敗例5 4月からまたは夏から本格始動する
予備校の授業が4月からのため、4月から勉強を始動しようという人がいます。
しかし、浪人失敗例8で説明したように、3月の1ヶ月だけで苦手科目をひとつ克服できるだけの勉強時間が取れるのです。3月に休む人の言い分は、たいてい「現役の最後に猛勉強したから、充電をしたい」となりますが、18歳なら、そこで休みはいりません。浪人が決まったその日からスタートするのが当然です。
(注)うつ病等の症状がある方は、医師や公認心理士にご相談ください。
浪人失敗例6 理科、数学の質問環境がなかった

理科、数学の質問環境がなかったとは、どういうことでしょうか?
調べれば何とかなることが多い英国社に対して、理科、数学を質問できる環境は必須です。質問をしないことで、正直腑に落ちない知識や解き方を、分かったことにしたり、無理に暗記したりしてしまうことが、得点力の向上を大きく妨げます。
できれば予備校講師、最低でも大学院生に、週数回程度は質問できる環境の確保が重要です。各予備校ごとの質問環境や、スマホで質問できる仕組みは、以下の記事に掲載してあります。
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浪人失敗例7 文系数学、理系の国社で失敗
文系数学・文系理科
国立文系志望者は、数学の勉強時間は自然と短くなりがちではないでしょうか?
もともと数学が苦手、面白みを感じないので勉強時間が減る、週に1、2回しか触れないため伸びていかないというプロセスを歩みがちです。国語や社会でライバルの文系生に差をつけるのは難しいですが、数学なら不可能ではありません。毎日触れることが必要です。(理科にも同じことが言えます。)
実は、数学には効果が出やすい勉強法があり、文系生はその点で誤解があることが多いです。
勉強法【独自】元予備校講師が特別記事だけで明かす、受験成功術
理系国社
国立理系志望者は、国語や地歴公民の勉強時間は自然と短くなりがちではないでしょうか?
もともと国社は苦手、面白みを感じないので勉強時間が減る、週に1、2回しか触れないため伸びていかないというプロセスを歩みがちです。国語は共通テストであっても本格的な学力が必要です。古文をメインに、漢文、現代文は少なめの時間をかけて対策していきます。
また、倫理、政経、現代社会は暗記科目なので、秋以降に回すという国立理系志望の生徒も目立ちます。しかし、共通テストは、基礎軽視の付け焼刃の暗記では誤答する性質が高いため、1学期から基本を丁寧に学ぶことが重要です。
浪人失敗例8 早慶や旧帝大の壁を破れなかった!

勉強を重ねていけば、日東駒専の学力がMARCHに、MARCHの学力が早慶にランクアップしていくと考えている人がいます。しかし、MARCHと早慶の間には勉強量で乗り越えられない壁があることも事実です。
早慶、旧帝大などに合格する生徒には、以下のような特徴があります。
- 小中学校では、理解できない授業がほとんどなく自然体で上位にいた。
- 苦手科目はあっても、総じて勉強が好き。または特に苦にならない。
- 受験勉強を通じて新たな発見があり、興味がわくことがよくある。
- 教科のなかで、受験に直接役立つもの以外も、つい読み込んでしまう。
- 参考書の暗記事項を隠して覚える、チェックペンで覚えるといった受け身の勉強法をほとんど用いず、自分なりの勉強法を見につけている。
- 計算(理系)や活字を読むこと(文系)に、苦手意識はほとんどない。
- 何も考えずに過ごすことが苦手で、常に考えごとをしてしまう。
- 適度にざわざわした環境よりも、まったくの無音空間のほうが勉強がはかどる。
たしかに、早慶、旧帝大を狙う生徒が、MARCHや地方国立で止まるケースが多く、ひとつ上をめざしておくことは重要です。諦めろという訳ではなく、無謀な受験計画を立てないようにという意味です。
全ての受験生に、早慶や旧帝大に合格する「可能性」があることは否定しませんが、高校や予備校の、指導歴のある先生に相談してみることも大切です。
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浪人失敗例9 300時間勉強する前にギブアップする
資格やビジネスでは、最初の1000時間を越えると、見える世界が変わると言われています。
受験の教科に関しては、予備校講師の経験から言えば、まず300時間の集中勉強が、苦手脱出のめどになります。例えば、数学が苦手で浪人をしてしまったなら、3月に1日10時間数学の勉強に取り組んでみてください(ある程度単元を絞ること、また勉強法を改めること)。4月には数学の問題が「それほど苦でない」というレベルに必ず上がります。
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まとめ
- 浪人失敗例1 夜型生活になり伸びなかった!
- 浪人失敗例2 英語が伸びなかった!
- 浪人失敗例3 授業を受けるだけで、伸びなかった!
- 浪人失敗例4 大学に進んだ同級生と遊んでしまった!
- 浪人失敗例5 4月からまたは夏から本格始動する
- 浪人失敗例6 理科、数学の質問環境がなかった
- 浪人失敗例7 文系数学、理系の国社で失敗
- 浪人失敗例8 早慶や旧帝大の壁を破れなかった!
- 浪人失敗例9 300時間勉強する前にギブアップする
勉強法【独自】元予備校講師が特別記事だけで明かす、受験成功術
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