大学入試の仕組みが大きく変わりました(2021年度入試以降)。このページでは、学校推薦型選抜とは、総合型選抜とは、一般選抜とはといった内容や、選び方を専門家が説明します。
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学校推薦型、総合型、一般選抜の違いとは?
一般選抜(旧一般入試)は、国立なら主に7教科、私立なら主に3教科の試験を受けます。推薦入試は、教科のテストがない場合が多く、代わりに小論文や口頭試問、資格(出願条件)、プレゼンテーションなどが実施され、さらに書類・面接が課されます。
一般選抜は、2025年度の共通テストでは大きな変更があります。一方国公立の2次試験や私大の入試では、やや思考力を問う問題が増加したことを除くと、変化は少なめです。
2025年度の共通テストでは、新教科「情報」を加えた7教科(国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語・情報)へ再編されます。 「地理歴史」「公民」では出題科目が大きく再編されます。これまで大問4問だった「国語」は、現代文に「多様な資質・能力を問う大問」が追加され、古文、漢文の配点が減少し、試験時間が増加。「数学」では、数学②が「数学Ⅱ、数学B、数学C」の1科目のみとなり、数学②の試験時間が増加します。(参考 朝日新聞=文中に6教科とありますが、7が正確です)
一方、以前は公募制推薦、指定校制推薦と呼ばれていた制度は、「学校推薦型選抜」に変わりました。学校推薦型選抜のなかに、公募制(条件を満たせば誰でも受験できる)、指定校制(大学などが高校を指定している必要がある)があります。
学校推薦型選抜という名前から分かるように、学校つまり先生が関与することが大きな特徴です。具体的に言えば、評定の平均が出願できる基準となることが多く、高3担任が書く推薦書が必要です。
一方「総合型選抜」は、生徒自身が出願するという意味が強く、評定基準はないこともあり、推薦書は必要ありません。審査項目は、志望理由書、面接など、学校推薦型選抜とほぼ同じですが、総合型では、進学後の学問とのマッチングを重視する傾向があり、ディスカッションやプレゼンテーション、講義聴講型の小論文試験等が課されることもあります。
学校推薦型選抜とは?
学校推薦型選抜とは、名前に「学校」と付くように、先生が関与します。具体的には先生が決める評定(通常各教科ごと5段階評価)の平均値や、先生が書く推薦書が重視されます。
評定平均値とは、秋に受験する場合、高3の1学期までの全教科の評定の平均です(音楽、美術、保健体育、技術・家庭などすべての教科を含みます)。難関大では4.3以上(通称A段階)、一般的な大学では3.5以上(通称B段階)などとなりますが、4.0、3.8などさまざまな基準があり、3.0以上で出願できる大学や短大もあります。
推薦書は、通常高3の担任が書きます。従来は、部活動・係・委員会・生徒会・地域活動など、人物面の記載が求められましたが、新入試では学力面の記載も求める大学が多くなっています。定期試験で点数化されるような学力は評定で分かるため、知識に偏らない、主体性、協働性、思考力を重視する記述を求められることが多いです。
例えば探究の授業で、グループで分担し調査を行いプレゼンテーションをし高評価を得たような体験は、入試でも評価されます。
評定平均などが記載された調査書、推薦書以外には、小論文が課され、志望理由書の提出が必要になることが多いです。おおむね、学校推薦型選抜=調査書+推薦書+志望理由書+小論文が基本と覚えておけばよく、志望校が決まる前や指定校の決定待ちの時期には、この内容を対策してゆきます。
ただし、理系を中心に、口頭試問(数学や理科などを面接形式で問う)が出題されることがあり、その場合、対策に時間がかかるため注意が必要です。
一般に、小論文と口頭試問は1年前から意識が必要、志望理由書は半年、面接は数か月前から準備をすべきという意見が多いです。
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総合型選抜とは?
総合型選抜とは、学校推薦型と異なり、先生の関与が少ない推薦入試です。評定基準の設定がない場合もあり、また推薦書は不要です。
なお、評定基準が設定されていない場合でも、それを記した調査書は提出され、開封されます。評定基準と推薦書の有無以外は、学校推薦型選抜との共通項が多く、小論文と志望理由書が課されることが多いです。ただし、理系を中心に、口頭試問(数学・理科などを面接形式で問う)が課されることがあります。
学校推薦型選抜同様、人物(部活動・係・委員会・生徒会・地域活動・ボランティア活動等)と学力(知識のほか、主体性、協働性、思考力を駆使して学んできた実績)が問われますが、進学後の学問とのマッチングは特に問われることが多いです。
そのため、ディスカッションやプレゼンテーションで進学後の活躍の可能性を見たり、講義聴講を伴う小論文試験で講義の消化力を見たりするケースも多いです。学校推薦型選抜は、高校の先生の目を信頼してという入試ですが、総合型選抜はその代わりとして、独特な試験内容が多く、早期の対策が必要です。
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学校推薦型、総合型選抜、一般選抜が決まらない人はどうすればよい?
自分は、学校推薦型選抜、総合型選抜、一般選抜のどれを選ぶかはわからないのですが、今からやっとくことありますか?
はい。どの入試にも共通するのが定期試験対策です。定期試験対策は評定に直結し、一般選抜の学力にもつながります。
それ以外には、人物面をPRできるように、運動部や大会などがあり厳しめの文化部所属なら、部活動にしっかり取り組んでおきます。部活動未加入の場合は、係・委員会・生徒会・地域活動・ボランティア活動のいずれかで実績を残してください。
また、評定平均が高めに推移(例えば今までの平均が3.8前後以上ある方など)している場合は、学校推薦型選抜にチャンスが出てきますので、知識に偏らない、主体性、協働性、思考力につながる勉強面の活動(探究の時間に行う高校が多い)で実績を残すようにします。
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