【大学入試】指定校、一般選抜にはどのようなリスク? 高校の先生に聞いた話

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現在、平均的な難度の高校では、指定校、総合型選抜に人気があり、一般選抜の利用が少ないケースが見られます。単純に、早く合格を決めたい、入試が難しくない方がいいという高校生の意向が強く出ているようです。この選択にリスクはないのでしょうか?

受験ネット代表加藤(詳細
早大卒、予備校講師を経て国家資格キャリアコンサルタント(登録番号20022587登録証)。高校内講演歴10年670回。
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将来性よりも、早く合格が出る入試に人気?

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筆者が首都圏のある中堅クラスの私立高校を訪ねたときのこと。指定校、総合型選抜、公募、一般選抜の順、つまり早く行き先が決まる入試順に生徒の人気があるという話を聞き、驚きました。

近年は、入試の難易度を気にしつつも、自分のやりたいことをやるという風潮が強いと思っていたのですが、実際には、早く合格できるかどうかが、選択の軸になっているようなのです。

なお、指定校推薦は、公募推薦と同じく学校推薦型選抜の1つですので、正式な合格の時期はやや遅めですが、8~9月の校内選考に通れば、高確率で合格を手にすることができます。

グラフは、ある偏差値が50前後の首都圏の公立高校の大学進学者の入試形態です。この高校でも指定校、総合型選抜の人気が高く、公募や一般選抜はやはり少なめです。

こちらは同等の公立高校です。高校の指導の成果か、一般選抜が多いものの、指定校推薦や総合型選抜が目に付きます。

一概には言えませんが、中堅クラスの高校では、早く合格(校内選考合格も含む)が出る「指定校、総合型選抜」に人気があり、「公募、一般選抜」の活用が少ない傾向はありそうです。

指定校推薦はどのような生徒が選び、どんなリスクがあるのか?

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筆者が高校へ受験指導に行くと、気になるのが指定校推薦を希望している生徒の様子。熱心に情報収集や対策をしている様子が見られないことがあります。

確かに指定校推薦は、高校と大学の信頼関係が軸となりますので、志望理由書、面接、小論文のできが、よほど悪くなければ合格できるイメージはあります。

しかし、お目当ての指定校が、今年も在籍高校に来るかどうかは分かりませんし、校内選考の結果、受験できないこともあります。その場合、志望度が低い大学・学部の指定校に切り替えたり、急遽、総合型選抜(入試内容が多岐に渡る)の準備が必要になったりというリスクは高く、ある意味では、情報収集や対策が特に必要な入試とも言えます。

このことをある高校の先生に聞くと、指定校推薦を受ける生徒は、自分に自信がないことが多いとのことでした。大学名や学部はさておき、まず合格できるかどうかの心配が多く、ハードルが低い指定校を選んでいるケースが多いようです。

中学高校での成績や、高校入試の成否などから、自信を失うことは理解できますが、指定校推薦は、限られた枠から、自分が推薦を獲得できそうな大学や学部を選ぶ制度です。合格できるかどうかを最優先していると、進学先の吟味は少ないはずです。すると、進学後に大学の雰囲気が合わない、学部が興味と少しずれていたといったリスクが生じるように思います。

一般選抜はどのような生徒が選び、どんなリスクがあるのか?

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一般選抜は、学力自慢が選ぶイメージがあります。しかし、平均的な難度の高校では、別の背景もあるようです。

筆者が、ある高校の先生から聞いたのは、一般選抜は文章力やコミュニケーション力に自信がない子が受けることが案外多いとの衝撃情報?でした。

確かに、学校推薦型選抜(指定校、公募がある)、総合型選抜には、面接や小論文がつきものですし、総合型選抜では、プレゼンテーション、ディスカッションの採用も目立ちます。それであれば、コツコツと教科の勉強をした方がよいということですが、実際に生徒を指導しているとリスクも感じます。

なぜなら、平均的な難度の高校は、進路が専門学校、就職、大学短大がバラける傾向(いわゆるバランス型)があり、さらに一般選抜はごく少数となるからです。

このことで、高校側の一般選抜に関する情報提供や指導は、どうしても少なめとなり、生徒は高校入試の感覚で大学入試を見ている率があるように感じます。周りに似た境遇の友人も少なく、おのずと、受験勉強のスタートが遅れたり、情報収集の熱が低かったりという印象を受けます。

せっかく一般選抜を選んでも、最終的に進学する大学の難度が低すぎ、周りの推薦組とのギャップを感じたり、就職活動で不利になったりするリスクは感じます。

なお上記は、平均的な難度の高校の状況であり、進学校では指導は十分で、家庭でも友人間でも、難関大学の意義や対策の情報が流通しますので、心配は少ないです。

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総合型選抜は、自分に自信がある生徒が選ぶ?

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総合型選抜(旧AO入試)は、高校と大学の信頼関係ではなく、生徒の特別な能力を評価することに軸がある入試です。そのため、プレゼンテーション、ディスカッション、レポート執筆を伴う講義聴講力検査、読書課題、小論文など、入試が多岐に渡ります。

ある高校の先生によると、総合型選抜を受ける生徒は、コミュニケーションや文章力、大学での学びへの意欲が問われることはどことなく理解しており、自分に自信がある生徒が選ぶことが多いようです。成績はソコソコでも文章力、コミュニケーション力などに自信があるということです。

志望校の研究も、受験校に制約がある指定校組(指定校が来た大学から選ぶしかない)よりは、フリーハンドで行っているはずです。また、総合型選抜は、1期、2期、3期のようにくり返し実施されるケースが多く、入試科目の煩雑さに比し、比較的リスクの低い入試かも知れません。

確かに、筆者が過去に指導した生徒でも、総合型選抜組は、数千字を課すレポート課題に驚きながらも、アドバイスすると、自分の力で乗り越えていく傾向があります。

また、入試の回数が多いこともメリットで、ある生徒は面接がそこまで得意でなく、2度も落ち、一般選抜以降の日程(共通テスト失敗組が流れて来るのでハイリスク)に挑戦せざるを得ない段階に達したことがありました。専門学校も勧めましたが、諦めずに3度目に挑戦し合格したケースがあります。フリーハンドで選んだ志望校だからこそ、粘りを発揮できたものと思います。

公募推薦(学校推薦型選抜の一種)は?

評定基準が高く、高度な小論文や口頭試問等も課され、ある程度倍率を伴うことが多い入試です。基礎学力があり、活動歴(部活動、生徒会等)も豊富な受験生が目立ちます。ある程度、出願先も選択できるため、リスクは少ないように感じます。ただし、大学選びや学部選びで妥協がないことは、確認の必要があります。

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