学校のキャリア教育をわかりやすく|キャリコン基礎理論対策#12

キャリアコンサルティングは、就労者や就職希望者のほか、中学、高校などでも盛んに行われています。このページでは、学校教育法に基づく、小学校から大学院までのキャリア教育を説明します。

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筆者のキャリコン対策のノートを活字化したものです。折見て修正をしておりますが、誤りや不十分な内容があるかと思いますが、最終的には完成させたいと考えています。

学校のキャリア教育

学校における進路指導とキャリア教育

かつては成績で進路(大学・短大・専門学校・就職)を振り分けることを主眼とした進路指導は、現在は職業的要素を伴う、キャリア教育に変化してきています。その根拠は、学校教育法です。

学校の呼称については、次のようになります。キャリコンの学科試験では、高校は、後期中等教育と書かれる場合があります。

  • 小学校 …初等教育(役割、働く、夢、自己、他者、意欲等)
  • 中学校 …【中等教育】(社会的役割、将来などを体験を通じて学ぶ)
  • 高校 …【中等教育】(キャリアに共通して必要な能力や態度の育成)
  • 大学 …高等教育(教育課程内外の学習や活動を通じて。教養と専門性)

後期中等教育修了までに、キャリア形成に共通して必要な能力や態度を育成することになっています(「義務教育修了まで」では、ありません)。ただし、キャリア教育は、高等教育まで継続されます。

なお、学校教育法の管轄から外れますが、キャリア教育は幼児期から実施されます(遊びを中心とした生活体験を重ねる)。

(正誤問題)大学におけるキャリア教育とは、キャリアセンターにおける在学生へのセミナーや面接指導といった、就職活動支援を中心に行われる必要がある。

ヒント:教育課程内外の学習、活動とあるため、講義、ゼミ(研究室)、アルバイトなどが含まれます。答え:誤り。

学校におけるキャリア教育の推進

キャリア教育という言葉が初めて登場したのは、中央教育審議会の「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」(1999年)でした。学校間のみならず、職業との接続改善も視野に入れ、小学校から大学までのキャリア教育の必要性がうたわれています。

2011年の中教審答申では、幼児期のキャリア教育についても触れられました。

・教育基本法改正(2006年)… 個人の価値を尊重、自主自立、職業意識。
・教育基本法改正(2007年)… 学校内外における社会的活動を促進し、社会の発展に寄与する態度を養なう。職業、進路を選択する能力を養う。
☞小中高校での、職業体験、職業人インタビュー(体験的な学習活動であることに注意)などが広がりました。
・教育振興基本計画(2008年)… キャリア・職業教育と、生涯を通じた学び直し。
・大学設置基準・短大設置基準(2010年改訂) … 大学でのキャリア教育の法的根拠。

現在もっとも重要なのが、2011年の中教審答申です。

キャリア教育とは

キャリア教育とは、一人一人の社会的・職業的自立に向け、能力や態度を育て、キャリア発達を促す教育を指します(中教審、2011年)。授業や特定の活動に限らず、さまざまな教育活動を通じて、社会人・職業人としての自立を促すものです。教えるよりは、考える契機を与えるという趣旨があります。

基礎的・汎用的能力(=重要)と職業体験

職業教育は、本来は一定または特定の職業をターゲットとしたものですが、社会の変化を想定し、多様な職業への対応も重要です。そのため、以下のように行われます。

基礎的・汎用的能力の確実な育成①人間関係形成・社会形成能力
②自己理解・自己管理能力
③課題適応能力
キャリアプランニング能力(働くことの意義を理解し、自らの立場や役割との関連を踏まえて働くことを位置付け、情報を適切に取捨選択・活用し主体的にキャリアを形成していく力)
資料:基礎的汎用的能力の詳細(国立教育政策研究所)
社会・職業と各能力の関係を知る実際の職業との関連を重視した、実践的・体験的な活動

この背景には、勤労観や職業観の未発達、社会人としての意識の未発達、高学歴化による将来計画の希薄化などがあります。実業高校に比べ、普通科高校でとくにこの傾向が見られるとされます(文科省による)。

例えば、高等学校では、下のような進路行事が行われています。

  • 1回目 … 進路講話(今後のキャリアの考え方を知る)
  • 2回目 … 職場におけるあいさつやマナーの重要性を、寸劇で知る。
  • 3回目 … 専門学校や企業の講師を招き、職業ごとに体験を行い、職業観を育る。

(参考)基礎的・汎用的能力は、もとは4領域8能力として整理されていたものです。

自他の理解能力|コミュニケーション能力人間関係形成・社会形成能力
自他の理解能力自己理解・自己管理能力
計画実行能力|課題解決能力課題適応能力
情報収集・探索能力|職業理解能力|役割把握・認識能力|計画実行能力|選択能力|課題解決能力
(注)職業の情報を集め、自分と照らし合わせながら選択し、すべきことを見極め前へ進んでゆく能力。
キャリアプランニング能力

(正誤問題)基礎的・汎用的能力とは、①人間関係形成・社会形成能力、②自己理解・自己管理能力、③課題対応能力、④前へ踏み出す能力の4つである。

ヒント:④はキャリアプランニング能力が正しいです。答え:誤り。

生きる力とは

基礎的・汎用的能力と似た概念として、生きる力(=①確かな学力、②豊かな人間性、③健康・体力)が提唱されています(文部科学省)。

生きる力①確かな学力
②豊かな人間性
③健康・体力
基礎的・汎用的能力①人間関係形成・社会形成能力
②自己理解・自己管理能力
③課題適応能力
④キャリアプランニング能力

例えば、高等学校では、生きる力をつけるために、下のような進路行事が行われています。キャリアコンサルタントは、講演部分を担当する可能性はあります。

  • 1時間目 … 学力と人間性(コミュニケーション力、自己理解)の大切さを考えるための講演。
  • 2時間目 … 大学の入試広報を招き、学部ごとに説明を行う。高校での基礎学力の重要性と、就職活動で人間性が求められる点を説明。

(注)基礎的・汎用的能力、生きる力に加え、経済産業省の社会人基礎力(アクション、シンキング、チームワーク)が参考にされることもあります。

今後キャリア教育・職業教育

「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」は、2011年に中央教育審議会が出した、答申です。若者の現状として、以下の点を挙げています。

  • 学校から社会・職業への移行が円滑ではない
  • 完全失業率約9%( 2018年は2.4%に低下| 労働経済白書  )
  • 非正規雇用率32% ( 2018年は17%に低下| 労働経済白書  )
  • 早期離職率(3年以内)が高い。中:高:大卒=7:5:3割。(2019年発表の数値では、中:高:大卒=64%:39%:32%となり、四捨五入すれば、6:4:3となる|厚労省

(覚え方)6:4:3(三四郎)。大卒に関しては、早期離職率が32%あり、大卒の学歴を持ちながら非正規雇用に就いている人が、約20%ある(厚労省|若年層雇用実態調査)点がポイントです。

「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」は、社会的・職業的自立のために、基礎的・汎用的能力の確実な育成が課題だとしています。このほかに、勤労観・職業観、論理的思考力等も挙げています。

(参考)職業体験の平成19年度の実施状況

  • 大学:504 校(68%)
  • 短大:170校(44%)
  • 高専: 61 校(100%)
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