古文助動詞「らむ」の識別でよく聞かれるのは、「らむ」1語と、「ら」「む」2語です。区別をわかりやすく説明します!
①「らん」や「ら」「ん」との表記もあります。
②語の一部+「む」の場合もあります。
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「らむ」の識別は、覚えなくてもよい?
助動詞の接続を覚えていれば、「らむ」や「ら」「む」(「り」の未然形たす「む」)は、そのなかに出てきます。
[未]む・ず・むーず・じ・しむ・まし・まほしー
□□□も・し・もーし・か・めよ・かめ・さんよー
[未]るー・らる・すー・さす・りー・りー・りー
□□□せー・かい・のー・うちで・おま・えー・ほど-
[用]つ・ぬ・たり・けーり・たし・たし・き・けむー
□□□あ・ゆ・みの・のー□・ろい・もの・は・ないー
[終]らーむ・べーし・まーじ・らし・なーり□・めりー
□□□どー□・しーて・そん□・なに・のろいの・かー
- ①助動詞「らむ」の接続は、終止形。
- ②「ら」「む」 …「ら」は完了の助動詞「り」の未然形。よって接続は未然形(厳密にはサ未四已またはサ未四命)。
Q 助動詞「らむ」、助動詞「り」+助動詞「む」のどちら?
「いふ」は終止形だから、1語の助動詞「らむ」。
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ
山から秋風が吹くと、たちまち秋の草木がしおれはじめる。なるほど、だから山風のことを「嵐(荒らし)」と言うのだなあ。
助動詞の接続を覚えていれば、あえて覚える必要もないのでは??
一理あります。でも「らむ」は、意外に複雑なんですよ。例文を見てみましょう。
例文 などあはれなるらむこと言ふ
あれ?? あはれなるは、連体形。あれ?終止形でもサ未四已でもないよ???
はい。終止形接続の助動詞は「ラ変型の場合は連体形」という例外をお忘れですか?(形容動詞型は、ラ変型を一部に含みます) この場合「らむ」は、現在推量です。
例文 ひさかたの光のどけき春の日に 静心なく花の散るらむ
この例文で、「散る」は終止形ですので、簡単に、現在推量の「らむ」と分かります。
でも現在推量とは、現代風に言えば「今ごろ~だろうな」という意味です。でも、目の前に桜の花があるのに「今ごろ散っているだろうな」というのは、おかしな話です。目の前にあるモノが話題の場合、原因推量となります。
なるほど。「らむ」は、まずは現在推量と押さえるべきだけど、②原因推量、③伝聞・婉曲があるって、教科書見たら書いてありました💦
はい。「基本は現在推量、目の前になければ原因推量」と覚えていれば十分です。ただ「む」が文中にあれば、仮定・婉曲となるように、「らむ」にも婉曲があると頭の隅に置いておいてください。古文が好きな方は、伝聞・婉曲と覚えてもいいですよ。
例文 などあはれなるらむこと言ふらむ
上の例文では、赤字の「らむ」は文中にあることもヒントに、婉曲と判断しましょう。
※例は少な目ですが文末に来ることもあります。
(口語訳)なぜどうしようもなく悲しいような(婉曲)ことを言うのだろうか(原因推量)
このように「らむ」の識別は、例外や込み入った部分が多いため、識別の仕上げとして学習することが多いです。
「らむ」の識別 重要順ランキング
「らむ」の識別 重要順ランキングです。
1位 現在推量の助動詞 … 終止形 + らむ
2位 完了+推量の助動詞 … e段 + ら・む
==まずこれを徹底暗記する==
3位 現在推量「らむ」は、目の前にないモノは現在推量、あるものは原因推量。
4位 推量「む」は、スイカデカエ(推量・意志・勧誘・適当・仮定・婉曲)で識別。
==ここから上で入試問題の大半が解ける==
5位 完了「り」は、完了・存続を区別。(基本のため5位にしましたが、忘れないように)
6位 動詞などの活用語+むの場合がある。「あらむ」「ざらむ」など。
7位 おもに文中に連体形で現れる「らむ」は、婉曲か伝聞(「む」の婉曲用法に近い)
ページは後半に続きます。
助動詞「らむ」の識別 すごい例文
「らむ」の識別のすごい例文です。多くの識別が、一発で理解できます。
声に出して繰り返し読むことで、頭のなかに古語の「らむ」が定着します。
法則を暗記しても意外に解けませんが、例文を分析しながらの暗記は、得点力が高いです。
「憶良らは今は罷らむ子泣くらむ」といらへらむはそらごとならむ。
[口語訳]「憶良めは、そろそろおいとまするつもりだ。(我が家で)子が泣いているだろう」と答えたようなことは、噓であるようだ。
- 今は罷らむ … 「罷る」は1語の動詞のため、四段動詞「罷る」の活用語尾+意志の助動詞「む」の終止形。推量「む」は、主語が1人称の場合、意志が原則。
- 子泣くらむ … 終止形接続のため、現在推量の助動詞「らむ」の終止形。子は目の前にいないので、現在推量でよい。
- いらへらむは … 「いらへ」は連用形のため、完了の助動詞「り」の未然形+婉曲の助動詞「む」の連体形。推量「む」は、文中にある場合、仮定か婉曲が原則。文脈判断で婉曲(~ようなと訳すか訳さない)。
- そらごとならむ … 「なり」は1語の助動詞のため、断定の助動詞「なり」の一部+推量の助動詞「む」の終止形。推量「む」は、主語が3人称(私、あなた以外)の場合、推量が原則。
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