保育士と幼稚園教諭は、どちらを目指すのがよいのでしょうか? また、大学・短大・専門学校はどれがいいのでしょうか?
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プロフィール(詳細)
受験ネット・加藤は、早大卒。広告代理店(営業職)、予備校の講師・部長職を経て、国家資格キャリアコンサルタント(登録番号20022587|登録証)。営業と教育職、国家資格の3つの視点を生かした、若年層キャリアの講演多数。
保育士・幼稚園教諭どっち?
保育士と幼稚園教諭の資格は、どう違うの?
はい。幼稚園教諭との違いを、保育士の方に聞いてみました。
イメージがわきましたか?
幼稚園は、3歳以降の教育が主目的で、小学校の前の段階です。基本的には、朝9時頃から14時頃まで、子どもの教育のために預かる場所です。一方、保育園は、福祉施設に近い位置づけです。朝7時半頃から18時頃まで開かれ、働くお母さんのために、0歳児を含めて、子どもを預かります。
保育園 | 幼稚園 | |
目的 | (親の仕事など)保育に欠ける子を預かる | 幼児の心身の発達を助長する |
年齢 | 0歳から | 3歳の春から |
時間 | 7時半~18時(園による。保育士は交代制) | 8時半~14時(園による) |
給食 | かならず準備する | 園によって異なる |
免許 | 保育士 | 幼稚園教諭 |
1日 | 《勤務は交代制》 ・朝の受け入れ(7時台) ・遊び(工作、歌、運動) ・散歩 ・給食 ・お昼寝 ・おやつ ・見送り | 《担任制が基本》 ・受け入れ(8時半) ・クラス活動(工作、歌、運動) ・昼食 ・自由遊び ・見送り ・清掃、準備等 |
所轄 | 厚生労働省 | 文部科学省 |
なるほど。あと、保育士も幼稚園教諭も、子どもを返した後、保護者への連絡日誌を作るのが大変と聞いたことがあるけど?
はい。以前はそうだったかも知れません。しかし今は、保護者への連絡日誌は、現在はアプリを使う園が増えています。iPadやPCに打ち込むだけですので、日誌づくりの作業は楽になっています。
なるほど。私は大学で芸術の勉強をするつもりだから、担任制で自分の色が出せる、幼稚園教諭がいいかな??
はい。幼稚園は、クラスを1つ任されることもポイントですね。
ただ、就職活動では、児童館、乳児院、学童保育、企業内保育室、院内保育室も視野に入る保育士は、つぶしが効くメリットもあります。また、W資格が評価されることもあるので、保育士も取っておく手もあります。
大学・短大・専門学校はどれがいい?
保育士か幼稚園教諭をめざしたいんだけど、大学・短大・専門学校があって、迷ってしまいます!
はい。保育士や幼稚園教諭になれる(卒業と同時に幼稚園教諭免許状を取得)のは、どこも同じですので、迷ってしまいますね。比較表にまとめました。なお、学校により異なる部分が大きいため、目安としてください。
年数 | 初年度学費 (平均) | 専門以外の勉強 (目安) | メリット | デメリット | |
大学 | 4年 | 約126万円 文科省 | 4割 | ・幅広い勉強が可能 ・一般企業への就職も可能 ・初任給が高い | ・勉強期間が長い ・学費が高い(4年分かかる) ・敬遠する園もある |
短大 | 2年 | 約113万円 文科省 | 4割 | ・幅広い勉強が可能 ・伝統校が多く就職に強い ・一般企業への就職も可能 | ・勉強範囲が広く多忙 |
専門学校 | 2~3年 | 約115万円 東専各 | 2割 | ・入試は面接が中心で負担が軽い ・資格学習に専念できる | ・一般企業への就職が難しい |
大学や短大では、例えば、心理学概論、情報処理、英語のように、専門以外の教養科目も学ぶことができます。(科目は帝京科学大学の例です)
なるほど! 保育園や幼稚園の先生になったあとも、生かせそうなものばかり。最近は、英語を扱う園も増えていると聞くし。
はい、その通りです。ただし、専門学校でも、2割程度は教養科目を設定できます。例えば、園芸、保育技術演習(手遊び・わらべうた・集団ゲーム・人形劇・パネルシアター)など、工夫を凝らした授業が設定されています。(科目は草苑保育専門学校の例です)
保育・幼児教育 大学・短大・専門学校の学費や給料の違いは?
大学・短大・専門学校の学費や給料は、どのくらい違うの?
年数 (目安) | 初年度学費 (目安) | 後期授業料を引いた額 (目安) | 2年目以降の年額 (目安) | 給与体系 | |
大学 | 4年 | 119万円 文科省 | 80万円 | 96万円 | ・初任給が高い ・就職が2年遅くなるので、2年分の給与が減る |
短大 | 2年 | 110万円 文科省 | 76万円 | 85万円 | ・大卒より初任給が安い傾向 ・大卒より2年早く働ける |
専門学校 | 2~3年 | 118万円 東京都 | 86万円 | 99万円 | ・大卒より初任給が安い傾向 ・大卒より2年早く働ける |
はい。合格時、早ければ高3の秋に支払う学費(初年度納入金)は、上のように差はありません。ただし、いずれも後期授業料は後払いもできますので、80万円前後の支払いとなります。このお金は、保護者が貯金しておくか、国の教育ローンで借りるのが普通です。
なお、上の数値は、私立大学文・教育系、短大教・保育系、東京都の保育・教育系専門学校の平均となっています。国公立大学は、
どの学校も、高3秋に80万円が目安なんですね(高い!)。卒業までのトータルだと、どのくらいかかるのですか?
はい、専門学校は2年制、3年制があり、学校によって差があるため、トータル費用は、志望校のウェブサイトを確認してください。目安として、トータルで大学は407万円、短大は195万円、専門学校2年制は217万円と計算できます。
また、給料は、大卒の方がやや高い場合が多いですが、働き始めるのが2年遅くなり、返済すべき奨学金も多くなるため、あまり差はないと考えてよいです。
保育・幼児教育の受験対策は?
保育・幼児教育をめざすために、受験対策は必要ですか?
はい。とくに大学短大は、新入試では学力検査(小論文など)が必須となり、推薦書、資料(書類)など、高2から準備が必要なものもあります。くわしくは、下の各ページを参考にしてください。
専門学校は面接が中心ですが、面接では明るさが求められます。高校在学中から、大きな声、笑顔などを鍛えてください。なお、道灌山学園保育福祉専門学校など、人気のある伝統校では、作文や筆記試験が課されることもあり、準備が必要です。
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