大学の外国語学部を受験する方のために、外国語学部の志望理由書の例文と書き方のコツを分かりやすく説明いたします。
- 管理者(加藤)は、早大法学部卒。高校生のキャリア支援企業を経て、予備校国語科講師(歴7年)。現在、高校主催の生徒・保護者向け講演会に年80回出講(歴5年)。
外国語学部の志望理由書の生徒例文

見て! 外国語学部の志望理由書が書けました!

私は将来、国と国との関係を保つための架け橋になることが目標である。そのためには高度な外国語運用能力を身に付けておくことが大切だと考える。だから、私はK大学外国語学部英米学科に進学したい。
幼稚園の年長から小学六年生まで英会話の教室に通っていたことがあり、その過程で外国語、特に英語が好きになった。高校になってからは外国人とコミュニケーションしてみたいという思いが強くなり、都内にあるランゲージエクスチェンジを利用し始めた。そこでは、高校で学習できない、ネイティブ同士が実際に会話で使うような英語も学べた。そこから「英語って本当に面白い」と思うようになり、英語をもっと勉強したいと志望するようになった。
私は貴学の英米学科に進学を希望しているが、日本と中国の関係にも興味がある。今のところ日本と中国はあまり良い関係ではないのは事実である。しかし、日本と中国の関係に限らず国と国との関係はどうすれば良くなるのかということを考えると、相手国に対する先入観や偏見を排除することが一番重要だと思う。そこで相手の国の言葉を学び現地に出向いて実際の暮らしや文化、価値観を理解することで先入観や偏見を排除できると私は考える。貴学には英語で物事を考え、自分の意見を明確に述べるスキルを得ることができるコミュニケーションコースがある。国と国との関係を保つには相手の国の人とのコミュニケーションが重要と考える私には最適なコースだ。また、そのコースにある模擬国連の授業は討論をすることで異文化理解を深められるということも私にとって大きな魅力だ。このような環境の中で私も是非学びたい。
以上が、貴学を志望する理由である。(694字)
よく書けていますね。とりあえず、良い点3つと改善すべき点3つを挙げてみます。
良い点
- 段落構成が分かりやすい。初めと終わりに、全体をまとめた段落があるため、採点者が内容を理解しやすい。
- 学部志望のきっかけが具体的。ランゲージエクスチェンジという内容が出てくることで、イメージが良く伝わり印象に残る。
- 学びたいことがかなり明確。①中国との関係、②外国人との高度なコミュニケーションを学ぶという目標がはっきりしている。
改善すべき点
- 表現に改善すべき点がある。1段落目の「だから」は、話し言葉に近いためできれば避け、「このことから」等に直す。2段落目の「高校になってからは」は不正確なため、「高校生になってからは」等に修正する。
- 「英語って本当に面白い」と思うようになり……の部分は、作文のような会話表現を避け、英語の本当の面白さに触れ……等に直す。
- 大学で、日本と中国の関係を学ぶと書くことは悪くないが、英米学科志望のため、後回しにすると良い。
志望理由書の段落構成

志望理由書の段落構成の目安は、上のようになります。詳しくは、次の記事に説明があります。
志望理由書(外国語学部)は、項目別に確認するのがコツ
上の志望理由書を項目別に整理してみましょう。
K大学外国語学部英米学科の志望理由
分類 | 項目 | 自分で考えてみよう |
学部志望理由 | きっかけ | ・小6からの英会話教室 ・ランゲージエクスチェンジ |
学びたいこと(おおまか) | ||
将来像 | ||
適性(向いている理由)→【2020年度新入試以降】高校での取り組みとの一貫性 | ||
大学志望理由 | ①学びたいこと(具体的に) | 日本と中国の関係(現地に出向いて実際の暮らしや文化、価値観を理解) |
②ほかの大学にはないもの | コミュニケーションコース(模擬国連の授業など) |
必要な要素がかなり埋まっており、全体にバランスの良さが感じられます。
ただし、学部志望理由は、2項目程度書き込んだ方が、深さや広がりが感じられます。将来像などを書くと良いでしょう。また、①学びたいことについては、もう少し具体的に書くと良いでしょう。
志望理由書(外国語学部)の例文

例文を直しました!
私は将来、国と国との関係を保つための架け橋になることが目標である。そのためには高度な外国語運用能力を身に付けておくことが大切だと考える。このことから、私はK大学外国語学部英米学科に進学したい。
幼稚園の年長から小学六年生まで英会話の教室に通ったことで、外国語、特に英語が好きになった。高校生になり外国人とコミュニケーションしてみたいという思いが強くなり、都内にあるランゲージエクスチェンジを利用し始めた。そこでは、高校で学習できない、ネイティブ同士が実際に会話で使うような英語も学べた。そこから英語の本当の面白さに触れ、英語をもっと勉強したいと希望するようになった。将来は、商社など、語学や国際的な理解を生かせる仕事を志望している。
貴学には英語で物事を考え、自分の意見を明確に述べるスキルを得ることができるコミュニケーションコースがある。国と国との関係を保つには相手の国の人とのコミュニケーションが重要と考える私には最適なコースだ。また、そのコースにある模擬国連の授業は討論をすることで異文化理解を深められるということも私にとって大きな魅力だ。このような環境の中で私も是非学びたい。私は貴学の英米学科に進学を希望しているが、日本と中国の関係にも興味がある。今のところ日本と中国はあまり良い関係ではないのは事実である。しかし、日本と中国の関係に限らず国と国との関係はどうすれば良くなるのかということを考えると、相手国に対する先入観や偏見を排除することが一番重要だと思う。そこで貴学の特徴である兼修語学の制度を生かし中国語を学び、現地に出向いて実際の暮らしや文化、価値観を理解することで先入観や偏見を排除できると私は考える。
以上が、貴学を志望する理由である。(726字)
もとの志望理由書の例文に比べ、かなりパワーアップしています!
このことから、 | 話し言葉に近い「だから」の使用を避けられた。 |
高校生になり | 高校になり、という不正確な表現を改善できた。 |
商社など、語学や国際的な理解を生かせる仕事 | きっかけだかだった学部志望理由に将来像が加わり、深さや広がりが生まれた。 |
日本と中国の関係 | 順番を後に変えたことで、英米学科志望の自然な志望理由となった。 |
兼修語学の制度を生かし中国語を学び | 兼修語学という言葉が出てきたことで、具体的になりました。またカリキュラムポリシーとの合致(※)も生まれました。 |
※カリキュラムポリシーとの合致 … 難関大や倍率の高い入試をめざす場合には必要な観点。 くわしくは志望理由書のやさしい書き方講座の応用部分をご覧ください。
まとめ【外国語学部】志望理由書の例文と書き方のコツ

以上、【外国語学部】志望理由書の例文と書き方のコツでした。
外国語学部を志望する場合、きっかけや将来像を書く受験生が多いようです。差をつけるなら、適性として、高校時代の英語の勉強習慣や成果をPRすると良いです。
(例)私は、高校の英語の授業には特に力を入れ、毎日の予習・復習を休んだことはありません。結果として、英語の評定は3年間を通じて5を維持し、英検2級にも合格することができました。外国語学部では、この英語学習の習慣を生かせると考えています。
また、外国語学部に限ったことではありませんが、大学入試の志望理由書では、学びたいことが明確な受験生が高く評価されます。また、外国人とのコミュニケーションを幅広く学ぶというようなあいまいな表現よりも、例文の「模擬国連の授業」のように具体性が高い方が評価されます。
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