関東の私立文系で、就職がよい大学を探している方のためのランキングです。2023年8月に発表された最新版です。
就職率や大企業への就職者数を比べて意味はある?
大学選びは、やはり就職率が大事ですよね??
はい。大学生の就職難が続いていた時代なら、就職率の比較には意味がありました。しかし現在は、多くの業界で人手不足が伝えられ、全体の就職率が高くなっています。
旺文社によると、2024年3月卒の大卒の就職率は98.1%に達しました(資料)。専門学校でも就職率100%に近い分野があり、高卒就職も97.9%に達しています(文科省資料)。
現在、就職率の比較には意味がなく、希望通りの就職ができたか、就職先の待遇や福利厚生はどうかといった比較が重要です。
ところが、希望通りの就職かどうか、就職先の待遇・福利厚生はどうかといった要素は、データ化が難しい部分です。
確かに、幼いころからある有名企業に憧れていた先輩は、大学入学後、その大学の就職状況を聞き、第1希望は身近な中小企業に変えたと聞きました。
はい。おっしゃるように希望どおりの就職かどうかは、実は比較が困難です。同時に、手当(住宅手当など)や賞与(ボーナス)を含む実際の給与や、実際の残業・休暇の状況などは、把握しきれない部分があります。
そのため、手っ取り早い比較としては、大企業への就職率を比較するのは有効です。
高めの希望順位である可能性が高く、経営体力から、待遇も安定していると言えます。
近年はベンチャー企業を選ぶ優秀な学生も多く、必ずしも大企業就職=成功ではありませんが、大企業へ就職可能な大学なら、中小やベンチャーへは入りやすいのも事実で、上位互換と言えます。また、企業規模を問わないランキングでは、高齢化で就職先の選択肢が多い福祉系大学が上位に来るなど、参考にしづらくなります。
以上から、大企業に興味がない方でも、大学は、大企業就職率で選ぶのが有効な作戦です。
関東私立文系 就職が良い大学ランキング
下の表は、「大学通信」が調べた、2023年3月卒生の大企業(主要400社)への就職ランキングをもとに、関東の私立文系に絞ったデータです。
就職状況は、前年と大きく変わりませんが、立教大の伸びは目立ちます。いずれの年度も、関東の私立文系に絞った順位です。
2023年 | 大学名 | 主要大企業就職率 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | 特徴 |
1 | 慶応義塾大学 | 44.2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 就職指導が良い |
2 | 早稲田大学 | 34.0 | 2 | 2 | 2 | 就職指導が特に良い | |
3 | 上智大学 | 30.5 | 3 | 3 | 3 | 3 | 面倒見が良い |
4 | 明治大学 | 26.9 | 5 | 4 | 5 | 5 | 就職指導・面倒見とも特に良い |
5 | 立教大学 | 24.9 | 8 | 7 | 8 | 7 | 就職指導・面倒見とも良い |
6 | 青山学院大学 | 23.8 | 6 | 6 | 4 | 4 | 就職指導が良い |
7 | 国際基督教大学 | 22.4 | 4 | 5 | 7 | 6 | 面倒見が良い・小規模だが評価できる |
8 | 中央大学 | 22.1 | 7 | 9 | 10 | 11 | 就職指導が特に良い・面倒見が良い |
9 | 学習院大学 | 20.8 | 11 | 10 | 12 | 9 | 小規模だが評価できる |
10 | 津田塾大学 | 19.5 | 9 | 8 | 6 | 10 | 小規模だが評価できる |
11 | 法政大学 | 19.0 | 10 | 11 | 11 | 13 | 就職指導が特に良い |
12 | 日本女子大 | 16.2 | 12 | 13 | 13 | 12 | |
13 | 東京女子大 | 16.0 | 13 | 12 | 9 | 8 | |
14 | 成蹊大 | 13.3 | 15 | 15 | 15 | 16 | 就職指導が特に良い |
15 | 聖心女子大 | 11.4 | 14 | 14 | 14 | 14 | |
16 | 成城大 | 11.0 | 18 | 16 | 17 | 17 | |
17 | フェリス女学院大学 | 8.9 | 17 | ※ | 20 | 18 | |
18 | 創価大 | 8.8 | 20 | ※ | ※ | ※ | |
19 | 明治学院大 | 8.8 | ※ | 19 | ※ | 20 | |
20 | 武蔵大 | 8.6 | ※ | 20 | ※ | ※ |
・主要400社就職率は、卒業生数-大学院進学者を分母としています(元データ、大学通信)。
・特徴欄は、大学通信が2020年に調べた高校進路指導部の評価です。全国1~10位の水準を「特に良い」、11位~30位の水準を「良い」と表現しました。
・早慶はじめ総合大学では、理系生のデータも含みます。理系単科の大学や、東京都市大学、東京理科大学など理系色が強い大学は、ランキングからは外しました。
・慶応義塾大学は、2019、2020年時点では公表データが少なく圏外でしたが、主要400社就職率は40%前後と推定されており1位相当としました。
早慶上智を就職で選ぶなら
早慶上智を就職で選ぶなら、どこがおすすめですか?
はい。主要大企業就職率では、慶応義塾大学(44.2%)が抜けており、早稲田、上智が3割前後で次ぐ形です。その背景は一概には言えませんが、慶応生は一般的にキャリア志向が高く、早大生は個性的な考え方が強くマイペースではないかという指摘はよく見かけます。
早稲田は横を向く、慶応は上を向くって校風だと勝手に解釈してる(Xでの投稿より)
早慶とも、規模が大きく自由な校風の割には、「就職指導は良い」という評価を得ており、また規模が小さい上智は、「面倒見の良さ」で評価を得ています。自主的に動きたい方は、早慶。教授との相談の機会や、個別的な指導を望む方は、上智が好相性と言えます。
早慶にW合格した受験生の選択は、長らく早稲田優位でしたが、2000年台に入り慶應が逆転します。しかし、2020年台に早稲田が再度盛り返します。
東進ハイスクールの調査によれば、慶應・法、早稲田・政経にW合格した受験生は、2018年は慶應・法が71.4%、2021年になると早稲田・政経が71.4%と正反対にまで逆転しています。早大政経は2021年から数学必須となり、国立併願者の人気を集めた背景はありますが、商学部、文学部など、他の学部でも早稲田の人気が回復しています。
大学や周辺の雰囲気も意外に重要です。早稲田は庶民的な町にありますし、慶応義塾(日吉キャンパス)はスタイリッシュな東急線の沿線にあります。上智大学周辺は、学生街という雰囲気は少ないです。
また学生の様子が自分のイメージに近いかどうか(友達として相性が良さそうか)は、必ず目で見て確認してください。
MARCHを就職で選ぶなら
MARCH(あるいはMARCHG)を就職で選ぶなら、どこがおすすめですか?
はい。主要大手企業就職率では、明治・立教・青山学院が25%前後(4人に1人)、中央・法政・学習院が20%前後(5人に1人)と見て良いでしょう。
主要大手企業とは、民間企業のみを指します。例えば中央大は、公務員に強いイメージがあり、公務員志願者を除くともっと数値は良いのでは?と考える方もいますが、実際には明治・中央・法政はいずれも法律学校が原点で公務員に強く、この点の考慮は不要と思われます。
MARCHの各大学は、5大学とも「就職指導が良い」の評価を受けていますが、「面倒見」に関しては、明治・立教・中央の3大学が評価を受けています。
明治大学は、中央・法政大と並び、学生数の多い大学です(おおむね3万人台。立教・青学は2万人台)。
しかし、明治大学では学生にオリジナルの「明治大学就職活動手帳」を配布し、どの時期に何をすればよいかが明確に分かる仕組みを取っています。これは、戦前から名前を変えて続いており、指導ノウハウが凝縮されたものです。筆者は、予備校の卒業生にこの就活手帳を見せてもらったことがありますが、かなり書き込みがあり、よく活用されている印象でした。
また、明治大にはキャリアコンサルタントの国家資格を持つ職員が20名(2019年現在)もおり、個別相談に応じています。
立教、青山学院、中央、法政の各大学も、志望理由書の添削など、それぞれ綿密に就職指導を実施している印象です。オープンキャンパスで、明治大の数字と比較してみるのもおすすめです。
明治 | 立教 | 青学 | 中央 | 法政 | |
学生数 | 3万人台 | 2万人台 | 2万人台 | 3万人台 | 3万人台 |
大学独自の就活手帳 | あり(明治大学就職活動手帳) | ||||
低学年の就活手帳 | あり(キャリア手帳) | ||||
就職セミナー数 | 年300回以上 | ||||
就活の個別相談件数 | 年2万件(国家資格キャリアコンサルタント取得の職員が担当) | ||||
特に強い業界 | ・金融 ・マスコミ、出版 ・メーカー | ・金融 ・観光、ホスピタリティ ・商社 | ・広告、マスコミ ・ファッション、アパレル ・IT業界 | ・法律職、公務員 ・金融 ・コンサルティング | ・建設、不動産 ・製造 ・サービス |
MARCHの就職指導については調べ方が分かったのですが、学生の雰囲気はどうなのでしょうか?
はい。MARCHは、真面目な学生も多いですが、早慶より難度が下がることもあり「今風」の学生も多いように感じます。特に、国公立や地方の大学とは、かなり雰囲気が異なる面もあり、下調べが必要です。
MARCHって同列視されるけど、実は校風・学生が派手な順M→A→R→C→Hになっていると体感的に思う。
— mican (@mican0410) November 15, 2019
上のようなツイートがありました。立教は、埼玉出身者が多く比較的落ち着いた雰囲気と言えるかもしれません。中央大は資格取得のイメージが強く、派手さは緩和されます。法政大は、決して地味という訳ではなく、学生同士の差が大きいように感じます。
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