【看護・医療系(大学・専門学校)】奨学金の平均、月いくら借りるのがベスト?

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看護・医療系(看護、理学療法など)の大学や専門学校に進むには、奨学金は月にいくら借りればよいのでしょうか? 学費の相場や、保護者が借りる国の教育ローンも含め、キャリアコンサルタント(国家資格)がお答えします。

受験ネット代表 加藤詳細
早大卒、予備校講師を経て国家資格キャリアコンサルタント(登録番号20022587登録証)。高校内講演歴10年670回。
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看護医療系 高3秋に支払う学費は97万8000円!

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看護・医療系の学費の相場として、以下のような数字が挙がります。全体として初年度学費は150万円程度と見ると分かりやすいです。

  • 看護 大学の初年度学費 147万0000円(2021年度、主要200私大の平均)
  • 理学療法 大学の初年度学費 151万0000円(2023年度、私大の平均)
  • 理学療法 専門学校の初年度学費 182万9000円(2022年度、東京都専門学校各種学校協会

以上から、志望校が決まるまでは、看護・医療系学校(大学、短大、専門学校)の初年度学費は、約150万円と見積もるのがおすすめです。

ただし、看護の専門学校は学費が安い学校も多く、平均を見ると119万2000円となります(2022年度、東京都専門学校各種学校協会)。また、理学・作業療法の専門学校、はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧の専門学校は、東京都を見る限り相場より高くなっています(177円~182万円)。歯科技工、歯科衛生の専門学校は、東京都を見る限り相場より安くなっています(113万円)。

入学金授業料設備施設費等初年度学費合計
看護・医療系のモデル
看護専門学校、国公立は除く
①24万1000円95万7000円
[②前期分]47万8000円
51万8000円
[③前期分]25万9000円
151万4000円
[①+②+③]97万8000円
看護専門学校
東京都の平均
16万8000円80万0000円21万7000円119万2000円
国公立大28万2000円53万5000円学校による81万7000円
100円単位を切り捨て

※看護・医療系の私立大学、専門学校の学費モデルは、平均的な相場と近い、東京都の臨床検査等の専門学校の数値を転用。
※(専門学校)2022年度東京都専修学校各種学校協会調査統計部調べ ※(国立大)2024年度文科省令による標準額
! いずれの数値も2024年6月現在に発表済みの最新のものです。

初年度納入金や進学後の支払額は、看護医療系のモデル(初年度学費が151万4000円)を使用すると、以下のようになります。なお、看護専門学校のなかには、初年度学費がかなり安い学校(私立でも50万円前後の学校も多数)があり、また理学療法・作業療法の専門学校や、人気の高い看護大学のなかには、初年度学費が180万円前後となる場合があります。

学費の平均支払額(看護医療系のモデル)
  • 1
    高3秋頃(推薦の場合、一般は年明け)
    97万8000円(授業料分納の場合)
  • 2
    1年生の9月頃
    63万6000円(後期分)/月約10万6000円
  • 3
    2年生の4月頃
    63万6000円(前期分)/月約10万6000円
  • 4
    2年生の9月頃
    63万6000円(後期分)/月約10万6000円
  • 5
    3年生の月頃
    63万6000円(前期分)/月約10万6000円
  • 6
    3年生の9月頃
    63万6000円(後期分)/月約10万6000円
  • 5
    (4年制の場合)4年生の4月頃
    63万6000円(前期分)/月約10万6000円
  • 6
    (4年制の場合)4年生の9月頃
    63万6000円(前期分)/月約10万6000円
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子が高3の段階で初回の学費支払いがあるため、親が学費、子が生活費という分担が多いようです(統計①統計②)。この場合、子が受け取る奨学金は、「学」の名前が付きますが生活費に回ります。

学費は、保護者が、貯金+国の教育ローン(子ども1人あたり総額350万円が上限、一部条件で450万円)で賄うことが多いようです。通常、高3秋頃(初年度学費用)と、進学後の9月頃(後期の支払い用)に、借り入れを行います。以降は4、9月に借り入れます。

ただし、国の教育ローンは申請から入金まで1か月程度は要します。秋冬の入試シーズンはさらに混雑することから入金の2か月以上前には申請を始めるのが安全です。

国の教育ローンは今後1年分しか借りられません。また例えば高3秋に、初年度分はまとめて借りても構いませんが、利息が上がりますので、半年ごとが賢い選択です。ただし利息が低い時期なら、手続きを楽にするため、1年分まとめてもよいでしょう。

卒業まで待ってもらえる子どもの奨学金と異なり、国の教育ローンの返済は、借り入れ後すぐに始まります。しかし、すぐに返済を始めてしまうと、ローンでローンを返すような状況になりやすく、多くのご家庭は「子の在学中は利息のみ返還」という選択肢を取っています。この場合、高3の秋(借り始め)から、子が卒業するまで、月の返済額は数千円程度です。

なお、子が自宅外通学の場合、親だけで学費を負担するのが難しく、子も何割か負担することが多いようです。

東京大学での研究による

子が自宅から通う場合 学費を親が負担でも月3万円程度の奨学金は必要

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自宅から通う学生の生活費は、月に5万8000円が相場です(ライフルホームズによるひとり暮らしの生活費から家賃と、食費の半額を引き算)。

看護医療系の大学生、短大生、専門学校生は、高度な授業の理解や自習、国家試験対策に時間を取られることが多く、アルバイトは少な目がおすすめです。アルバイトを月に3万円程度とすると、学費を親が負担する場合でも、月に3万円程度の奨学金は必要です。

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学生の約半分は自宅住まい(ベネッセ同時に学生の約半分は奨学金を借りていない(生命保険文化センター)というデータがあります。自宅生は保護者負担とアルバイトで乗り切るケースも多いと想像され、大学文系なら可能ですが、看護医療系はアルバイト依存は危険です。

ただし、家計状況、兄弟の進学状況、家庭の方針によっては、学費を半分程度は負担するケースも耳にします。その場合、借りるべき奨学金は、月あたりの学費の半分ですので、ズバリ5万円です。生活費も考えると、月8万円の奨学金が必要と見積もれます。

※奨学金は進学後の4月から毎月振り込まれます。そのため、1年生の後期分(9月頃請求)から、子は支払いに参加できます。高3秋(推薦の場合)に支払うお金は、保護者負担となります。

子が自宅外の場合 生活費(家賃含む)+学費の3割を子が負担の場合、奨学金は月13万円!

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自宅外から通う学生の生活費と家賃の合計額は、月に12万5000円が相場です(ライフルホームズ)。

学費は、月あたり約10万6000円です。

看護医療系の大学生、短大生、専門学校生は、高度な授業の理解や自習、国家試験対策に時間を取られることが多く、アルバイトは少な目がおすすめです。アルバイトを月に3万円程度が無難です。

すると、ひとり暮らしの場合、学費を親が全て持つか、子が3割程度は負担するかで、次のように計算できます。

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ひとり暮らしの場合、親が学費負担なら奨学金は9万5000円(※)、子が3割負担なら月13万円と計算できます。ただし、学生支援機構の第2種奨学金の月の上限は12万円ですので、第1種またはほか(大学、専門学校、自治体など)の奨学金との併用が必要です。

※学生支援機構の奨学金は1万円単位のため、実際には月10万円の借り入れとなります。

看護医療系学生の奨学金の平均は7万2000円(推定)

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ところで、看護医療系学生の奨学金の平均額は、どのくらいになるのでしょうか?

はい。学生全体の奨学金の月額の平均は、6万8000円前後と推定(※)されます。

看護医療系学生の場合、上述のように、3万円(自宅通学)、月10万円(ひとり暮らしで親が学費負担)、月13万円(ひとり暮らしで学費は子が3割)の奨学金パターンが想定できます。半数が自宅通学とすると、相場7万2000円ですので、だいたい辻褄は合います。

(※計算方法)奨学金の借入総額は平均324.3万円と分かっています(画像労働者福祉中央協議会)。学ぶ年数は、1年(専門学校の一部)から9年(大学院進学)まで様々です。院進学率が高く学ぶ年数が長い理系と、学ぶ年数が短い専門学校で相殺し、平均在学期間を4年(=48か月間)と考えると、月に6万8000円程度と計算されます。

奨学金の返済額の調べ方は?

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奨学金でいちばんよく使われ、いちばん借りやすいのは、日本学生支援機構の第2種奨学金です(有利子、要返済)。

このほか、学力基準(成績が良いほど有利)と家計基準(家計がある程度厳しいこと)をダブルで満たす場合、第1種奨学金(無利子=返済必要)があります。2種と併用可能です。

また、家計が非常に厳しい(住民税非課税、またはそれに準ずる)場合、文科省の修学支援制度(学費減免+返済不要の給付型奨学金)があります。さらに、2025年度入学からは、3人兄弟の家庭対象の減免制度も準備が進んでいます。

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例えば、ひとり暮らしで、生活費に加え学費の3割を負担の場合、奨学金は月に13万円前後必要と思われます。もし4年制大学で、上限の月12万円借りるとすると、月約2万6000円を42歳頃まで返済することになります(奨学金シミュレーターが便利)。

入力画面の例(結果はこの次の画像です)

学生支援機構の奨学金は、高3の1学期に、高校経由で予約ができます。

第2種と同時に、給付型奨学金(家計基準厳しい、返済不要、学費減免制度とセット)、第1種奨学金(成績基準厳しい、無利子、要返済)や、大学や自治体主催の奨学金、特待生などを申し込んでおき、借りられたら、第2種を減額するプロセスが普通です。

なお、保護者は、国の教育ローンの利用が一般的です。高3の秋(大学合格から1~3週後が目安)には、学費の支払いがありますので、看護医療系なら平均して97万8000円の準備が必要です(国の教育ローンシミュレーターが便利)。

実は、就職率が重要!

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奨学金を月に12万円、4年間借りると、月約2万6000円を42歳頃まで返済することになります。何とか払えそうな額に見えますが、就職できるかが非常に重要。万一就職できないと、「奨学金」のイメージよりは厳しい取り立てが待っています。

看護医療系は、就職に困ることはほとんどなく、仕事を継続できれば完済は十分可能です。問題が起こるとすれば、進学後に本当に看護医療系が合うのか不安になった、座学が難しすぎてついてゆけない、実習先で現場を見てイメージと食い違ったなどが考えられます。

そこで次の点に注意が必要です。

  • 保護者や高校の先生の勧めで看護医療系を選んだ場合、特に合う合わないの確認が必要。
  • 進学先はくり返し見学する。看護医療系は、クラスの固定メンバーで同じ授業を受けることが多く、学生の気質が自分と合うかどうかに注意。
  • 進学先の教科書等を確認し、授業についてゆけるかどうか考える。
  • 業界を説明した本などを読み、実態を把握しておく。

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