
専門学校に進むには、奨学金は月にいくら借りればよいのでしょうか? 学費や、国の教育ローンも含め、キャリアコンサルタント(国家資格)がお答えします。
筆者は、専門学校の広報関連も経験しています。
- 大学生の奨学金利用率は49.6%あり、引け目を感じる必要は全くありません。(日本学生支援機構 令和2年度)
- 専門学校生の奨学金の相場は、月額6万8000円前後ではないかと推定されます。
- 高3の5月に奨学金申し込み、夏頃に親が教育ローンの申し込み、秋以降の合格時に学費納入となります。
- 専門学校は、就職しやすいイメージがありますが、有力な国家資格を取らない学校(音楽・芸術・デザイン・映画・声優・アニメ等)は、実力勝負となります(奨学金の返済が難しくなるケースもある)。
- 専門学校は、収入がやや低めに抑えられる業界(介護福祉、保育幼児教育、理美容など)もあり、奨学金の返済に注意が必要です。
専門学校の学費の平均 高3秋の支払いは92万9000円!

専門学校の学費の平均額は、下の通りです。最初の支払いは早いと高3の秋。授業料後期分は後払いでもよい専門学校が多く、その場合平均92万9000円の準備が必要です!
入学金 | 授業料 | 設備施設費等 | 初年度学費合計 | |
私立大学文系 | 22万5000円 | 81万5000円 | 14万8000円 | 118万8000円 |
私立大学理系 | 25万1000円 | 113万6000円 | 17万9000円 | 156万6000円 |
専門学校 | 18万3000円 | 69万5000円 | 39万9000円 | 127万6000円 |
国立大 | 28万2000円 | 53万5000円 | 学校による | 81万7000円 |
※(私立大)文科省2021年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査。私立理系に医歯薬系(初年度学費合計489万円)は含みません。私立短大は、入学金23万7000円、授業料72万3000円、施設設備16万6000円、合計で平均112万7000円。
※(専門学校)2021年度東京都専修学校各種学校協会調査統計部調べ ※(国立大)2022年度文科省令による標準額
親が学費、子が生活費を負担する家庭が多い!

高3時に初回の学費支払いがあるため、親が学費、子が生活費という分担が一般的です(統計)。
入学後の月あたりの平均費用は、以下のようになります。
- 学費 9万1000円 →親が出すことが多い
- 生活費(自宅外生) 12万5000円(ライフルホームズ) →子が出すことが多い(アルバイトと奨学金)
- 生活費(自宅生) 5万8000円 →子が出すことが多い(アルバイトと奨学金)。

学費は、下のデータのように、自宅から通うなら親が負担するが、自宅外ならできれば子も負担して欲しいという考え方が標準的です。

専門学校生の奨学金の平均は、6万8000円前後

専門学校生の奨学金の平均額は、どのくらいになるのでしょうか?
はい。奨学金の月額の平均は、6万7000円程度と計算されますので、年数が短い反面負担が大きい専門学校生の奨学金の相場は、6万8000円前後ではないかと推定されます。
計算法 奨学金の借入総額は平均324.3万円と分かっています(画像、労働者福祉中央協議会)。学ぶ年数は、専門学校の1年制から、大学院まで進学する合計9年まで様々ですが、平均して4年と割り切ると、6万7000円程度と計算されます。さらに、大まかな人数比、文系7:理系3:専門3を考慮して試算しました。
《子が借りる》日本学生支援機構(旧日本育英会) 第2種奨学金(有利子=返済必要)
金利 | 年率3%を上限として変動(固定0.268%、見直し方式0.004%。2021年5月)。在学中無利息。 |
借りられる条件① | 大学、短期大学、専修学校、大学院等の学生 (専修学校は、専門学校に近い意味です) (高3・5月頃に高校を通じて予約申し込みします) |
借りられる条件② | 家計基準(3~4人世帯の給与所得者なら控除前年収1000万円強まで)+成績が平均水準以上等 |
借りられる額 | 2~12万円(1万円刻み) |
手続き | 高校で5月(秋にもう1度ある場合も)に申し込み、10月に決定。 |
入金と返済 | 入学後に振り込まれる。卒業後に返す。返済期限は、自動設定(延長しても20年) |

2~12万円まで借りられるけど、卒業後の返済を考えると、できる限り抑えたいです。もし2年制の学校で、月7万円借りるとすると、月1万円を34歳頃まで返済することになります(奨学金シミュレーターが便利)。
専門学校の場合、大学より奨学金の返済額も編成年数も有利なのが魅力です。しかし、分野によっては就職率が低く、また月収が低く抑えられがちな分野もあります。専門学校は、就職率の高さを印象づける宣伝に長けている学校もありますので、保護者のチェックや、高校の進路指導室の情報も必要です。
なお、このほか、年収基準(第2種よりも対象者は少ない)と成績基準(評定平均3.5以上)をダブルで満たす場合、第1種奨学金(無利子=返済必要)があります(「住民税(所得割)が非課税」なら、成績基準は無し)。貸与最高額は、進路等により4.5万~6.4万。2種と併用可です。また「住民税非課税、またはそれに準ずる」を満たす場合、日本学生支援機構給付型奨学金(=返済不要)、高等教育(大学、短大、高等専門学校、専門学校)の修学支援新制度があります。
奨学金の調べ方と、借りる準備は?

奨学金の調べ方と、借りる準備はどんな感じですか?

はい。日本学生支援機構の奨学金の申し込みが、高3の5月から高校を通じて始まります。それまでに、志望校に合格時に払うお金を調べます。専門学校では、平均90万8000円です。高校生の方の場合、これを保護者に伝えておきます(合格直後に支払うため、合格発表日も忘れずに!)。保護者は、通常、利息が安い国の教育ローンを利用します(夏前には申請を開始する)。
ヒント 国の教育ローン 借入額の平均は、私大生の親で約194万円(データ)。貯金、収入等から決める。例えば、100万円を5年プランで借りた保護者→翌月から月1万7700円を5年間で返済(国の教育ローンシミュレーターが便利)。
同時に、志望校の1年間の学費(授業料+設備施設費)を調べ、12で割ってみます(専門学校の平均8万9000円)。それに生活費(自宅外生平均11万8000円)を足したものが、月額費用です(専門学校の平均20万7000円)。この月額費用を親子で「割り勘」するのが平均的です(親子とも、平均10万3000円)。
自宅生は学費(月平均10万3000円)だけですが、家計・兄弟の状況によって、全額を子が支払う、半額を子が支払う、全額を親が支払うのパターンに分かれると考えると、シンプルです。

子が負担する月額費用が分かったら、アルバイトで稼げる額を引けば、奨学金を借りるべき額が分かりますね!
はい。アルバイトは、大学文系は月4万円程度ですが、専門学校の場合は、宿題や就職活動等で忙しいため、月3万円が精いっぱいです。
子の奨学金は、日本学生支援機構のものが基本です。これをしっかりと予約したうえで、地方自治体や進学先の奨学金を調べ、合格し振り込まれた時点で、日本学生支援機構を減額するのがスムーズです(減額はいつでもOK)。
なお「住民税(所得割)が非課税」「それに準ずる」という場合、もらえる・利息が安い・学費が安くなるなどの制度が利用できる場合があります。くわしくは画像で。
やってみた 奨学金の調べ方と、借りる準備は?

日本美容専門学校の公募制推薦を狙っている僕が、奨学金を調べてみます。
まず、学費調べです。各専門学校の公式サイトを利用します。
学科〈専攻〔コース〕〉 | 年度 | 初年度 納入金額 | 入学金 | 授業料 | 施設費 | 実習費等 | 諸経費 |
専門課程 専門科 [昼間部] | 2021 | 1,509,000 | 155,000 | 432,000 | 220,000 | 631,000 | 71,000 |
初年度納入金は150万9000円。後期の授業料を後払いなら、ウェブサイトによると116万7000円ですね。親に連絡しとかないと。

つぎに、奨学金を借りる額を決めます。
日本美容専門学校の1年間の学費は、授業料と施設設備費などを足した135万4000円を12で割ると、11万2000円。独り暮らしだから、生活費は11万8000円。足すと、月23万。親子割り勘が多いみたいだけど、専門学校は親が少し多めとも聞くから、僕の負担は月10万円。
専門は忙しいから、バイト少な目で3万くらいいけるとして、奨学金で月7万円か。うちは、住民税非課税じゃないから、第2種奨学金(有利子=返済必要)が基本だね。

ついでに、奨学金シミュレーターで、返済額も出してみたよ。


就職したあと、月の返済額は1万円くらいか。返せない額じゃないけど、就職失敗するときついな。がんばらないと。

予備校講師経験者が、全国80の高校での指導実績をもとに説明しているため、最新・最善の合格対策が可能です!
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