教育問題

自己理解、職業理解(キャリアコンサルティング)を分かりやすく #09

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キャリアコンサルティングのなかでも重要な概念である、自己理解・職業理解について分かりやすく説明します。

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ホール、ハンセン、サビカスの流動性の時代のキャリア理論を分かりやすく #08自己理解、職業理解(キャリアコンサルティング)を分かりやすく #09 職業能力開発訓練(給付制度)・労働市場の情報源を分かりやすく #10

キャリアコンサルティングの流れ

  1. 相談場面の設定
  2. 自己理解
  3. 仕事理解
  4. 啓発的経験の支援 … 職業体験。教育機関、職業開発期間などの調査。
  5. 意思決定 … キャリアの方向性の決定
  6. 方策の実行 … 就職、進学、能力開発などを実行
  7. 仕事への適応

キャリアコンサルティングの目的:クライエント自身による、自分にふさわしい仕事の選択を支援する。キャリアコンサルタントには、自己理解や仕事理解の知識が必要。


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自己理解の意義

自己理解とは、あるがままを知る個人の行為。

  • 自分自身(価値・能力・ありたい姿など)の分析と統合
  • 言語化することが重要(できれば文字に書く)
  • 客観性が必要(協調性など、誰にでもわかる言葉で)
  • 環境(会社、組織、家庭など)のなかの自分の姿を知ることも含まれる
  • 包括的、継続的に(過去と現在の理解が異なっても良い)

自己理解の対象と内容

職業選択における自己理解を初めて提示したのは、スーパーです。職業的適合性(能力とパーソナリティからなる自己概念と職業の適合性)を提唱しています。

個人の職業選択における自己理解に必要な6要素

  • 潜在的能力 … スーパーの言う適性
  • 獲得された能力 … スーパーの言う技量
  • 受けた教育、訓練
  • 個人的特性 … スーパーの言うパーソナリティ(適応、価値観、興味、態度)。適応とは、生活環境に適応するための行動傾向。
  • 余暇活動など
  • 個人をめぐる諸条件 … 企業、家族、地域など

スーパーの自己概念(能力、パーソナリティ)を発展させた6要素です。

O*NET(アメリカ)による自己理解

O*NETは、アメリカの労働省が開発した、コンピュータを利用した職業選択の総合情報データベースです。個人の特性として、能力、興味・価値観、ワークスタイル、技能、知識を見ます。

日本にも同種のシステム(キャリアマトリックス)がありましたが、仕分けの対象となり廃止されました。ただし、その性能は賛否両論で、壮大な予算をかけたお役所仕事という評価もありました。

最近の職業能力観

エンプロイアビリティ

エンプロイアビリティは、経団連(当時は日経連)の定義によると、労働移動(転職)が可能+継続的に雇用されることを可能にする能力。

厚労省が定義したエンプロイアビリティ(労働者個人の基本的能力)

  • A 顕在化された知識、技能
  • B 協調性、積極性等の思考、行動特性
  • C 人柄、性格、価値観など潜在的な個人的特性

円柱の表で表すことがある。上の2層は見える部分で、下の層は見えない部分。

A 顕在化された知識、技能(OJT、Off-JT)
B 協調性、積極性等の思考、行動特性(自己啓発的に身につく)
C 人柄、性格、価値観など潜在的な個人的特性(認知行動的、生得的)

キャリア形成には、希望する職種が求める知識、技能や思考、行動特性との差分を認識し、埋め合わせることが必要。

コンピテンシーは、類型化された行動様式

コンピテンシーとは、高い業績をもたらす、類型化された行動様式をさします。簡単に言えば、職業的に成功している人に共通する行動様式です。

コンピテンシーの例:率先行動力、顧客志向性、達成指向性、多様性尊重、財務感覚、監視、問題解決力

活用の場面:採用、任用、人事考査、教育の重要な個人情報として

自己理解の手法

キャリアコンサルティングにおける自己理解には、客観的、科学性が必要とされています。自己理解の援助方法として、3つの方法があります。

① 観察法

観察により、自己理解を促す方法です。注意点は以下の通り。

  • ハロー効果(第1印象) … ハローは後光という意味
  • 包装効果(論理的過誤)  … 自身の主観で他人を決めつけてしまうこと
  • 寛容効果  … 嫌われたくないなど
  • 先入観(ステレオタイプ) …  例  普段遅刻しがち
  • 科学的、論理的に観察すること

② 検査法

潜在的能力、獲得された能力を測る知能検査 、適性検査、学力検査
個人的特性(パーソナリティ)を測る性格検査、興味検査、進路適性検査
個人的特性の中でも、価値観や指向性を知る職業レディネステスト(ホランドタイプ)、キャリア・アンカーテスト

検査法は、いくつかを組みわせること(テスト・バッテリー)が必要です。最近はCACGS(コンピュータを使用したキャリアガイダンスシステム)が利用されている。評価、探索、情報提供の3要素を1度に行えるが条件です。

検査法の測定と効果

各検査法の評価は、数学や統計学に基づき、一定の基準に照らし位置付けられます。同時に、客観性、信頼性、妥当性が必須です。

  • 客観性 … 客観的な基準で作成されている。
  • 妥当性 … 内容的妥当性(狙う対象を測定できているか)、基準関連妥当性(過去の信頼できる検査との比較)、構成概念妥当性(心理学概念との一致)
  • 信頼性 …  再検査法(同じ人に再検査)、平行テスト(同じ人が2つのテスト)と折半法(奇数番、偶数番のように、分割してチェック)。

(※)測定誤差は、自分をよく見せたい心理的なもの。影響を測る設問を挿入する。パーセンタイル順位を、同じ属性の人のデータと比較することがある。

③ 面接法

面接し、語りを直接的に解釈する方法です。キャリアカウンセリングまたは人事などの評価に利用されます。

(※)量的分析、質的分析 … 面接法では、YES-NO形式の質問による量的分析、開かれた質問に対しては質的分析を行います。この量的分析、質的分析は、観察法、検査法にも当てはまる概念です。

職業理解の意義と内容

できるだけ多くの職業やキャリア情報を個人に提供することが、重要です。

  1. 相談場面の設定
  2. 自己理解
  3. 仕事理解
  4. 啓発的経験の支援 … 職業体験。教育機関、職業開発期間などの調査。
  5. 意思決定 … キャリアの方向性の決定
  6. 方策の実行 … 就職、進学、能力開発などを実行
  7. 仕事への適応

職業関連の基本3情報

  1. 職業理解  …  職業(= 人に注目した概念 )、産業(=事業所内の一連の経済活動そのもの。モノ目線)、事業所、雇用、経済、社会全般に渡って理解すること。厚生労働省編職業分類によると1万7千の職業。
  2. 産業の理解  …  統計を目的とした、日本標準産業分類(JSCO)に一覧。
  3. 事業所の理解  … 求人票が根拠となる。

基本3情報のほか、クライアントの職業観、個人的特性、各種援助・助成金、職場適応の情報も重要。

職業情報のための分析方法

  • 職務分析 …  職務に含まれている仕事内容と責任を詳細に調査、記述すること。
  • 職務調査  … その企業で期待される人間像の把握。
  • 職業調査  … 入離職、労働条件を含めた職業全体の調査。
  • 職務行動分析  … 数値、職業移動の分析。
  • 企業分析
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