教育問題

クルンボルツ、シャイン、シュロスバーグの現代的キャリア理論|キャリコン基礎理論対策 #07

更新日:


キャリア理論は、心理的なカウンセリング理論をベースに、アメリカで始まりました。ジョン・クルンボルツ、エドガー・シャイン、ナンシィ・シュロスバーグらは、現代の時代に合ったキャリアカウンセリング理論を提唱しています。

前回今回次回
スーパー、ホランドは自分に合う仕事を提唱も、自己発達を強調|キャリコン基礎理論対策#06クルンボルツ、シャイン、シュロスバーグの現代的キャリア理論|キャリコン基礎理論対策 #07ホール、ハンセン、サビカスの流動的な現在のキャリア理論|キャリコン基礎理論対策 #08
このページのまとめ
  • クルンボルツが重視したのは、モデリングによる学習でしたが、キャリアカウンセリングの最終目標をどこに置きましたか?
  • クルンボルツの晩年の理論のキーワードを、漢字3文字で答えてください。
  • エドガー・シャインの連続的〇〇決定プロセスは、キャリアだけでなく、買い物などの行動にも当てはまりそうです。
  • エドガー・シャインは、外面的な社員のキャリアを解明しましたが、内面的な変わらない軸足をも提唱しました。何と呼びますか?
知らないと損する情報だよ!

【動画】人気ユーチューバーからの受験生応援メッセージ



受験ネットから進呈

ジョン・クルンボルツ

出典:https://ed.stanford.edu/

カルフォルニアのスタンフォード大学教授だったジョン・クルンボルツは、自己効力感やモデリングによる学習を重視した理論を展開しました。後年は、キャリアの偶然性(=プランド・ハップンスタンス理論)を重視したのも特徴です。

自己効力感の大きさが学習の成否を分ける

自己効力感が高いほど、学習は成功しやすくなります。

  • 達成 … 成功体験 
  • 代理経験 … 他者の成功を見る 
  • 言語的説得 … 指導者の説得 
  • 情動喚起 … 以前の経験に基づく感情の動き

モデリングによる学習とは?

モデリングによる学習とは、①注意過程(注目する)、 ②保持過程(記憶する)、 ③運動再生過程 、④ 動機付け過程(実行の決定)の4段階の学習です。 オペラント条件付け(強化と罰)の考え方を取り入れています。

モデリングによる学習の過程
注意過程あるユーチューバーに影響を受ける。
保持過程有名ユーチューバーになる方法を、具体的に記憶する。
運動再生過程自分が有名ユーチューバーになってゆく過程や、なったあとのことを想像する。
動機付け過程本当にユーチューバーを目指すかどうかは、自分への報酬・罰や、先駆者への報酬・罰が影響する。

ジョン・クルンボルツのキャリア観

ジョン・クルンボルツのキャリア観には、学習という用語がよく現れます。クロンボルツは、人は生涯学習し続ける存在であると述べています。

キャリア意思決定に影響を与えるもの

  • 遺伝的特性 … 例:歌手、相撲取り
  • 環境的状況 … 例:就職氷河期
  • 学習経験 … ① 道具的学習(過去の経験を道具として)、② 連合学習(家族が事故に遭い良い医者に助けられたなど、偶然のつながり)
  • 課題接近スキル … 課題の認識や定義を経て、代替案を作るスキル。

キャリアカウンセリングの目標

変化し続ける仕事環境において、クライエント自身が満足のいく人生を作り出していけるように学習を促進。現在のクライエントに合った職業を発見することが、キャリアカウンセリングの目標なのではない。

キャリアカウンセリングの介入方法

  • 発達的・予防的介入 … 問題が起きそうなタイミング(インターンシップの直前など)
  • 治療的介入 … ①認知的介入 ②行動的介入

クルンボルツの計画された偶発性

ジョン・クルンボルツは、研究過程の後半で、未決定であることの意義やキャリアの偶然性を強調しています。

  • 未決定(オープンマインド)なら、予期せぬ出来事に対応し学習が可能。
  • 偶然の出来事を積極的に活用。意識的にそれを作り出す努力が必要。
  • 好奇心、持続性(失敗にめげない)、楽観性、柔軟性(考えを変える)、冒険心(結果が見えなくても踏み出す)。

高校現場に弊害を生むキャリア理論

キャリアコンサルタントの理論のなかには、キャリアコンサルタントの父であるドナルド・E・スーパーはじめ、自己概念や、自己理解→職業理解→キャリア決定の流れがよく出てきます。

これは高校でのキャリア教育にも使われていますが、大きな歪みを生んでいるのが特徴です。

  • 生徒A 自己理解のテストをしてみたが、何となく腑に落ちないまま、それを前提に職業を選ぶことを強制されてしまった。進路行事が自分ごとに感じられない。
  • 生徒B 職業調べをやってみたが、ピンとくるものがない。しかし、選ばなければいけないので選び、その専門家の話を聞きレポートを書かされている。
  • 生徒C 自分は小さなころから美容師に憧れていたので、職業選びは自然に行えた。そのあと美容専門学校の人の話も聞けて満足度が高い。

高校生の段階では、自己概念は不十分ですし、本腰を入れて調べて知っている職業が少な過ぎます。そのため、生徒A、Bのような腑に落ちないまま進路行事のベルトコンベヤーに乗せられる生徒も多くいます。

学力のある生徒は、腑に落ちない感をそのまま受け止めますが、生徒によっては、無理に生活の範囲から興味がある仕事を探し出し、声優希望などになることもあります。キャリア教育によって、一見楽しそうだが将来が厳しい身近な職業を提唱する専門学校の草刈り場となっている実情もあります。

キャリコンの父ドナルド・E・スーパーは、社会で役割を演じるにつれ自己概念が変化してゆくことをはっきり指摘しています。高校生の自己概念はまだ内実が薄く、テストを鵜のみにすることは危険です。また、 ジョン・クルンボルツは、職業がイメージできない高校生のために、未決定の意義を述べたうえで、イメージできないから何もしないと投げ出すことがないように、計画された偶発性を訴えています。

ハリィ・ジュエラット|客観的意思決定と非合理的な思考

ハリィ・ジュエラットは、キャリア発達における意思決定をテーマに研究を続け、連続的意思決定プロセスを提唱しています。簡単に言えば「家を2度立てる」というような概念です。頭のなかで家を建て、次に実際の家を建てます。

連続的意思決定プロセス

段階詳細例(たとえ話)
目的・目標巨大台風に強い家を建てたい
データ(情報)収集暴風雨や水害に強いメーカーは?
ストラテジー・予測システム(選択肢ごとに結果を予測)
・価値システム(結果自身の価値観で評価)
・決定基準
・室戸台風級が来た場合、A社、B社、C社の耐久性は?
・自分が重視したいガラス割れへの耐久性ならどの社?出窓が安全?
・費用も考慮して決定
探索的(試験的)決定(→データへのフィードバック)A社に仮決定したが、住宅自体何年持つのだろう?(再度データ収集)
最終的決定総合的にA社に決定した

ハリィ・ジュエラットは、上のように客観的なキャリア決定を重視しました。例えば、人を美しくする仕事に就きたい場合、美容師、ネイルアーティスト、エスティシャンなどを調べ、自分が求めるもの(待遇、学費、自分の能力との相性)などを基準に評価し、さらに情報を集め、客観的にキャリアを決めることとなるでしょう。

ハリィ・ジュエラットは、後期には積極的不確実性を提唱し、発展的に訂正を行っています。これは、突然の変化や不確実性を受け入れる、非合理的な思考も必要だとするものです。例えば、美容師、ネイルアーティスト、エスティシャンについて、調べてもわからないことや先行きの変化もあります。ある種の直感もキャリア決定には役立つということです。

人間は完成された機械でなく、取り巻く環境も刻々と変わります。クルンボルツの計画された偶発性やハリィ・ジュエラットの積極的不確実性は、人の成長や社会の成長を前提に取り入れたものといえます。

エドガー・シャイン|組織・社員(シャイン)を前提とした理論

エドガー・シャインは、陸軍の研究所で洗脳研究を行ったあと、マサチューセッツ工科大学に移った独自の経歴を持っています。シャインの理論の特徴は、個人だけでなく、組織も成長するという考え方です。

視点説明筆者覚え書き
発達的視点キャリアは(固定的なイメージでの)個人と企業のマッチングではなく、組織と人の相互作用で、組織も人も成長し続けることが前提にあるべきという視点。筆者は、十分な準備なく部長職を経験しましたが、役職を得たことで成長した点があります。
臨床的視点組織以外の領域でも、個人の状況を考えるという視点。シャイン=組織心理学と捉えると、見落としがちな点です。部長職を得ましたが、自身の趣味や生活は犠牲となっており、長続きはしませんでした。

臨床的視点に関連し、エドガー・シャインは、キャリアは仕事以外の領域も持つと主張しています。これは、スーパーのライフスペース理論に影響を受けています。

  • A:生物学的、社会的サイクル
  • B:仕事・キャリアサイクル
  • C:家族関係サイクル

例えば、一般に新卒の大学生は、青春期を乗り越えつつありAによるストレスは弱まりますが、就活や組織への順応によりBのストレスが最大化します。一方、結婚をしていなければ、Cのストレスの影響は少なくなります。

エドガー・シャインの仕事・キャリアサイクル(キャリアコーン)

出典:渡辺 三枝子 新版キャリアの心理学(Amazon

シャインは、仕事・キャリアサイクルについて、組織へのエントリー → 正社員(主要な働き手)→ 非指導者→指導者 → 引退というサイクルを提唱しました。

新入社員は、与えられた職能の周縁部から取り組みます(例:営業部のスタッフ)。経験を積み(例:独立した営業マン)、階層が上がるにつれ、ほかの職能(例:総務部など)を経験し、中心的、統合的な地位を経験します。最上位の階層では、全体を見渡す役割となります。

これは、職務経歴、実績、地位といった客観的なものからなる外的キャリアです。これとは別に、個人が心の中に持つ主観的な内的キャリアが存在します。これこそが、シャインの名を知らしめるキャリアアンカーです。

エドガーシャインのキャリアアンカー

組織内の異動や解雇に出会ったとしても変わらない軸になるものを、シャインはキャリアアンカーと呼んでいます。

  • 専門分野
  • 全般管理
  • 自立、独立
  • 保障、安定
  • 起業家的創造性
  • 純粋な挑戦
  • 奉仕、社会献身
  • 生活様式

ナンシィ・シュロスバーグと人生上の転機

ナンシィ・シュロスバーグは、人生上の転機(トランジション)への対処法を研究しました。

  • 中年の危機(社内での転機、子の進学、親の介護など)
  • 人生途上の共通した課題

ナンシィ・シュロスバーグの視点

  • 文脈的(環境の変化など)、文化的(例:新卒一括採用)
  • 発達的(例:中年の危機)
  • ライフ・スパン
  • 転機(トランジション)

ストレスコーピング(ストレスへの対処)

  • ストレスそのものの解決(問題中心の対処)
  • ストレスによる心のゆがみを解決(情動中心の対処)

トランジション(転機)へのアプローチ

転機の3種類と影響

転機の3種類・予期していた 
・予期していなかった 
・期待したが起きなかった(ノンイベント)
影響・役割がなくなる 
・人間関係の変化 
・日常生活の変化 
・考え方の変化

転機のプロセス

転機の最初の段階は、始まりか終わりである。

終わりニュートラルゾーン
・自ら責任を持ち管理
始まり

何が変化するのか

  • 捨てるもの 
  • 終わったもの
  • 継続できるもの
  • 感情体験は捨てなくて良い
  • 大きな決断には時間をかけて良い  

対処のための資源(4つのS)

  • Situation(状況)状況の客観的評価
  • Self(自己)自己の特性や価値観を評価
  • Support 周囲の援助
  • Strategies(戦略)

ナンシィ・シュロスバーグのカウンセリング

①ラポール(関係性)形成
②アセスメント、質問
③ゴールの設定
④カウンセラーの介入
⑤終結、フォローアップ

前回今回次回
スーパー(キャリアレインボー)、ホーランド(六角形)のキャリア理論を分かりやすく #06クルンボルツ、シャイン、シュロスバーグ ら現代的キャリア理論を分かりやすく #07 ホール、ハンセン、サビカスの流動的な現在のキャリア理論|キャリコン基礎理論対策 #08

【実体験】キャリアコンサルタント 参考書・問題集の選び方

【実体験】キャリアコンサルタントの学校の選び方


関連コンテンツとスポンサーリンク


受験ネットから進呈

-教育問題

Copyright© 受験ネット , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.