スーパー(職業的適合性・アーチモデル)、ホランド|キャリコン基礎理論対策#06

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「跡継ぎ」「たまたま」を変革し、自分に合ったキャリア選択を提唱したのが、アメリカのパーソンズ、スーパー、ホランドです。それぞれ、特性因子理論、キャリアレインボー、6角形モデルが有名です!

15ページで分かるキャリアコンサルタント筆者プロフィール

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キャリコンの学習サイトは、分量が多過ぎたり、単純な暗記を促したりするものが多いようです。受験ネットでは、過不足のない、具体的でわかりやすい内容をめざしています。

キャリアコンサルタント 参考書・問題集の選び方

①キャリコンの概要#01(準備中)
キャリアコンサルタントの倫理とあるべき姿|キャリコン対策#02
ロジャーズとは?(来談者中心療法、内的準拠枠)|キャリコン対策#03
認知行動療法をわかりやすく|キャリコン対策#04
システマティックアプローチとは?|キャリコン対策#05
スーパー(職業的適合性・アーチモデル)、ホランド|キャリコン対策#06
クランボルツの意思決定・偶発性と、シャイン|キャリコン対策 #07
ホールと、サビカスのキャリアアダプタビリティ|キャリコン基礎理論対策 #08

コンサルティング全体の流れ#09労働経済白書と職業訓練、教育訓練給付金#10人事労務管理、社会人基礎力#11学校のキャリア理論#12労働関係の法律#13社会保障制度・メンタルヘルス#14学科試験・実技試験(論述・面接)対策#15

スーパーの理論の原点は、パーソンズ「丸い釘は丸い穴へ」

ボストン
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アメリカ東部の町・ボストンで、恵まれない若者に対し、工場などへの就職指導を行っていたパーソンズが、職業指導運動の元祖です。

職業選びは「跡をついで」「なんとなく」という風潮のなか、「丸い釘は丸い穴へ」を提唱し、マッチングを重視する特性因子論の原型となりました。自己理解、仕事理解、推論(自己理解とふさわしい仕事の組み合わせ)の3つの要素が提唱されています。

スーパーの自己概念(職業的適合性)とライフキャリアレインボー|スーパーは毎回出ます!

出典:http://psychologyessence.blogspot.com/
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1910年にハワイ州生まれのドナルド・E・スーパー(は、キャリアカウンセリングの祖(父)、あるいは◯◯◯◯の祖(父)と呼ばれます

👉職業指導の祖

1つの理論では不十分であるが持論で、「差異-発達-社会-現象心理学」と自らの理論を説明しています。自己概念、〇〇因子論(各自が持っている特性、因子)の統合が、スーパーの理論の根幹的な特徴です

👉特性因子論

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近年のキャリアコンサルティングの学科試験では、頻出用語の丸暗記に対処するため、根本原則が問われることが増えています。
スーパーの根本原則は、自己概念と特性因子論の統合です。パーソンズに比べて、自己概念を重視するのがスーパーの特徴です。

自己概念のなかにあるのが、職業的適合性

ドナルド・E・スーパーによると、自己概念とは、主観的な自己イメージに、フィードバックをもとにした客観的な自己イメージを統合したものです。自己概念は、キャリア発達を通じて形成されます。ま

自己概念のなかで、職業に関係するものが職業的適合性です。能力とパーソナリティに分かれます。

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スーパーの職業適合性は、たびたび問われています! パソコンで言えば、能力はハードのイメージ、パーソナリティはソフトのイメージです。
また、人生は仕事だけではありません。あなたの部屋を人生に例えると、部屋が自己概念、パソコンが職業適合性です。

用語例え説明
自己概念部屋主観的な自己イメージに、フィードバックをもとにした客観的な自己イメージを統合したもの。キャリア発達を通じて形成。
重要 能力パソコン(ハード)適性 … 潜在的なもの。知能(言葉、数、抽象概念)など。
・技量 … 顕在的なもの。学力と熟練度。
重要 パーソナリティパソコン(ソフト)適応 … 生活環境に適応するための行動傾向(欲求、人格特性)
・価値観
・興味
・態度

(正誤問題)カウンセリングの祖ともされるドナルド・E・スーパーは、パーソナリティの1つに適性が含まれると指摘している。

ヒント:下記に説明。

適性と適応は、日本語が似ているので、混同に注意します。

盲点 キャリアアダプタビリティは、あとから習うサビカスのイメージが強いですが、初めに提唱したのは、スーパーです。

自己概念の形成はキャリアとともに(ライフキャリアレインボー)

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スーパーは、役割(=ライフ〇〇〇〇)と、時間の流れ(年齢)の2つの軸を取ることで、人生を説明し、役割が充実するほど人生が豊かになると考えています。

👉ライフスペース

ライフスペース(役割)=労働者、家庭人、余暇人など

ライフスペース(役割)は、家庭、学校、働く場、地域社会に存在する役割です。スペースとありますが場所ではなく、占める役割を意味します。

子ども|学生|余暇人|市民|労働者|家庭人(独身、家族問わず)|その他

(注)『新版キャリアの心理学』による分類。学者により、分類が多少異なります。

ライフスパン(時間)=5段階のライフステージ

ライフステージは人生の階段のようなものです。階段を上る一連の流れを、 〇〇〇サイクル と呼びます。次の期へ移るときの行きつ戻りつの動きを、ミニサイクルと呼びます。階段を上るのが〇〇〇サイクル、踊り場での逡巡がミニサイクルと例えられます。

👉いずれもマキシサイクル

※ライフスパンは、ライフステージと呼ぶことがあります。

ライフスパン課題(近年頻出。成長段階を除き、課題は全て出題歴あり)
成長段階 0歳~・どのような人なのかについての考えを発達させる。
探索段階  15歳~職業的好みが具現化、特定化される。
・現実的な自己概念を発達、より多くの機会についていっそう学ぶ。
頻出 確立段階 25歳~・希望する仕事をする機会を見つける
・職業的地位の安定を築く
他者との関わり方を学ぶ地固めと向上
※前後の段階に比べ、つかみづらい面があり、誤答しやすいです。職に就くという意味ではなく、本当に自身に合った職に就くというイメージです(高学歴化した日本では、30代のイメージ)。
維持段階 45歳~・自らの限界を受容する
・本質的な行動に焦点を当てる
・獲得した地位や利益を保持する
解放段階 65歳~・職業外の役割を開発する
・堂々とやりたいと思っていたことをやる
・労働時間を減らす

『新版キャリアの心理学(第2版)』P.46~47より抜粋。

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スーパーのライフステージで、出題の可能性がたかいのは、んさく(探索)、くりつ(確立)、じ(維持)の3つです。

ライフキャリアレインボー

mindtools.com

スーパーは、人生のライフスパン(時間)とライフスペース(役割)を虹のような図で示し、役割が充実するほど人生が豊かになると説明しています。

子ども|学生|余暇人|市民|労働者|家庭人(独身、家族問わず)|その他

図では、子どもの役割が0歳から70歳近くまで続いています。これは、両親が亡くなるまでは、成人しても子の役割が続くことを示します。一方、学生の役割は25歳までには終えますが、定年付近で復学する人が多いことを示しています。

アーチモデルは、スーパーが自身の業績をまとめたもの

アーチモデル

(注)キャリコンの資格取得の権威書、渡辺三枝子『新版 キャリアの心理学』50ページに掲載の訳語を正確に転記しています。

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スーパーの根本原則は、自己概念と特性因子論の統合、よく知られる業績はライフキャリアレインボーです。
しかし、スーパー自身が、1つの理論では不十分であると述べているように、かなりの広がりがあります。

そのためスーパーは、晩年に、自身の主張の要約として、旅先のアーチ橋をヒントに、アーチモデルを作り上げました。

アーチモデルは、生まれや家計が職業を決めていた状況を打破するために、生まれ育ちを礎石、自己を要石かなめいしとして、キャリア開拓の道筋を誰にでも分かるように示したものです。スーパーの業績のまとめであると同時に、さまざまな人のキャリアの成り立ちを示す図ともなっています。

発達段階→役割自己概念自己役割自己概念←発達段階
達成雇用慣行
パーソナリティ社会政策
興味・関心|特殊な才能同僚・仲間のグループ|労働市場
価値観|才能・資質ファミリー|社会
学校
欲求|知性コミュニティ|経済
要石要石
正確な配置は上の図をご覧ください

キャリア発達の理論的アプローチの14の命題

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ドナルド・E・スーパーの理論は、14の命題にまとめられています。

命題要旨
能力パーソナリティに個人差がある。
重要 人の持ち味を、能力・パーソナリティに分ける観点は、非常によく問われます。
②ある1人は、多くの職業への適合性を持つ。
③個々の職業は、求める能力、パーソナリティに独自のパターンを持つ。
④自己概念は、生活や仕事で変化してゆく
⑤自己概念は、成長から解放までのマキシサイクル(ライフステージ)に沿って変化する。
重要 ライフキャリアレインボーと関連して重要です。
⑥~⑨は重要度が落ちますのでまとめます。
・キャリアパターンとは、到達した職業レベルである。
・ライフステージごとに課される要求への対処はレディネス(準備)で決まる。
・キャリアの成熟は、心理社会的構成概念であり、成長から解放までのライフステージの程度を意味する。
・ライフステージの階段を上がるには、能力、興味、対処行動、現実吟味、自己概念などが関わる。
キャリア発達とは、職業的な自己概念の発達と実現のプロセスである。
重要 自己概念に重きを置いたスーパーの特徴として、よく問われます。
⑪個人(自己)⇔社会(現実)の統合と妥協は、役割を演じフィードバックを受けるなかで学習される。
⑫満足度は、価値観、欲求、能力、自己概念などを適切に表現する場をどの程度見つけるかで決まる。
⑬仕事の満足度は、自己概念を具現化できた程度に比例する。
ポイント ⑩⑫⑬は、自己概念について同様の内容を3回くり返しています。
⑭仕事はたいていの人にとってパーソナリティ構成の焦点となるが、学生、余暇人、家庭人、市民が中心になる人もいる。

ホランドの RIASEC の六角形

出典:http://www.koyoerc.or.jp/assets/files/349/07.pdf

アメリカの心理学者、ジョン・L・ホランド(=ホランド)は、個人と環境の交互作用(PE理論※)に重きを置いたことが特徴です。毎回ではないものの、よく出題される理論家です。

※person-environmental fit

  • ×遺伝(生得的な資質)的に、数字が得意でない。
  • ×高校が文系重視だったから、数学ができない。
  • 〇生まれつき数学が得意ではなかったが、友人の影響で数学に興味を持ち、日々触れることで能力が高まっていった。

盲点 スーパーとホランドの考え方は、多少異なります。ホランドはパーソンズと同様に、合致に注目しますが、スーパーは自己概念に比重があります。

  • 仕事から獲得する満足の程度は、自己概念を具現化できた程度に比例する(スーパー)
  • 職業満足、職業上の安定性や業績は、個人のパーソナリティとその人の働く環境との一致の程度に依拠する(ホランド)

RIASEC の六角形

Theorizing the Labour Market

ホランドは、軍や障がい者施設でカウンセラーとして働くなか、個人の行動傾向が比較的少ない類型に分かれることに気づきました(渡辺三枝子、新版キャリアの心理学p68)。

RIASECの順に配置された6角形は、現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的と訳すことができ、隣同士は関連性があることが特色です。3つの要素の組み合わせで示すことが多くで、〇〇〇〇〇〇〇〇〇と呼び、SEA(ASE、AES)型などに分類されます

👉スリーレターコード

R(現実的)機械や物を対象とする、明確で実際的な仕事(例:大工、調理師)
I(研究的)研究や調査などの仕事(例:大学教授、製薬会社の研究員)。実証的、抽象的、体系的、創造的に研究する活動。
注意 Independenceのイメージから「独立的」と書かれるひっかけに注意します。
A(芸術的)音楽、美術、文芸などのほか創意工夫を要する仕事。(定義自体には、 「芸術的作品の創造を目的とした」が入ります。運用上は少し広く解釈されているようです)。
S(社会的)人に接したり奉仕したりする仕事(例:教育、医療、福祉)。〇〇に影響を与えるような、情報伝達、訓練や教育、治療や啓蒙のような活動を好む傾向。
E(企業的)企画、組織運営、経営(例:企画職、フリーランス)。組織的目標の達成や経済的利益を目的とした他者との交渉を伴う活動を好む傾向。
C(慣習的)定まった方式や規則(例:簿記、医療事務)。資料を系統的、秩序的、体系的に扱うことを必要とする活動を好む
混同注意 R(現実的)と混同させる出題があります。R現実的は「モノ」、C慣習的は「資料」の操作です。

👉他者に影響を与えるような

(正誤問題)ホランドによれば研究者タイプは、観察できる諸現象に対する、実証的、抽象的、体系的、創造的な研究活動を好むとされる。

ヒント:実証、創造という文字が入り、違和感を覚えるかもしれませんが、上の表を見てください。答え:正しい。

なお、筆者は自己診断ではSIA(社会・研究・芸術)型でしたが、実際にVPI職業適性検査を行ったところ、SEA(社会・企業・芸術)型でした。このことから自己認識では、研究というよりは、企画・経営に適性があることがわかりました。

六角形モデルには、次のような考え方があります。

  • 〇〇〇 … 3レターコードが隣り合っている場合は、適した環境との適合性が高い
  • 分化・未分化 … パーソナリティごとの数値にメリハリがある場合は分化と呼ぶ。全て低い、全て高いは未分化。
  • 同一性 … 自己理解との一致。
  • 一致度 … 環境との一致。
  • 頻出 〇〇性 … 隣り合わせのものは近く、遠ければ遠い。距離と反比例する。

👉一貫性、凝縮性

パーソナリティタイプの発達

6つのパーソナリティ(RIASEC)は、環境との交互作用や人間の成長により、変化してゆくことが普通です。

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キャリコンの学科試験では、丸暗記への対策として、理論家の根幹を問う傾向が出てきています。ホランドなら、RIASECの丸暗記も必要ですが、環境との交互作用のような根幹を理解していない受験生は、落とされます。

VPI職業適性検査

VPI職業適性検査

ホランドの理論は、日本でも頻出 VPI職業適性検査(ピンク色の紙の検査用紙)で知られています。ホランドは、人と環境の交互作用の結果を6つのパーソナリティに分け、六角形モデルを作りました。

(参考)学生向けの職業レディネステストも、ホランドの理論をもとにしています。

盲点 ホランドは、個人の特徴を6類型に分けたうえで、隣接する3要素の凝縮性を指摘します。一方、ホランドが自身の集大成として開発したVPI職業適性検査は、個人の特徴を、3要素(スリーレターコード)や5つの行動傾向で、多面的に解釈します。VPIは、ホランド自身への批判(人を単純に6分類している)への批判を、踏まえたものと言えるかもしれません。

ウィリアムソン

盲点 特性因子理論は、パーソンズから、スーパー、ホランドへという流れが、学習の中心を占めますが、ウィリアムソンも出題されることがあります。特性因子理論カウンセリングの5つのステップがキーワードです。

ウィリアムソンの特性因子理論は、人の持っている特性、特徴は正確に測定でき、環境との組み合わせや合致度を検討できるとするものです。人と環境のマッチングを重視します。

  • 特性因子 … 知性、性格、興味、価値観。時間や場所に関わりないもの。

因子、環境のいずれか、または両方を変えることが解決策となるとします。特性因子理論の面ではパーソンズに近く、カウンセリングの5つのステップに注目して覚えてもよいでしょう。

キャリコ
キャリコ

パーソンズ、ウィリアムソンは、名前も似ています。

カウンセリングの5つのステップ

  1. 分析 … 主観的、客観的にクライエントの情報を集める。
  2. 統合 … 情報を整理し、問題を明確にする。
  3. 診断 … 問題の原因を特定する。
  4. カウンセリング … 選択可能な行動や対応を示す。
  5. フォロー … 結果の確認とサポート。

プレディガー

ホランドの6角形モデルの原理には、4つのワーク・タスクがあり、モノ対ヒト、データ対アイデアの2つの次元があると考えた。

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①キャリコンの概要#01(準備中)
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クランボルツの意思決定・偶発性と、シャイン|キャリコン対策 #07
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コンサルティング全体の流れ#09労働経済白書と職業訓練、教育訓練給付金#10人事労務管理、社会人基礎力#11学校のキャリア理論#12労働関係の法律#13社会保障制度・メンタルヘルス#14学科試験・実技試験(論述・面接)対策#15

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