小論文 採点基準や点数はどうなっているの?


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小論文対策で気になるのが、採点基準。どのような基準で点数をつけているのでしょうか? 予備校講師経験者が、大学入試、慶応義塾大、看護、公務員、高校入試などに分けて、わかりやすく説明します。

  • 予備校講師を経て、年に約80の高校で、小論文講座などを担当している、受験ネットの加藤がお答えします。
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ある有名大学の小論文採点基準

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現在は非公開になっていますが、明治大学の小論文採点票の概要です(現在は異なる可能性)。大学入試はもちろん、それ以外の方も基本の採点基準として参考になります。

項目満点(合計100点)参考
論旨の明確さ満点28点(5段階)他大では「説得力」「客観性」「段落構成」等の分類の可能性。
内容の独創性満点28点(5段階)他大では「独自性」等の表現がある。
タイトルの正確さ満点16点(5段階)他大では「結論の明確さ」等にあたる。
文章表現満点16点(5段階)
漢字やかなづかい満点12点(5段階)
字数約95%以上:減点なし 90%以上:6点減点 89%以下:9~15点減点大学受験の目安と言われる、9割を超えても減点されており、厳しめ。

なお、上の採点票には、他大でよく見られる、課題文(または資料)の読み取りが抜けていることに注意してください。


上越教育大の採点基準

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日本有数の教育大と言われる、上越教育大学が、小論文の採点基準を公表しました。大学側による公表は珍しく、大変参考になります。

項目観点(満点は90点、配点非公表)参考
読解力筆者の論旨を的確に読み解き、要旨としてまとめられているか。上で補足説明した「課題文(または資料)の読み取り」にあたる。
独自性(出題における)「経験」の意味について、自分自身の反省や考察に基づいた議論が行われているか。
表現力論述に一貫性や明晰性があり、適切な表現を用いて文章がまとめられているか。他大では「論旨の明確さ」と「文章表現」のように、分けられることも多い。

各大学の採点基準づくりの元ネタは?

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ある有名予備校の小論文模試の採点基準は、明治大学の採点基準を参考に作成されたと思われます。では、各大学の入試担当者は、何を参考に採点基準を決めているのでしょうか?

1つには、宇佐美慧准教授(東京大学高大接続研究開発センター追跡調査部門)が、Remondino(1958)、渡部他(1988)を参考に、小論文試験の専門家と作り上げた、評価観点が考えられます。それは、次のようになっています。

評価観点内容明治大上教大
語句誤字・脱字はないか。送り仮名は正しく書かれているか。漢字やかなづかい表現力
表現の正確さ語句の表現が正確であり、読み手に言葉の意味が適切に通じるか。文章表現表現力
語彙力年齢相応の語彙力があり、表現が稚拙でないか。文章表現表現力
課題内容の解釈設問の意図を正しく理解できており、小論文がそれに正しく答える内容となっているか。
簡潔性文章は冗長でなく、簡潔であるか。
主張の明確性自己の主張内容が、文章内に明確に盛り込まれているか。タイトル表現力
構成小論文の内容的構成が適切であり、自然な順序になっているか。論旨の明確さ表現力
一貫性展開されている主張の論旨が一貫しており、矛盾がないか。論旨の明確さ表現力
説得力展開されている主張が説得的であり、納得できるか。論旨の明確さ
独創性文章には書き手自身の独自な観点・発想が盛り込まれていたか。内容の独創性独自性
要約要約が簡潔であり、グラフの内容が正確に読み取れていたか。読解力
形式原稿用紙の正しい使い方・段落の設定・回答字数について問題はなかったか。字数

項目が多くやや扱いにくいですが、高校の先生で、小論文の採点基準を作成されるときなどに便利です。

受験生用にまとめたもの

受験生用に、宇佐美慧准教授の研究内容、明治大、上教大などの採点基準をまとめたものです。初心者の方は、「基本」をまず意識します。慣れてきたら「基本」「標準」の両方に気をつけてください。「応用」は、難関大受験者を中心に、受験準備期には意識してください。

具体的に、どこに気をつければ良いのか?

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採点基準は分かったけど、書くときにどこに気をつければいいの?

はい。気をつけることを具体的に示してゆきます。

設問(設問の指示に従う、字数)

小論文では、「筆者の考え方を踏まえて」など、設問に指示が加わることがあります。しかし、自分の考えだけを書き連ね、自分の得意分野に強引に結び付る答案も提出されます。このように設問の指示に従わない場合、厳密に言えば0点です。算数で、1と1を足しなさいと指示され、引き算をしたのと同じことであり、厳しい採点なら、即不合格が決まります。

大学としても、文章をよく読まない、他人の言葉に耳を傾けられない、このような受験生は、歓迎したくないのが本音です。

また、字数制限にも注意してください。大学入試、公務員試験等では9割、高校入試では8割が目安となります。

表現(漢字、送り仮名、語句)

漢字については、間違った漢字や送り仮名に気をつけることはもちろんですが、学年相応の漢字を使えることが重要です。とくに、小中学校で習う漢字が書けていないことは、小中学校の勉強にしっかり取り組んでいない、新聞も本も読まない、とPRしているのと同じことになってしまいます。

もし、小中学校レベルの漢字を忘れてしまったときは、ほかの言葉に言い換えるようにします。

また、意味が正確に伝わる語句を選びます。例えば「うがった見方」という語句は、悪い意味のイメージがあるかも知れませんが、本来は、本質を突いた見方という意味です。

さらに、話し(若者)言葉、省略語の混入にも注意が必要です。話し(若者)言葉としては、「たり」の誤用や、「とか」「なので」の使用が目立ちます。省略語としては、「SNS」「中学」「部活」などです(ソーシャルネットワークサービス、中学校、部活動)。

さいごに、長すぎ分かりにくい文や、主語述語のずれにも注意が必要です。

文章表現については、「誤り」が無限にありますので、誤りを覚えるのは非現実的です。朝日新聞社の週刊誌『AERA』のように、正しい日本語で書かれた文章に、なるべく毎日触れることで、誤りは自然になくなってゆきます。

なお、基本ですが、原稿用紙の使い方も採点対象です。また、小論文は、だ・である調が基本です。ただし、作文に近い内容(学生生活、今後取り組みたいこと、将来像)の場合、です・ます調でも構いません。

漢字やかなづかいについては、漢検2級が有効ですが、対策の時間がない場合、朝日新聞社の週刊誌『AERA』を毎週読み、意味や読みの分からなかった漢字を、全て記録し、覚えてゆくことがおすすめです。

そのときに、記事から例文を抜き出しておくと、小論文に必要な背景知識のストックにも役立ちます。背景知識については、以下の記事も参考になります。

関連 小論文の参考書おすすめ7冊と勉強・対策法を予備校講師が伝授!

一貫性

小論文では、「メリット・デメリットとも見られ一概には言えない」「今後、1人1人が、よく考えてゆかなくてはならない」というような、あいまいな結論は非常に嫌われます。賛否を明確にしたり、解決策を明示したりすることが、基本中の基本です。

ただし、「利用制限機能を使用するなら、小学生にスマートフォンを持たせるべきだ」のような、条件付きの賛成は、全く問題はありません。

読解力

説得力

論旨とは、議論の趣旨(狙い)という意味ですが、全体の流れの確かさ、説得力と考えてよいです。前提として、段落構成の適切さが重要で、段落構成を鍛えることが早道です。

簡単に言えば、双括型(冒頭と最後に結論がある)であること、本論が、その狙いごとにひとつの段落となっており、結論をしっかり支えていることが必要です。詳しくは、次の記事をご覧ください。

関連 【高校生や初心者向け】小論文の書き方・段落構成を分かりやすく教えてください!

独創性

独創性については、少し注意が必要です。課題文が示した方向性に逆らって書くことで、独創性は高まるように思えます。しかし、課題文は評論家が手がけており、大きなミスがあることは少ないもの。基本的には、課題文の方向性を発展させた方が、得点にはつながることが多いです。

落とし穴 割合は少ないですが、あえて論理が成り立っていない課題文をつけ、反論力を見ることもあります(山梨大などで過去に事例あり)。

内容の独創性については、狙い過ぎた答案よりも、体験談や詳しい知識が目を引くことが多いです。例えば、新型コロナウイルスがテーマなら、知人に感染例があったり、台湾なり、韓国なりの対処法を非常に詳しく調べてあったり、というケースで自然に独自性が高まります。

看護、公務員等の志望なら、ボランティア等を通じ、自身で体験を深めることも可能です。また、詳しい知識については、参考書の活用で差がつきます。

関連 小論文の参考書おすすめ7冊と勉強・対策法を予備校講師が伝授!

SFC(慶応義塾大)の小論文採点基準

慶応義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)に設置された、総合政策学部、環境情報学部では、小論文の比重が高くなっています。採点基準は、ほとんど公表されていませんが、入試要項には、以下のように記されています。

発想、論理的構成、表現などの総合的能力を問う。

論理的構成は、上で説明した「論旨・段落構成の明確さ(説得力を含む)」の対策をご覧ください。表現は「文章表現」「漢字やかなづかい」の対策をご覧ください。

注目したいのは、発想(上では「内容の独創性」)が先頭に書かれていることです。通常、大学入試では、まず正確に課題文(資料)を読み取れること、また奇をてらわなくてもよいので、自分の言葉で、しっかりとした論旨の進め方がなされていることを見てゆきます。基礎学力がないにも関わらず、奇を衒うことだけに長けた学生は、入学後に伸びないというのが、共通した見方だと考えられます。

一方、慶應義塾が基礎学力を見ないということではなく、慶応義塾の受験者なら、読み取りや論旨の進め方についてはできて当たり前という発想があるものと推測されます。そのため、入試対策としては、課題文(資料)の読み取り、論旨の展開をまず完璧に行うことが必要です。その上で、独自の発想を身につけるという順番が重要です。

看護の小論文採点基準

公務員の小論文採点基準

高校入試の小論文採点基準


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