このページでは、農・水産・畜産学部の小論文について、テーマ・過去問や、書き方・例文・対策方法をわかりやすく説明しています!
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農・水産・畜産学部 小論文の2023年度入試の出題予想
2023年度の出題予想、ズバリ6テーマです。
- SDGs
- 生物多様性、環境問題、自然エネルギー、バイオエタノール、植物を利用の製品
- 食糧生産、自給率、TPP問題
- 食品や菌類の機能と安全性
- 農村の過疎化・高齢化、農業の近代化、6次産業化(参考ページ)
- 大学で取り組みたい研究(作文)
出題例 2022年5月、「令和3年度 食料・農業・農村白書」が公表された。あなたが関心をもつ章を1つ選び、200字以内で要約したうえ、600字以内で、自由に意見を述べなさい。
2022年5月発表の『食料・農業・農村白書』は出題の宝庫!
農学・畜産学部志望者が、ぜひチェックしたいのが農林水産省の『食料・農業・農村白書』です。第1章から第4章のほか、トピックスも出題の宝庫です。
5月に発表のため、小論文問題作成に間に合う可能性があり、出題の参考にされる可能性は十分あります。受験学科にもよりますが、できれば全て(4つの章、7つのトピック)について、要約と意見論述を書いてください。
過去問の傾向から、関連が深いと考えられる場合、過去の白書もざっとチェックしておくと万全です。実際に、過去の白書から出題された例もあります。
(例)鹿児島大学が、2021年に2014年の白書から出題しています。
なお、『ジュニア農林⽔産⽩書2021年版』も大変参考になります。先にこちらの内容をすべて押さえてから、 『食料・農業・農村白書』に挑戦するとよいでしょう。
農・水産・畜産学部小論文の過去問
- 「令和3年度 食料・農業・農村白書」を踏まえ、新型コロナウイルス感染症により農・水産・畜産業にどのような影響があったかを述べ、有効な対策を論じなさい。(例題、予想問題)
- 過疎化や高齢化が農村の農業に与える影響とその対策について、あなたの考えを400字以内で述べなさい。(鹿児島大2021農‐後期)
- 将来あなたが農林業の分野に関わるとしたら、どのような6次産業化を考えますか。それによる社会的な貢献も含めて500字以上600字以内で述べなさい。(高知大2021農林資源環境科学)
- 米国やブラジルでは、トウモロコシ等を原料にバイオ燃料としてのエタノールを生産し、ガソホール(※エタノールとガソリンを混合した燃料)として大量使用している。これをさらに拡大していくことの問題点と、バイオ燃料としてのエタノールの生産拡大のための考えられる解決策を説明せよ。(熊本県立大)
- 日本の食料自給率向上のためには、どんなことが必要だと考えるか(酪農学園大)
- 食料自給率向上と環境保全の観点から、将来の日本農業のあり方について論じよ。さらに、その将来の日本農業にあなたはどのように関わることができるか述べよ。(東京農業大)
- 乳酸菌の機能と発酵食品における役割を説明せよ(九州大)
- あなたは「地産地消」の取り組みをどのように評価するか。根拠を示して述べよ。(新潟大)
- 日本は国土に占める農地の割合が13%程度と先進国の中でもとりわけ少ない。近年、屋内で光や温度、栄養分などを管理しながら農作物を計画的に栽培する「植物工場」が各地で建設されている。この流れに対するあなたの考えを述べよ。(東北大)
- 次の(1)と(2)に関して、それぞれ400字を目安に答えなさい。(東京農業大2020学校推薦型)
(1) あなたは、海洋水産学科で何を学び、研究したいですか。学科の分野・研究室の内容を踏まえて記述してください。
(2) オホーツクの水産業で重要なサケ類やホタテガイなどの水産資源の現状と今後の課題について、あなた自身の考えを述べてください。 - 我が国の経済と生物多様性との関係について、 どのような課題があり、対策として何が必要か述べなさい。(信州大)
- 下記に示した 6 つの SDGs の目標の中で一つを選び、その目標を達成させるために、あなたが将来、大学において、どのようなことを学び貢献できると思うか、あなたの考えを 1,000 字程度で述べなさい。(帯広畜産大2021後期)
SDGs の目標(抜粋)
【目標 2】[飢餓をゼロに]飢餓を終わらせ,食料安全保障及び栄養の改善を実現し,持続可能な農業を促進する
【目標 6】[安全な水とトイレを世界中に]すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保す
【目標 7】[エネルギーをみんなにそしてクリーンに]すべての人々の,安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
【目標 9】[産業と技術革新の基盤を作ろう]強靱(レジリエント)なインフラ構築,包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る
【目標 12】[作る責任使う責任]持続可能な消費生産形態を確保する
【目標 15】[陸の豊かさも守ろう]陸域生態系の保護,回復,持続可能な利用の推進,持続可能な森林の経営,砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
※東京農業大では、学びたいことや将来像など、作文の要素を含めた出題がひんぱんに行われます。
農・水産・畜産学部の小論文の対策
農学部
農学部では、農村の過疎化・高齢化、農業の近代化、6次産業化(問題番号1、2番)、食糧生産、自給率、TPP問題(3番、4番)、生物多様性、環境問題、自然エネルギー、バイオエタノール、植物を利用の製品(7、8番)など、限られた注目すべきテーマが繰り返し出題される傾向があります。似たテーマの連続出題もときにありますので、志望校の過去問研究は必須です。
農学部の場合、まず志望校の過去問をさかのぼり、全ての小論文を書き、受験校の教授陣の意識の向け方や、受験生に求めるレベルをつかみます。そのときに、関連知識をノートにまとめるのが有効です。志望校の過去問を解いたあと、他大学の農学部の過去問を解きます。
農学・畜産系志望の場合、『農業がわかると社会のしくみが見えてくる』が、分かりやすくおすすめです。またニュース週刊誌の『AERA』で、農業・畜産に関わらず、社会全体の動き(地方の課題・都市住民の悩み、災害、SDGsなど)を押さえることも必要です。農業・畜産は、つねに社会的な課題とともにあるからです。
水産・畜産学部
水産・畜産学部は、学部設置校自体が少ないため、志望校の過去問研究に加え、同じ学部を持つ他大学の過去問も研究してゆきます。
小論文の書き方
小論文の段落構成は600~800字の場合、上の4段落構成(赤い枠内)が標準です。くわしくは、次のページで説明してあります。
小論文の例文 日本の農業・地産地消
あなたは地産地消の取り組みをどのように評価するか。根拠を示して述べよ。(新潟大)
現在、地方を中心に、地産地消の取り組みが進められている。地産地消の取り組みは、地方が自らの手で活性化を図るうえで、有効な手段だと考える。
食べ物は、海外や国内の別の産地から買いつけるよりも、地産地消の方が、地元に対する経済効果は当然大きい。輸送を抑制することで、環境保護にもつながる。生産者の顔が見えるという点で、安心材料にもなるし、学校の食育にも採用しやすい。さらに、地産地消を軸として、販売所やさまざまな企画を軸に、地元住民同士の交流の場を作ることができる。地産地消の本来の意味からは外れるが、観光地では、観光客へのアピールにもつながる。純粋な地産地消、つまり地元のスーパーに地元産の野菜等が並んでいる場合、価格に敏感な消費者は必ずしも地元産を選ぶとは限らない。しかし、訪ねてきた観光客がその土地のものを消費したいという意欲は強く、経済効果が大きい。
一方、地産地消は、農業の適材適所に反する面もある。農産物や畜産物は、土壌や気候がそれに適した場所で価値が高いものを生産し、消費地へ輸送をするという考えた方も誤りではない。地産地消にこだわりすぎることなく、遠方の地域と、それぞれの自慢の作物を交換し、互いPRを助け合うような発想も必要だろう。
このように見てくると、地産地消は、その土地の土壌や気候に合い、ほかの地域では真似できない農産物の選択や、品種改良が大前提であることが分かる。石川県では、地元のラーメン店と提携し、ラーメンに合うキャベツが栽培され人気を得ているという。このように、地元客にも観光客にも訴求する、その土地の土壌や気候を生かした地産地消は、理想形と言えるだろう。(690字)
書き方のポイント
農・水産・畜産学部では、他学部に比べ出題されるテーマが限られます。そのため、受験生は主要テーマについて理解していて当然ともいえ、学習不足がないように心がけます。
小論文の例文 食品の安全・機能
人間の健康に役立つ食品を開発しようとする場合において、とるべき科学的な態度とはどのようなものであるか。(弘前大)
健康食品は、人の健康や生活習慣に大きな影響をもたらす。健康食品の開発においては、エビデンスに基づく開発が何よりも要求される。
健康に不安を持つ人は、ある食べ物が健康増進や特定の病気に効果があると聞けば、強い購入意欲を持つ。販売する側に立つと、とにかく健康を訴えれば、売れる食品が簡単に生み出せることになる。これを放置すれば、世の中は効果が疑わしい食品であふれてしまう。そのため、食品の開発には、特に厳密な科学的エビデンスが必要である。
トクホと呼ばれる特定保健用食品は、もっとも科学性の高い、実際の被験者を使ったランダム化比較試験が必ず行われる。ランダム化比較試験は、研究中の食品を実際に試してもらうグループと、別の方法を試すグループに分けてデータを取る方法である。高額な費用がかかる欠点があり、最近は機能性食品という区分も誕生したが、できる限り厳密な試験が望ましいことに変わりはない。
このように健康食品の開発に際しては、医学的な立場も踏まえて、厳密な試験を行うことが重要である。同時に、紛らわしい表現や根拠のない口コミ等により、科学的な裏付けがない健康食品が広まらないよう、消費者に訴えることも重要である。(502字)
書き方のポイント
食品関連のテーマは、想像以上に多くの要素があります。農薬、遺伝子組み換え食品、食中毒、BSE問題、食品添加物、放射性物質の残留、アレルギー物質、食品への異物混入、産地偽装、肥満、やせすぎ、偏食、フードファティズム(これさえ食べていれば大丈夫という考え方)などです。
病気の経験や、アレルギー、太り過ぎてしまった等の症状がない人は、食品に無関心になる傾向があります。関心が薄いテーマがないように、とくに気をつけます。
コメント
野生動物、環境などの小論文についての書き方を教えてください。
コメントありがとうございます。ご質問が抽象的すぎてお答えが難しいため、過去問の例などをお示しください。
「私と農業」という題名ですがどう書いたらいいでしょうか?
コメントありがとうございます。
例えば「農業」をテーマとした小論文の内容を考え、その後「私」に引きつける形が合いそうです。
通常、小論文は「賛否」「解決策の提案」「掘り下げ」の3種に分類できます。
農業は、「解決策の提案」が書きやすそうです。
農業に関する課題を考え原因を分析し、解決策を提案します。
例えば、農家の経営の不安定さを課題とするなら、原因は零細経営、天候に左右される、流通のあり方かもしれません。
大規模経営、工場生産の作物、直売などが考えられます。
このなかで、「私」自身が、大学で学び、解決に寄与できることを考えるのも一つの方法です。
小論文という形での出題なら、社会的または理系的な視野が求められます。
同時に作文要素である「私」が介在してくると取ることもできます。
※ただし大学の方針にもよります。例えば東農大なら、上の考え方が近いと思います。
一方、少し作文に寄らせるなら、農業に関係する体験を書き込み、
そこから社会や科学・農学(理系的な視野)に広げてゆく手もあります。
乾燥地帯での農業開発についての小論文の書き方教えてください
ご質問ありがとうございます。
小論文は、賛否が分かれるテーマのほか、例えば乾燥地帯での農業開発、新型コロナの感染防止対策など、賛否が分かれないテーマがあります。
この場合、課題を把握し原因を分析すること、その原因を取り除く解決策を具体的に示すことがポイントです。
乾燥地帯での農業開発については、インターネット上などに、信頼できそうな論文等があります。
例 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jals/25/4/25_279/_pdf/-char/ja
もちろん、書籍を購入しても構いません。
書き方は、
1段落目 現状のおおまかな説明と、テーマの提示。(この場合、結論は書かなくても構いません)
2段落目 課題の説明と原因分析
3段落目 具体的な解決策
4段落目 まとめ
がおすすめです。
例
課題 … 厳しい自然条件もあり農業の発展や食糧確保が困難
原因 … (1)作物栽培技術、圃場管理技術、節水灌漑技術の遅れ/(2)過放牧、過耕作、過伐採による砂漠化の進行
解決策 … (1)なら、灌漑開発に当たる人材の育成
以上となります。