看護医療系小論文のテーマ、書き方、例文

      2017/02/22

看護医療系小論文のテーマ、書き方、例文を紹介します。

筆者:予備校で文章指導歴約10年。現在は年に約100回、東日本で文章指導等を行っています。

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小論文の書き方・段落構成 たった1つの簡単な方法


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看護医療系の小論文の出題テーマ

看護医療系の小論文には様々な問い方があります。まずは、出題パターンを把握します。

【1】地頭を測るテーマ

看護医療系の小論文には、看護・医療の分野以外からの出題も目立ちます。次のような目的によります。

  1. 国家資格取得やスキルアップに必要な「国語力」「読解力」(=地頭)を測る。
  2. 医療従事者として、医師やほかの医療従事者と高度なコミュニケーションを取ることができる「国語力」「読解力」を測る。
  3. 視野を広く持ち、患者の置かれた様々な状況を理解するための「社会・文化への関心と知識」を測る。

(看護医療系小論文出題テーマ例)

① いじめ ② 環境問題 ③ 高齢社会 ④ 情報社会(人工知能) ⑤ 学ぶとはどういうことか ⑥ 働くとはどういうことか ⑦ 自然と人間の関係の考察

基礎学力、地頭を測るテーマへの対策は、以下の通りです。

  • 新聞、AERA(ニュース週刊誌)を読み、社会・文化への関心と知識を広げる(新聞を読んでこなかった方は、図書館でAERAのバックナンバーを多読するとカバーできます。できれば1年分が目安です)。
  • 漢字が弱い方は、漢検2級の学習をしてゆきます。AERA等、漢字の難度のバランスの良い雑誌を使い、分からない漢字をその場で覚えてゆく勉強法もあります。
  • 出題例に挙げたような頻出テーマは、すべて書いておきます。できれば添削を受けます。

【2】医療への高い関心を測るテーマ

看護医療系の資格取得、キャリアアップ、あるいは医療機関での仕事は苦労がつきものです。それに耐えられるだけの、医療への関心や深い思いがあるかを確認するのが、出題の目的です。

(看護医療系小論文出題テーマ例)

① 臓器移植 ② 感染症 ③ 終末医療 ④ 医療ミス(医療過誤) ⑤ どのような医療人を目指したいか(作文) ⑥ なぜ看護医療を志したのか(作文)

医療への高い関心を測るテーマへの対策は、どう行えば良いのでしょうか?

医療関係のテーマは、一見対策が難しそうですが、分かりやすい対策本が揃っていますので、攻めやすい分野です。1本でも多く、頻出テーマを扱った小論文を書きます。専門学校受験、大学院受験、転職等の場合も、大学受験参考書が役立ちます。

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【3】医療人としてふさわしいコミュニケーション力を測るテーマ

医療従事者として必要な、医療従事者同士あるいは患者との、コミュニケーション力や心のはたらきの強さを測る。これが出題の目的です。

(看護医療系小論文出題テーマ例)

① 感動したこと、過去の思い出(作文) ② やさしさ、思いやりについて ③ 医療従事者にとって必要なもの ④ 優れたコミュニケーションとは

医療人としてふさわしいコミュニケーション力を測るテーマへの対策は、どう行えば良いのでしょうか?

コミュニケーションに関しては、「小論文」として書く場合にも、具体的な体験を多く盛り込む必要があります。このテーマに関しては、小論文であっても「です・ます」調を使っても良いでしょう。1本でも多く、頻出テーマを扱った小論文を書きます。

【4】数的なものへの強み(数値力)を測るテーマ

看護医療系の資格取得・キャリアアップや、医療現場では、数値を扱うことが多くなります。看護医療系には、医師・薬剤師を除き文系の方も多いのですが、数字に対する苦手意識が少ないことを確認します。これが、出題の目的です。

数的なものへの強み(数値力)を測るテーマへの対策は、どう行えば良いのでしょうか?

グラフや図表を使った問題は、よく見かける課題文(参考にする文章)の代わりにグラフや図表が登場するだけです。文系色が強い方でも、ひるむ必要はありません。

実際に多くのグラフ・図表型の小論文を書く練習を積めば慣れてきます。一見とっつきにくいですが、高度な数式は登場せず慣れが重要な問題ですので、一刻も早く対策をスタートします。なお、小論文を書く以外に、計算の練習(四則計算や高1程度までの数学)も効果があります。

志望に応じ対策する出題テーマを絞る/看護医療系の小論文

志望校の過去問を分析し「地頭系」「関心系」「コミュ力系」「数値力系」に分けてみましょう。系統がはっきりすれば対策は立てやすくなります。例えば以下のような分析をしてみましょう。

  • 毎年「地頭系」ばかり出題されている。
  • 「数値力系」としてグラフ・図表が出題されるが、テーマは看護医療以外の社会、文化に関連したものであり、「地頭系」の出題を兼ねている。
  • 小論文以外に『国語』が課されている。そのため小論文では目的が重なる「地頭系」でなく、「コミュ力系」「関心系」が交互に出ているようだ。

なお、小論文の出題者は、予告なく変わることが良くありますので、出ないと分析したタイプの問題も、念のために練習しておくきます。また、大学・専門学校・医療施設によっては出題の狙いを明らかにしています(HPになくても説明会等で教えてくれる場合があります)。もし説明がなかったら、「小論文ではどのような能力を問うのか、狙いを教えてもらえますか?」と質問してみましょう。

看護医療系小論文の例文 段落ごとの添削コメント付き

【設問】優れたコミュニケーションとはどのようなものか。

優れたコミュニケーションはどのようなものか。私が考える優れたコミュニケーションとは、様々な症状を持った患者全員が理解できる視覚や聴覚など様々な感覚を交えて分かりやすくしたものだと考える。なぜそう思ったのか、それには理由がある。

  1. 赤字の部分は、読点(、)が少なすぎ、読みにくくなっています。
  2. 第1段落は、全体の印象を左右するため、特に簡潔で読みやすく、ミスのない内容を心がけます。

私の家族の知人は、盲目である。私はその人と話をしたことがあるが、ただ話をするだけではしっかりとしたコミュニケーションを取ることが難しい。盲目患者は、形や形状が分からない。それ以外にも不便なことが多い。例えば、階段がありそこを登りたいとする。「階段があるよ。」と伝えるだけでは不充分だ。それだけでは患者を不安にさせてしまうだろう。安心させるため、安全のためには一緒に登ってあげるなど、しっかりとした説明が必要だ。言葉だけでなく、感覚や聴覚を充分に活用し、コミュニケーションを取ることが重要である。

  1. 盲目は差別用語ではありませんが、ややダイレクトすぎる表現です。「目が不自由な人」などに言い換えましょう。
  2. 「形や形状」とありますが、似た意味ですので、どちらかに絞ります。似た意味の繰り返しをつかむことは、国語力や読解力の基本となります。ミスのないように強く意識します。

私の親戚は、耳が遠い。高齢者は、耳が遠くなったり、視力が落ちたりすることが多い。その中で、優れたコミュニケーションをとるには、声量を大きくしたり、近くで話をしたり物事を伝えることが重要である。それだけではなく、言葉の解釈や意味が異なることも多いと私は感じた。はっきりと物事を伝えて、視覚聴覚を活かすことが重要であると感じた。

  1. この段落は、「耳が遠い」「耳が遠くなったり」「声量を大きくしたり、近くで話をしたり物事を伝えること」「聴覚」と、関連のある内容を繰り返し、文脈がきちんとつながっています。しかし、「視覚」については、段落の真ん中付近で触れられておらず、唐突に「言葉の解釈や意味が異なる」という別の話題が出てきて、読者が混乱します。このような、関連のある内容の繰り返しや文脈の崩れは、大きな減点につながります。

2.この小論文は、以下の構成で書かれています。

① 結論(抽象)
② 具体的な例・体験・理由・内容
③ 具体的な例・体験・理由・内容
④ 結論(抽象)

欠点は、②段落でも、③段落でも、似たような体験を用いていることです。説得力のある小論文は、②・③段落の角度が異なることが大半です。例えば、グルメ番組でも、芸能人の食レポだけでは、飽きてしまい信頼度も低くなります。評論家のコメントなど、角度を変えた内容を盛り込むことで、良い番組に仕上げています。今回は、③段落で、読書から得た知識などを、具体的な内容に発展させると良いでしょう。

以上の理由から、優れたコミュニケーションとは。様々な症状を持った患者全員が、理解でき、視覚や聴覚など様々な感覚を交え分かりやすくしたものだと考えた。

結論(まとめ)の段落ですが、1段落で触れていた、(身体的な)感覚の内容が落ちています。関連のある内容の繰り返しや文脈の崩れとなり、大きな減点につながります。

※この小論文を書かれた方は、繰り返しの意識が弱いということが、はっきりしています。小論文は、可能であれば添削を受け、クセを治してゆくことが、早い成長につながります。

看護医療系小論文の例文(完成版)

優れたコミュニケーションはどのようなものか。私は、相互理解を前提とし、患者の個性に合わせ様々な感覚を駆使した伝達方法だと考える。

私には目が不自由な知人がいる。私はその人と話をしたことがあるが、ただ話をするだけではしっかりとしたコミュニケーションを取ることが難しい。盲目の方は、ものの形状が分からない。そこから不安を感じることが多い。例えば、階段がありそこを登りたいとする。「階段があるよ」と伝えるだけでは不充分だ。それだけでは患者を不安にさせてしまうだろう。安心させるため、安全を確保するためには、声をかけながら手を添えるなど、しっかりとした手助けが必要だ。言葉だけでなく、聴覚や身体の感覚を充分に活用し、コミュニケーションを取ることが重要である。

一方、例えば盲目の方が、階段で上の階に行きたいという希望があったとしても、医療従事者にそれを伝えようという気持ちが起きなければ、そもそもコミュニケーションが始まらない。普段から、その医療従事者に心のゆとりがあり、様々な手助けを喜んで行う性格だということを、患者に理解してもらう必要がある。また、この患者は上の階で日の光や風を感じることを好むといった、細かな趣向を理解しておく必要がある。できれば、声をかけられる前にこちらから提案ができると良い。このようにコミュニケーションには、日常的な相互理解が大前提にあり、これを忘れては、コミュニケーションが成り立たない。

以上の理由から、優れたコミュニケーションとは、患者の個性に合わせ様々な感覚を交え分かりやすくしたものだと考えた。そして、大前提には、日常の相互理解の努力があると考える。

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