志望理由書や小論文 横書き・原稿用紙のルールを知る

受験ネット
受験ネット

志望理由書や小論文には、書き方のルールがあります。このページでは、入試でもっともよく見られる、横書き自由書式(白紙のほか、横線が入る場合あり)、横書き原稿用紙のルールを説明します。自己PRエントリーシートなどにも応用できます。

受験ネット代表 加藤詳細
早大卒、予備校講師を経て国家資格キャリアコンサルタント(登録番号20022587登録証)。高校内講演歴10年670回。
※Amazon等のプロモーションリンクを含む


よく頂く質問へのクイックアンサー

Q 改行の仕方は?
A 第1段落のはじめは1マス空けます(自由書式、原稿用紙とも)。段落を変えるときは、行を変え、1マス空けます。

Q 段落分けをしなくてよい字数は?
A 字数が300字程度(自由書式約10行以下)の場合は、段落を作らなくても構いません。その場合、はじめの1マスは空けなくてよいです。400字以上(自由書式約12行以上)の場合、2段落に分けるとよいです。

Q 改行のタイミングは?
A 小論文、志望理由書とも、要点ー詳しくー詳しくー要点のような、段落構成となります。その切れ目で、行を変えてください。

Q カギかっこは使ってよいですか?
A 小論文、志望理由書とも、カギかっこはなるべく避けます。とくにセリフ(会話文)のカギかっこは避けます。強調や読みやすさを意識したカギかっこは許されますが、1つの文章で、1から数語句程度が限度です。書名は『日本近代史』のように、必ず2重かっこを使います。

Q 句読点はどのように打ちますか?
A 原稿用紙では1マス使い、自由書式では自然な字幅を取ります。いずれの場合も、行の先頭に句読点が来る場合、前の行の最後に回します。

このほかのルールは、本文をお読みください。

小論文、志望理由書 書き方のルール 全て覚えなければ落ちる?

受験ネット
受験ネット

小論文模試の前日に、書き方のルールを調べたら30個以上あって、えっ、覚えきれない!となったことがあるんですが、本当に全部必要なんですか?

はい。小論文や志望理由書の記述ルールは、全て暗記が必要というわけではありません

例えば、アルファベットの原稿用紙への書き方には細かいルールがあります。しかし、大学や短大・専門学校が確かめたいのは、内容であって、アルファベットの書き方が、点数を大きく左右することはありません。

ただ、文学部や教育学部を受験する場合、やや細かく見られる可能性はあります。

合否に影響する小論文のルール10選 !

多数ある小論文の記述のルールのうち、外せない15個を選びました。まずはトップ10から説明してゆきます。

明日小論の模試があるという方は、まずは1位から5位だけで十分です!

  • 1位 100%落ちる!設問の指示から外れた答案
  • 2位 文字数のルール(◯◯字以内なら9割は書く!)
  • 3位 段落構成のルールはあるの?
  • 4位 小論文は、だ・である調のみ!
  • 5位 話し言葉と略語はNG(接続詞、若者言葉)
  • 6位 1文の長さと句読点の打ち方
  • 7位 先頭に書けない文字は、句読点・閉じかっこ・小文字
  • 8位 落ちないための漢字と記号のルール
  • 9位 要約の書き方のルール
  • 10位 似た言葉を繰りかえさない

1位  100%落ちる!設問の指示から外れた答案

設問の指示に従っているかは、どんな入試でも重要です。小中学校では、作文多少指示から外れても、個性的との評価を受けたかもしれませんが、大学入試では全く評価されません。これは、大学での論文執筆や研究の正確性に備えたものと言えます。専門学校もそれに近いと考えてください。

小論文では、設問の指示した内容から外れた答えは、一切評価されません。苦手なテーマが出題された場合、強引に自分の得意なテーマに結びつける答案がありますが、どんなに優れた内容でも、ルール違反として全く評価されませんので、これはぜひ覚えておいてください。

設問から外れた、0点の可能性もある小論文

(設問)内閣総理大臣のリーダーシップのあり方について、日本国憲法の規定を説明した上で、あなたの意見を論じなさい。

(小論文)私は、内閣総理大臣のリーダーシップとは、異なる意見にも耳を傾けることだと考える。/私は高校のバスケットボール部で、2年間部長を務めた。その中で感じたことは、人の意見は非常に多様であり、意外な意見にも見るべき点があるということだ。そもそも私がバスケットボール部の部長に選ばれたのは……

  • 日本国憲法の規定を説明という設問の指示に答えていない。
  • 内閣総理大臣のリーダーシップのあり方を論じるという設問の指示に答えずに、リーダーシップ一般に話をすり替えている。

また、課題文を踏まえてという誘導があるにも関わらず、課題文を素直に丁寧に読んでいなかったり、全く活用しなかったりすると、相当な低評価になります。文章力や発想力に自信がある受験生ほど、陥りやすい点ですのでぜひ注意してください。

課題文の内容は肯定すべき? 否定すべき?

課題文を踏まえて論述する場合、受験生が迷うのは、課題文を肯定して発展させるべきか、批判し否定すべきかです。課題文は専門的な知識のある評論家や研究者が書いているケースが多く、原則として肯定し、発展させた方が、失点は少ないでしょう。あら探しを行い、自分自身では論破できたと思っていても、採点官からみると的外れであることがあり、この場合かなり失点します。

ただし、まれに、穴だらけの文章が課題文として採用され、受験生がそれを見抜けるかを試す出題も見られます。過去問の傾向にも注意してください。

2位 文字数のルール(◯◯字以内なら9割は書く!)

小論文には600字以内、800字以内など、文字数のルールがあります。もし600字以内と指定された場合、何文字書けば良いのでしょうか?

答えは9割以上です。高校入試の時には、8割以上と習った方も多いと思いますが、大学入試ではより基準が厳しくなります。なおごく一部の大学では95%を下回ると減点しているケースもあります。通常9割で十分ですが、時間に余裕がある場合、なるべく原稿用紙いっぱいに使うようにしてみましょう。

ではもし600字以内という指示に対し、610字の小論文を提出したらどう評価されると思いますか?

そうですね……。10文字ぐらいならたくさん書けているわけだし、そこまで、減点はされないような気がしますが。

はい。それが一般的な受験生のイメージかもしれません。

しかし、実は、字数オーバーは受験では大減点です! 字数オーバーは、設問の指示を読んでいないか無視していることなり、大学で勉強する資格がないと見なされる可能性もあります。厳しく採点すれば0点という先生も少なくないくらいです。

一方、800字程度というように、程度がつく場合の文字数の指定の場合、はっきりした決まりはありませんが、プラスマイナス1割程度が目安です(できれば800字を少し超えましょう)。

時間オーバーは失格

小論文は時間との戦いとなることがあり、あと30秒あればというタイミングで終了の合図が聞こえることもあります。このような場合、指示を無視して書き続けると、失格(0点)となることもあります。対策として、小論文の冒頭に結論を書く癖をつけましょう。

3位 段落構成のルールはあるの?

段落構成は、小論文の点数には、相当高い影響力があります。小論文の採点上、論旨(ろんし、主張の流れ)や説得力は、非常に大きな配点を占めますが、それらを評価するのに、段落構成が参考にされるからです。

  • とくに点数が低いのは、400字を超える字数にもかかわらず、段落を1つも作らないことです。
  • 同様に点数が低いのは、インターネットのように、何行か書いて読みやすいように段落を変える、段落ごとの意味のまとまりがはっきりしない小論文です。ひんぱんな改行は、字数稼ぎと受け取られることもあり、非常にイメージが悪いです。

上の2つは受験本番では完全に圏外となり、受験ではむしろ段落構成の仕方が合否を分けます。

段落構成の仕方が合否を分ける

解説:【高校生や初心者向け】小論文の書き方・段落構成を分かりやすく教えてください!

段落構成のルールについては様々な考え方がありますので、大学側も一定のパターンに沿っていなければ減点ということはしません。

しかし、結論から入り、それを証明する理由や事例を挙げ、最後に改めて結論をまとめる書き方が、最も点数を取る可能性が高いです。

なぜなら受験生の文章は、文章力不足から読み取りづらいこと多く、採点官は、はじめに書かれた結論を手がかりに、中盤の少し分かりにくいところを理解しようとします。冒頭に結論がない小論文では、よほど文章力がないと、採点官は行ったり来たりしますので、負担をかける分、評価は下げられがちです。

  • (注)改行する場所、1文字開ける場所は、小論文では書き出しと段落が変わる場所のみとなります。小学校の作文のように、セリフで改行するルールは、小論文にはありません。
  • (注)原稿用紙の内部に、改行を使って題名や氏名等を書かせるケースはごく少数です。
  • (注)課題文がある小論文で、課題文を要約したあと、考えを書きなさいという指示の場合、結論でなく要約からスタートします。また、あまり例はありませんが、課題文があるのに要約問題が付されていない場合、全体の3割程度を使って、要約から書き出してください。

4位 小論文は、だ・である調のみ!

文章には、丁寧なですます調と、言い切りのだ・である調があります。小論文は、だ・である調で書くのがルールということは知っていると思いますが、なぜか分かりますか?

そうですね。。小論をだ・である調で書くことは、高校の国語表現で習ったんですが、その理由は……? ですますだと、自信なさげだからですかね??

そうですね。主に作文で使うですます調は、丁寧語です。つまり、相手に気遣いをするための言葉です。

しかし、小論文は基本的には誰が書いたのはあまり関係がなく、意見(結論)が明確な証拠を伴って書かれているかがポイントなり、少し距離を置いて読まれます。そのため、相手との距離を縮める、ですます調はふさわしくないと言えるんですね。

5位 話し言葉と略語はNG(接続詞、若者言葉)

小論文では、話し言葉は減点対象です。

結論を先に書いておくと、たり・とか・なので減点される受験生が目立ちます。たり・とか・なのでは、使わないと覚えておきましょう。

話し言葉とは、新聞やテレビのニュース原稿では使われない言葉です。現在は、新聞を読む人が減っていますので、書き言葉と話し言葉の区別が難しいという人が多いです。難関大学を目指すなら、新聞または週刊誌『AERA』を読むと良いでしょう。そこで使われている言葉が、書き言葉です。

そこまで時間がない場合は、よく減点になる言葉(たり、とか、なので)を覚えておきましょう。典型例は、接続詞として使われる「なので」です。「なので」は、接続詞としての使い方は、本来なく、新聞やテレビのニュース原稿では使われていません。

接続詞なのでは、そのために言い換える

「なので」を使いたくなったら、書き換えとして、したがって、そのため、それゆえ、が候補となります。もし1つだけ覚えておくなら、そのため、が良いでしょう。

  • (接続詞的な用法の)なので、→ そのため、

たりは、2個以上セットで

「たり」は、行ったり来たり、受験勉強をしたりアルバイトをしたりというように、複数個のセットでは使えますが、食べたりしましたのように、単独で使うことはできません。

  • 「たり」はピン芸人不可。

とかは、常に使用禁止

また、「とか」はあらゆるケースで使用禁止です。

なお、小論文を採点していると、たり、とか、なのでより頻度は下がりますが、ら抜き言葉もときどき出現します。小論文では、考えれる、見れるなどに注意しましょう。「ら」を入れても不自然でないものは、「ら」を入れます。正しくは、考えられる、見られると書きます。

以上、たり・とか・なのでは、使わないと覚えておきましょう。

若者言葉はかなり印象を落とす

なお、ヤバい、イケメン、草食男子、私的には、ぶっちゃけなど、若者言葉は小論文では使用できないルールです。簡単に言うと、あなたのおじいさんやおばあさんが、普段使わないだろうと思う言葉は若者言葉です。文章の流れから必要な場合、注意書きをつけて用いましょう。

1人称は私だけ!

小論文では、自分は、僕は、などの一人称は使用できません。男女問わず私は、を使ってください。運動部を経験した男子は、自分は、を使ってしまう傾向があります。

もし、下のような小論文が提出された場合、あなたが大学の教授(採点官)ならどう感じますか?

自分が教授なら、この生徒は教えたくないし、自分のゼミで一緒に研究をしたいとは思わないです。。

そうですね。大学入試は、教授がともに学びたい生徒を選ぶ機会とも言えます。これは、覚えておいて損はない観点です。例えば、小論文で、50代や60代の方が知らない具体例を使うのは失礼ですので、しっかり補足説明をつけるのも、1つのルールと言えます。

6位 1文の長さと句読点の打ち方

1文の長さと句読点の打ち方は、明確なルールを決めることが難しい部分があり、文章が上手な人は、新聞や『AERA』などを読んだ、経験値で決めています。

ただし、受験生の小論文には傾向があり、①ひとつの文が長すぎるタイプの人と、②読点(、)が極端に少ないタイプが見られます。

添削をしてもらうと確実ですが、過去にひとつの文が長すぎる、または読点(、)が少なすぎると指摘されたことがある人は、文は短く、読点多くを徹底してください。

ひとつの文の長さと読点の打ち方のルール化は可能?

予備校や高校で教えていると、ひとつの文の長さを、ルール化をしてほしいという生徒がときどきいます。万能ではありませんが、それは3パターンあるでしょう。主語=頭、述語=カラダとイメージしてください。

例:私は(頭)猫が好きです(カラダ)

適切な長さの文のパターン

適切な長さの文は、目安として、おもに3パターンあるとイメージしておくと便利です。

  • ① 頭とカラダが、1組の文。
  • ② 頭とカラダが、2組の文。
  • ③ 補足説明にあたる帽子があり、頭とカラダが2組の文。

このルールは目安となります。これ以外の文のパターンでも、読みやすい長さなら全く問題はありません。

7位  先頭に書けない文字は、句読点・閉じかっこ・小文字

小論文の試験では、縦書きまたは横書きの原稿用紙が用いられます。縦書きの場合、1番上のマス、横書きの場合、1番左のマスには書いていけない文字があります。

書いてはいけない文字は、句読点、閉じカッコ、小文字です。

原稿用紙の先頭に、読点(、)や句点(。)が来ると、改行でブレーキをかけたばかりなのに、直後にまたブレーキをかけることとなり、読み手にストレスを与えます。同じ理由で、閉じカッコや小文字(っ、ゃ、ゅ、ょ)も利用できません。

もし先頭に句読点、閉じカッコ、小文字が来てしまった場合、前の行の最後のますに同居させるか、欄外に書きそえます。

8位  落ちないための漢字と記号のルール

小論文では、漢字の誤りは減点されます。また漢字で書くべきところをひらがなで書いてあっても、減点することがあります。

とくに小中学校で習う漢字を誤ったり、小中学校で習う漢字をひらがなで書いたりしている場合は、点数とともにかなり印象を落とすと考えてください。大学では高校以上に難しい用語を用いた教科書を使います。そのため小中学校で習う漢字を知らないことは、大学の講義や研究についていけないという印象を与えてしまいます。

中学校で習う漢字の例を挙げます。意外に難しい漢字が入っていると感じるはずです。

もし小中学校で習う漢字が出てこない時は、別の言葉で書き換えます。例えば、概要を述べるの漢字が出てこない場合、大まかな内容を述べる、のように言い換えてください。

多くの方は小論文のために漢字を勉強する時間はないと思いますが、もし時間を作ることができるなら、漢検3級の問題集は1度クリアしておくと良いでしょう。

記号のルール

また、小論文において!?などの記号は利用できません。かっこ類は利用できますが、書名の『  』、引用部分を示す「  」程度が限度で、多用は印象を落とす傾向です。

9位  要約の書き方のルール

小論文では、2問のうち1問が要約問題となることがあります。また論述の始めに、要約を記すよう指示があることがあります。さらに英は少ないですが、要約問題や要約の指示がなくても、論述の3分の1程度は要約(あるいはグラフ・図表の読み取り)に回すというのが定説です。

では要約の書き方には、どのようなルールがあるのでしょうか?

①要約は、あなたの目線ではなく、文章の作者の目線で書きます。

課題文:人間はまず肉体のレベルで存在していて、そこに言語が上書きされることで「人間」となる。

要約文

(A)は、受験生自身の目線で要約したものですが、これは誤りです。(B)のように、作者の目線で要約します。

②要約と論述を、ひと続きの同じ原稿用紙に書く場合、要約部分をはっきりさせる。

論述の初めに要約を記す指示があった場合、第1段落目が要約、第2段落目以降が論述となります。論文には、他の人の意見を引用した場合、引用であることをはっきりと伝えるというルールがあります。このルールを破ると、盗用とも見なされます。

受験生の多くは、要約部分を、課題文によると……で書き始めますが、この方法だと、要約の終わりの部分が分かりにくくなります。そのため、(第1段落なら)いきなり要約を書き始め、次のように締めるとスムーズです。

●●追記部分●●要約は、小論文では確実に得点できる部分であり、合否への影響が大きいです。要約の方法もマスターしておきましょう。

10位  似た言葉を繰りかえさない

受験生の約1割程度に見られる傾向ですが、小論文を書くさいに、同じような言葉をくり返し使ってしまう人がいます。

例えば電車に乗ったとき、「次の停車駅は横浜駅に止まります」というアナウンスがあったとして、間違いに気づきますか?

停車と止まるが、ダブっていると思います! 頭痛が痛い現象と僕は名づけました笑

その通りです! なぜくり返しがいけないのかというと、意図しないのに、その言葉が強調され、読み手が違和感を持つからです。

以下は、作文におけるくり返しの例です。

同じ言葉や似た言葉を、くり返さないように心がけます。

人気 800字小論文「自由に論じなさい」採点基準
600字小論文課題文要約参考書
400字小論文テーマ型、課題文型グラフ・図表型
1600字小論文小論文予想テーマ原稿用紙のルール
問題提起結論だ・である調
作文SNSについて教員向け(教え方)
起承転結

知っていれば採点時の印象が良くなるルール

合否に影響する小論文のルール10選!では、ぜひ覚えておくべき、得点を動かす10のルールを説明してきました。後半は、応用編です。小論文入試は、そもそも暗記によらない思考力や文章力を試す場ですので、細かいルールは合否には大きな影響はないと考えます。

それでも知っていれば、採点者に勉強熱心なことが伝わり、決して損はありませんので、小論文のルール応用編をお伝えします。

  • 11位 数字の書き方のルール
  • 12位 英語(アルファベット)の書き方のルール
  • 13位 カギカッコを使うのは引用だけ
  • 14位 カタカナは最小限に!
  • 15位 鉛筆かシャープペンシルか?!

11位  数字の書き方のルール

縦書きの原稿用紙は、国語の教科書のようなイメージとなりますので、必ず漢数字を使います(1、2、3などの算用数字は使いません)。例えば2020年なら、二千二十年でなく、二〇二〇年と書いてください。

横書きの原稿用紙の場合、算用数字でも構いませんが、漢数字ならシンプルです。

しかし、グラフ・図表問題など桁数が多い数字を使う場合は、算用数字の方が読みやくなります。少し複雑ですが、1けたの数字は1マスを使い、2けた以上の数字は、1マスに2つの数字を入れます。左づめで書くことがポイントです。

まとめると、数字はとにかく漢数字を使えとなります。ただし、過去問にグラフ・図表問題が出題されており、原稿用紙が横書きとわかっている場合には、算用数字のルールも覚えておきましょう。

12位  英語(アルファベット)の書き方のルール

アルファベットを書く場合は、縦書きでも横書きでも、大文字は1マスに1文字、小文字は1マスに2文字入れます。縦書きの場合は、字を倒します。

※大文字も半角扱いし、1マスに2文字入れるという考え方もあります。つまり、この要素は合否への影響は、ほとんどないと見てよいです。

1つ難しい例外は、日本語に定着した英文字による略称です。この場合、英語ですが「日本語」として取り込まれているとみなすため、縦書きの原稿用紙でも、文字は倒しません。

例えば、SNSは、大文字のため、横書きでも縦書きでも「S」「N」「S」となり、3マス使います。縦書きの場合は、「日本語に定着した英文字」として、横に倒す必要はありません。

13位 カギカッコを使うのは引用だけ

小論文は、物語文ではないため、会話表現を使う場合にもかぎカッコは原則として用いません

  • ×  憲法改正について「十分に議論を尽くしてから国会での議論に入るべきだ」と話す専門家がいた。
  • ◯  憲法改正について、十分に議論を尽くしてから国会での議論に入るべきだ、と話す専門家がいた。

ただし、論述の中で、課題文や自分が過去に読んだ書籍から引用する場合、引用をはっきりさせるために、かぎカッコを使うと良いでしょう。書名には二重カッコを使います。

保坂和志作の、世界の始まりの存在論、という本に、次のように書いてあったとします。

人間はまず肉体のレベルで存在していて、そこに言語が上書きされることで「人間」となる。

これを引用する場合、次のようになります。

  • ※『人間』は、なぜ二重カッコを使用しているのでしょうか? やや高度ですが、かぎカッコがかぎカッコの中に入ってしまった場合、二重カッコで表現するというルールもあります。
  • ※なお、強調のためのかぎカッコは許容範囲ですが、多用しすぎる受験生が多く、印象は良くありません。使うなら1~2語(複数回の登場は可能)に留めるべきでしょう。

14位 カタカナは最小限に!

小論文では、カタカナは最小限にするルールがあります。具体的にいうと、カタカナでしか表現できない言葉のみカタカナとするということです。

  • ×フリーターには、ギリギリの生活をしている人も多い。食費や光熱費すら、カットの対象だというのだ。
  • ◯フリーターには、極限の生活をしている人も多い。食費や光熱費すら、節約の対象だというのだ。

比べてみると、カタカナを多用した上の文章は、論文というよりは、インターネット上のくだけた文章に近いという感覚は、理解できるはずです。

※フリーターは略語ですが、十分に定着したためそのまま用いても構いません。

15位  鉛筆かシャープペンシルか?!

15番目のルールは、筆記用具についてです。募集要項等に指示がない場合、鉛筆かシャープペンのいずれでも問題ありません。推薦AO入試の場合、志望理由書などはボールペンで清書しますが、試験場で記述する小論文は、書きながら修正することが多いため、鉛筆かシャープペンシルで構いません。

ただ、濃く丁寧な文字は、採点官にとって非常に助かるものです。とくに点数化はされていないと考えられますが、好印象を与えれば、上手く表現できなかった部分も、採点官が読み返して解釈してくれる可能性があります。そのため、濃さと太さが出やすい、鉛筆の利用をおすすめします。採点官に教授が入る場合、年齢が高めである場合もあり、濃く丁寧な文字を書くことは、必要な配慮となり、悪い結果にはつながりません。

まとめ 小論文記述のルールはこれだけ!~原稿用紙も怖くない~

以上、小論文記述のルールはこれだけ!~原稿用紙も怖くない~でした。重要度1位から15位をまとめておきます。

合否に影響する10のルール

  • 1位 文字数のルール(◯◯字以内なら9割は書く!)
  • 2位 100%落ちる!設問の指示から外れた答案
  • 3位 段落構成のルールはあるの?
  • 4位 小論文は、だ・である調のみ!
  • 5位 話し言葉と略語はNG(接続詞、若者言葉)
  • 6位 1文の長さと句読点の打ち方
  • 7位 先頭に書けない文字は、句読点・閉じかっこ・小文字
  • 8位 落ちないための漢字と記号のルール
  • 9位 要約の書き方のルール
  • 10位 似た言葉を繰りかえさない

知っていれば採点時の印象が良くなる5つのルール

  • 11位 数字の書き方のルール
  • 12位 英語(アルファベット)の書き方のルール
  • 13位 カギカッコを使うのは引用だけ
  • 14位 カタカナは最小限に!
  • 15位 鉛筆かシャープペンシルか?!

合格できる小論文を書くために

小論文の完成度は、段落構成と書き方によってほぼ決まってきます。ルールを覚えることで失点を防ぎ、書き方を覚えることで積極的に加点を狙うことで、合格ラインを超えることができます。次の記事を読むことで、段落構成と書き方はすぐにマスターできます!

人気 800字小論文「自由に論じなさい」採点基準
600字小論文課題文要約参考書
400字小論文テーマ型、課題文型グラフ・図表型
1600字小論文小論文予想テーマ原稿用紙のルール
問題提起結論だ・である調
作文SNSについて教員向け(教え方)
起承転結

コメント

  1. 28 より:

    お早い返信ありがとうございます。
    本番ではそうすることにします。

    また、違うページの内容になってしまうのですがデータ分析型小論文について質問させて頂きたいです。

    たとえば、文章と複数の図表(グラフ3つ)から訪日観光客の特徴を読み取りそれを解答用紙にまとめなさい。という設問の場合、構成は始めに読み取れることを羅列していき(〜〜〜。文章からは以上のことが分かる。〜〜〜。図1からは以上のことが分かる。という形)、その後全体的に読み取った特徴を書く形でよいのでしょうか。

    参考書やサイトでも、分析型はまず具体的な図表を上げて読み取ったことをあげると思いますが、この設問の場合分析だけでなく、読み取った特徴を述べる必要があり、うまく構成がつかめません。

    返答よろしくお願い致します。

    • 受験ネット より:

      ご質問ありがとうございます。
      小論文は、数学などと異なり、新しい科目ですので、はっきり定まっていない部分もありますが、
      次のように考えるとよいと思います。

      まず、統計や図表からは、
      (1)明らかに文字や数値として書かれている事実
      (2)書かれてはいないが、客観的に読み取れる内容
      (3)読み取った内容を踏まえ、推定した仮説
      の3つが導けると思います。

      例えば「総広告費は減っていない」「新聞やテレビの広告費が減った」というグラフがある場合、
      (1)「新聞やテレビの広告費が減った」
      (2)インターネットの広告費が増えたと見られる。
      (3)若い世代は、新聞やテレビを求めていないと考える

      この場合、
      ・(1)(2)以上がグラフから読み取ることができる内容である。このことを踏まえ、私は(3)。
      ・(1)以上がグラフから読み取ることができる内容である。また(2)……は事実と見て良い。このことを踏まえ、私は(3)。
      のどちらかの書き方が良さそうです。

      段落構成は、
      序論 (1)(2)以上がグラフから読み取ることができる内容である。
      本論 このことを踏まえ、私は(3)と考える。以下、理由等を説明。

      序論 (1)以上がグラフから読み取ることができる内容である。また新聞やテレビ以外では、インターネット広告が主流といえ(2)は事実と見て良い。
      本論 このことを踏まえ、私は(3)と考える。以下、理由等を説明。
      のどちらでも良いのではないかと思います。

      小学校の先生風に言うと、
      はじめ 事実を書こう
      なか 考えを書こう

      重要なのは、事実と考えをきちんと分けていること、また盗用に気を付けていることです。
      ご質問にあるように、(〜〜〜。文章からは以上のことが分かる。〜〜〜。図1からは以上のことが分かる。という形)
      という「尾括(びかつ)」の方が、境界線がはっきりしますので、おすすめです。

      図1によると〜〜〜。の書き方は、後続の自分の考えとつながってしまうことがあり、盗用になったり、事実と考えの区別が甘いという評価となります。

      事実=モノ、考え=コト とイメージしても良いでしょう。
      (1)そこにあるのは宝石だ
      (2)大きさから相当高価であろう
      (3)私には、それは何の価値もない。

      • 28 より:

        返答ありがとうございます。
        分かりやすい例もあり、かなり理解することが出来ました。この形で練習して、複数資料にも対応できるように本番に挑みたいと思います。
        丁寧に教えて頂きありがとうございました!

  2. 28 より:

    コメント失礼します。
    横書きの小論文(又は要約)で、解答用紙が原稿用紙ではなくただマス目が書いてあるだけのものである場合も、左端の句読点などといった原稿用紙のルールは適用されるのでしょうか。また、書き出しと段落分けの際は必ず1マス開けることは形式に関わらず必須でしょうか。
    教えて頂きたいです。

    • 受験ネット より:

      コメントありがとうございます。
      国語の記述式のような形式なのか、原稿用紙形式なのかは、非常に紛らわしく、
      特に指示がなければ、減点対象にはならないと予想されます。

      ただ、1つ言えることは、段落を2つ以上作る場合、当然書き出しを1字下げることになり、この時点で原稿用紙のルールに従っていることとなり、
      全体を原稿用紙の形式で書くとよいでしょう。
      この場合、(フリガナを打つような余白がある)原稿用紙形式でも、単純なマス目形式でも同様です。